今年もこのシーズンがやって参りました。
安倍文殊院のコスモス迷路。
秋の風を感じる季節には安倍文殊院の境内を歩きたくなります。毎年訪れていて思ったのですが、迷路内では金閣浮御堂を背景にコスモスを撮影するよりも、不動堂を背景に撮る方が綺麗な写真に仕上がります。コスモス迷路の柵、それに文殊池畔の木が邪魔になってコスモスとのバランスがうまく取れないのです。
安倍文殊院の不動堂とコスモス。
コスモス迷路の中に入って、まずは一枚写真に収めます。今年も可憐なコスモスが参拝客の目を楽しませています。ここは年末年始になると、パンジーと葉牡丹でジャンボ花絵が登場する場所でもあります。干支を模った花絵も見応えがありますが、コスモスの花に埋もれるコスモス迷路も、すっかり安倍文殊院の見所の一つとして定着しています。
安倍文殊院アクセス道の土舞台案内看板
安倍文殊院の周辺には日本芸能発祥の地とされる土舞台があります。
あまり知られていませんが、土舞台に咲く桜などとても綺麗で、時々私も足を伸ばして花見を楽しみます。家形石棺が納まる石室内が開放された艸墓古墳なども、安倍文殊院の周辺情報として押さえておくといいですね。安倍の文殊さんは安倍晴明生誕の地とも言われますが、晴明が追葬されたのが艸墓古墳ではないかとの伝承があります。
境内の仲麻呂望郷枝垂桜の周りにも黄色いコスモスが開花していました。
左手奥には、整然とした石室で知られる文殊院西古墳が見えています。安倍文殊院には文殊院西古墳の他にも、白山堂手前左側に飛鳥時代の閼伽井古墳(東古墳)が佇みます。木瓜(ぼけ)に桜にコスモスと、美しい花々で彩られる安倍文殊院境内ですが、歴史好きの方には古墳なども見所の一つとなっています。
安倍文殊院へ通じる坂道。
左手には県営住宅が建ち並んでいます。安倍丘陵を上るこの坂道は、安倍文殊院の境内駐車場(普通車専用)へと通じています。緩やかに右へカーブして、しばらく進むと右手に駐車場の入口が見えて参ります。
駐車場手前の公園脇に土舞台の案内看板が出ていました。
以前に訪れた時は無かった看板です。おそらくまだ新しいものだと思われます。「日本芸能発祥の地 土舞台」と案内されています。
周辺地図の左横に、昭和時代の懐かしい写真が掲載されていました。
土舞台を顕彰するセレモニーの時の模様です。芸能発祥の地ということで、テレビなどで活躍していた芸能関係者の姿も見られます。あの森繁久彌氏も参加されていたようなのですが、どの辺りにいらっしゃるんでしょうね。前桜井市長、桜井市が生んだ文芸評論家の保田與重郎氏の姿も見えます。
桜井市を挙げての一大イベントであったことが伺えます。
土舞台の周辺地図。
安倍文殊院から土舞台へのアクセス道が赤いラインでナビゲートされています。周辺は桜井市ならではの坂道の多いエリアです。住宅街の間を抜けて土舞台へと辿り着きます。地図でも分かりますが、土舞台のすぐ下手には桜井小学校があります。運動場で元気に遊ぶ子供の声が聞こえてくる、実にほのぼのとした歴史の舞台です。
この日は時間が無かったこともあり、土舞台へは行かずに安倍文殊院の境内へと入ります。
境内駐車場の駐車料金は500円です。
安倍文殊院の駐車場は境内以外にも数箇所用意されていますが、ちょっとだけ歩く必要があります。やはりここの駐車場を利用する人が多いのではないでしょうか。
秋を身近に感じるコスモス迷路
薩摩芋や里芋を食べて秋を感じる人もいるでしょう。
松茸、椎茸、シメジ、えのきだけ、舞茸等々のキノコ類で秋を堪能する人もいるでしょう。あるいは朝晩の冷え込みで秋を真っ先に感じ取ることもできます。そして何より、秋を代表するコスモスの開花で秋を確認するのです。
コスモス迷路の開園時間。
午前9時から午後4時までと案内されています。意外と人口に膾炙された ”9時5時” ではないんですね。思っていたより早めに閉園するようです。ちなみに安倍文殊院の拝観時間は午前9時から午後5時までで、祈祷受付は午前9時から午後4時までとなっています。祈祷受付と同じタイムスケジュールのようです。
