談山神社の屋形橋

談山神社の屋形橋をご案内致します。

談山神社の神域入口にある屋根付きの橋ですが、今まで実際に渡ったことがありませんでした。いつもは車で素通りする場所なのですが、今回初めて屋形橋を渡ってみることに致しました。

談山神社の屋形橋

談山神社の屋形橋。

まるで屋形船を思わせる、風情のある橋が寺川に架かっています。

この橋からさらに上手には談山神社東大門があり、その先には藤原鎌足を祀る談山神社へと続く参道が続いています。

談山神社の紅葉!釣燈籠の鎌の謎
藤原鎌足を祀る談山神社。関西の日光とも称される紅葉の名所です。拝殿の釣燈籠に鎌のデザインが見られます。藤原鎌足の「鎌」にちなむ意匠なのでしょうか。

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菅笠日記にも残るうるはしき橋

談山神社の屋形橋は、国文学者・本居宣長の菅笠日記にも記されています。

実際にこの橋を渡った本居宣長は 「うるはしき橋あるを渡り、すこしゆきて惣門にいたる」 とその感慨を綴っています。吉野へ行く旅の途中だったようです。本居宣長のみならず、松尾芭蕉や折口信夫なども屋形橋を詠った歌を残していると言います。

談山神社の屋形橋

談山神社との分岐点に当たる八井内交差点付近。

鮮やかな朱色が神社への入口を示しています。この辺りに車を駐車する場所があるわけでもないのですが、鹿路の天一神社を目指して出発した今回のドライブでした。道に迷って鹿路集落手前に一旦車を停め、屋形橋付近まで徒歩で戻って立て直すことに致しました。

屋形橋の案内板

橋の手前に案内板が出ています。

談山神社の神域入口に架かる屋根付きの橋。寛政三年(1791)の刻銘を持つ。昭和五十四年に再建された。国学者本居宣長は明和四年(1792)三月この橋を渡り「うるはしき橋あるを渡り」(菅笠日記)と記している。

現在の屋形橋は昭和54年に架けられているそうです。檜皮葺屋根の朱塗りの橋は、ただそこに架かっているだけで十分に観光客の目を楽しませています。

屋形橋周辺地図

屋形橋周辺の地図。

不動の滝、音羽山、聖林寺などが案内されています。

地図下に見える塔は、談山神社境内にある世界で唯一とされる木造十三重塔でしょう。

談山神社の屋形橋

紅葉の名所である談山神社への入口です。

御祭神の藤原鎌足は、推古天皇22年(614)に明日香村小原に誕生しています。中臣鎌子と称し、学問を大変好んだと伝えられます。中大兄皇子と組んで、当時の権力者であった蘇我蝦夷・入鹿親子を討伐した大化の改新はあまりにも有名です。そしてその大化の改新の談合を行った場所こそが、談山神社の鎮まる多武峰だったのです。

鎌足の墓は当初、摂津国阿威山に建てられたと伝わります。聖林寺を創建したことで知られる鎌足の長子・定慧(じょうえ)は、父の死を知らずに唐の国で仏教を学んでいたそうです。帰国した定慧は、弟の不比等と相談の上、父の生前にゆかりの深かった多武峰に改葬したと伝えられます。談山神社の歴史を辿ると、そこには鎌足が残した子供たちの想いが重なります。

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屋形橋周辺を散策

屋形橋見学から帰って来て分かったことなのですが、どうも付近にはコンビニがあったようです。

ヤマザキショップというお店で、おトイレも完備されているようです。ここでコーヒーでも購入して、辺りを散策してみるのもいいですね。

八井内トンネル

屋形橋の目と鼻の先にある八井内トンネル。

八井内(やいない)と読みます。多武峰と宇陀方面が近くなったのはいいことですが、昔ながらの風景は失われつつあるようです。わずかにトンネル向かって左手前に佇む地蔵堂石仏群がその名残を伝えています。

屋形橋近くの地蔵

さらに交差点反対側には、数多くのお地蔵様がいらっしゃいました。

旧鹿路トンネル付近から発する寺川が下方を流れています。車で通過するだけでは、塀の向こう側ということもあり、これらのお地蔵様を目にすることはありません。初めて見るお地蔵様でしたが、立地的にもこの場所に祀られる意味がなんとなく分かります。

談山神社の屋形橋

この辺りは三叉路になっています。

それぞれの目的地へ向かう人たちが交差した場所です。山間部ではありますが、今も多くの車が行き交います。

談山神社の新春詣り

地蔵堂の近くに談山神社のポスターが貼られていました。

お正月には様々な催しが予定されているようですね。

正月三箇日は入山無料です。1月1日~3日まで内庭特別参拝が行われ、1月3日には福禄寿大神新春大祭が催されます。ご多分に漏れず、談山神社にも申年を祝う大絵馬が登場し、新春特別宝物拝観として秘宝・談峯龍神像が公開される予定です。

眼光鋭い談峯(だんぽう)龍神像を真ん中に据えたポスターをまじまじと見ながら、再び屋形橋に足を向けます。

談山神社の屋形橋

少し上手からも見下ろすことができます。

今は車社会ですので、ここから歩いて談山神社を目指す人は少なくなりました。

しかしながら、昔の人たちは屋形橋よりもっと下手から談山神社を目指していました。今も談山神社の大鳥居が多武峰街道の上之宮に位置していることからも、そのことがうかがえます。

談山神社の屋形橋

なだらかなラインを描く屋形橋。

まるで船が浮かんでいるようにも見えます。

寺川

橋から下を見下ろすと、寺川が音を立てて流れていました。

それにしても高いですね。

屋形橋の中

橋の内部には蟇股の意匠も見られます。

橋の真ん中には往来を意識してか、一本の棒が通っていました。

擬宝珠と屋形橋

擬宝珠を手前に屋形橋を撮影。

あらゆる願い事を叶えてくれる如意宝珠を模した擬宝珠(ぎぼし)。その擬宝珠が屋形橋にアクセントを加えています。

談山神社の屋形橋

橋の反対側はこんな感じです。

談山神社にも様々な願い事が寄せられます。

鎌足にちなんで勝運祈願に訪れる参拝客も多いと聞きます。重文・神廟拝所展示では、鎌足公神像と勝軍地蔵に一年の勝ち運を祈ります。また、境内の縁結びスポット・恋神社では鏡女王像に恋愛成就を祈願します。

権殿奥に鎮座する龍神の磐座は、パワースポット巡りで訪れる人たちの間で人気を呼んでいます。

談山神社の屋形橋

少し湾曲しているところがイイですね。

うるはしき橋あるを渡り、その先に鎮座しているのは鎌足公の待つ談山神社です。

年末年始の談山神社も多くの初詣客で賑わうことでしょう。大晦日の中臣大祓式に始まり、元旦祭、元始祭と祭典は続きます。新春行事も盛りだくさんで、奉納・神楽式「談山翁」や書き初め・「席書会」などが執り行われます。

大鳥居からとは申しませんが、せめてこの屋形橋を渡って談山神社にお参りしてみるのもオススメです。

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