コスモス迷路入口左手のチョコレートコスモス。
ここのところ毎年、同じ場所で鉢植えされているコスモスの珍品種です。このコスモス、鼻を近づけてみると確かにチョコレートの香りがするんです。お腹を空かせている人は是非匂いを嗅いでみましょう(笑) 満足すること請け合いです。
迷路の入口を入って左手に取ります。
程なく不動堂を背景に咲くベストポジションのコスモスに出くわします。
コスモスの品種が案内されていますね。
<スプライトフラッシュ>白にピンクを散らしたような色合い <フラッシングピンク>白にピンクを散らしたような色合い <レッドベルサイユ>大輪咲き <ホワイトベルサイユ>大輪咲き <ピンクベルサイユ>大輪咲き
せっかく品種名がナビゲートされていたのですが、なかなか区別がつきませんでした。ど素人の目では品種の違いを見分けることはなかなか困難です(笑) 品種によってはっきりと場所の区画がされているわけではありません。遠く離れた場所で、あっ!このコスモスはさっきも見たよなぁという感じです。まぁ難しいことはさておいて、あるがままにコスモス迷路の中を彷徨ってみるのが良さそうです。
う~ん、やっぱり綺麗です。
可憐です。
日輪をイメージさせるグラデーションが印象的なコスモスですね。
迷路の途中にこんなのがありました。
コスモスの花言葉のスタンプと書かれています。うん?2番のスタンプ・・・どうやらスタンプを集めて回る趣向のようです。後で調べてみて分かったのですが、コスモス迷路には入園証があって、コスモスの花言葉のスタンプラリーになっていたようです。
赤い縁取りが綺麗なコスモスですね。
迷路(ラビリンス)とは言っても、私にとっては勝手知ったる迷路です。迷うことはほぼありません(笑) と言うか、そもそも抜け出すのが目的の迷路ではないのです。30種類以上の多種多様なコスモスを愛でながら、ゆっくりと歩くのが目的です。迷おうが迷わまいが関係ありません。
なんだか面白い形(笑)
これが開花している状態なのでしょうか?背丈よりも高いコスモスも咲いていますが、大人の目線では比較的見通しも良く、完全に視界が遮られるということもありません。毎年近くの園児たちが「迷い初め」と言うか、コスモス迷路の開園と共に招待されているのですが、幼稚園児の目線なら確かに迷ってしまいそうです(笑) 現に抜け出せなくて泣いてしまうお子さんもいらっしゃるようです。
これがもし、一面のトウモロコシ畑や向日葵畑だとすれば、大人もうかうかしておれないかもしれません。
おっと、こちらが出口のようです。
本来の迷路であれば、出口が目的地になるのですが・・・これはいけないと引き返し、再びコスモス迷路の中に迷い込みます。
ここがコスモス迷路の端っこです。
位置的には文殊池の畔の竹の植わっている手前に当たります。
またまた品種名が案内されています。
<ダブルクリック クランベリー>八重咲き濃暗赤 <コシモ コラレット>白に淡桃覆輪、一重~半八重咲き <レモンブライト>黄花コスモスでは珍しく明るく、やや淡い黄色
ダブルクリックなんて、パソコン用語も登場しています(笑) レモンブライトはキバナコスモスの一種なんでしょうか。
こういう蕾にも魅かれるものがあります。
まさしくギュッと詰まった状態ですね。
細い葉っぱに細い鍔。
花を支える茎もか細く、突風でも吹いたら折れてしまわないかと心配になります。この線の細さがコスモスの魅力でもあるんですけどね。
やっぱりこのアングルが一番よく映えます。
コスモス迷路の上手の丘陵には展望台があります。安倍晴明を祀る晴明堂が祀られているのですが、陰陽師の晴明を偲んでか天文観測の石碑も建っています。その展望台から真下を見下ろすと、迷路の中を行き交う参拝客の姿が見られます。ジャンボ花絵の時は干支の動物が浮かび上がるのですが、コスモス迷路では参拝客も風景を構成する一つの要素となります。
鮮やか!
これぞまさしく、神様の手による芸術作品ですね。
金閣浮御堂周辺のコスモスとwi-fiエリア
安倍文殊院に咲くコスモスはコスモス迷路の中だけではありません。
コスモス迷路を出て、文殊池に浮かぶ金閣浮御堂方面へと向かいます。
大輪のコスモスが文殊池の畔に咲いていました。
それにしてもこのコスモス、何枚の花弁で構成されているのでしょうか。数え始めてはみたものの、途中で何度も分からなくなります(笑)
背景に休憩所と手水舎をとらえます。
奈良県の中央部に位置する長谷寺、室生寺、岡寺、安倍文殊院の4寺が、奈良大和四寺巡礼の会を発足したのは記憶に新しいところです。2015年5月22日から共同で観光客向けのおもてなしプログラムが提供されています。その一環として、境内のwi-fi化が実現しています。
外国人観光客の増加に伴い、日本全国の駅や観光地、宿泊施設でもwi-fi化が進んでいます。安倍文殊院でも、屋根付きの休憩所に座ってゆっくりインターネットを楽しめるようになりました。これは便利なサービスです。
金閣浮御堂を背景に幟旗が立っています。
安倍晴明ゆかりの五芒星(ごぼうせい)のマークが見えますね。「文殊菩薩 厄除・魔除・方位除祈願 安倍晴明公」と記されています。
せっかく安倍文殊院にお参りしたなら、その周辺の観光地も気になるところです。
境内のwi-fi化によって、参拝客も調べものがしやすくなったのではないでしょうか。文殊院の次はどこへ行こうか?桜井駅までのバスの時間は?磐余の道の観光スポットは?といった疑問に即座に答えてくれるウェブの世界。より身近に情報を検索できるようになり、益々桜井市の観光も活性化していくものと思われます。
阿倍仲麻呂の歌碑の横にもコスモスの花が開花しています。
仲麻呂の有名な歌ですが、今まではその意味を知ることもなく通り過ぎていたかもしれません。ネットに接続すれば、歌が詠まれた背景も知ることができます。日本へ帰りたくても帰れなかった仲麻呂の無念を想います。
その仲麻呂の想いが伝わる、仲麻呂望郷しだれ桜。
勿論、季節は秋ですので桜の花を見ることはできませんが、その周囲にも黄色いコスモスが咲いていました。
休憩所のwi-fiフリーゾーン。
バスの時刻表もありました。
長谷寺、室生寺、岡寺、安倍文殊院の各寺受付周辺では無料で利用可能なWiFiが設置されています。QRコードを利用して、各寺の境内案内画面を閲覧することもできます。案内は日本語に加え、英語、中国語繁体字・簡体字、韓国語、フランス語に対応しています。いよいよ奈良県もワールドワイドになって参りましたね。
駐車場から境内へと入る場所にもwi-fiフリーゾーンの看板が出ていました。
益々便利になる奈良県の観光名所。
安倍文殊院本堂では国宝の渡海文殊を拝観することもできます。境内の白山堂で恋愛祈願をするのもいいでしょう。合格祈願のために、お守り授与所で鉛筆を買うのもいいでしょう。様々なお参りの仕方が用意された安倍文殊院で、あなたなりの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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