鼉太鼓@春日若宮おん祭御旅所

春日若宮おん祭のお旅所で一際輝きを解き放つ鼉太鼓(だだいこ)。

お渡り式の前に御旅所に立ち寄ると、金色に燦然と輝く鼉太鼓の姿が目に飛び込んで来ました。春日大社の若宮様がご遷座され、数々の芸能が奉納される御旅所のシンボルとも言える大きな太鼓を前にします。ここに立つと、これから始まるお渡り式や御旅所祭の心地いい緊張感が伝わって参ります。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

御旅所の鼉太鼓(だだいこ)。

巴紋の描かれた太鼓の背後に、昇竜が浮き彫りにされた火焔彫刻がまるで仏像の光背のように聳え立ちます。それにしても難しい漢字が使われていますよね。パソコンの漢字変換にも鼉太鼓の「鼉」は環境依存文字と出ています。当ブログ記事をご覧頂いている方の中にも、うまく表示されていない場合があってはいけないので以降は「ダダイコ」とさせて頂きます。

野外舞楽演奏における陰陽太鼓

御旅所の前に一対の色違いの太鼓がスタンバイしています。

なぜ二つ用意されているのかというと、その理由はダダイコが陰陽を表しているからなのです。

私はこの太鼓が打ち鳴らされているところを見たことがありません。どのタイミングで叩かれるのだろうかと興味が湧いてくるわけですが、それにはやはり遷幸の儀暁祭御旅所祭還幸の儀といったおん祭のメイン行事に参加する必要がありそうですね。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

煌びやかなダダイコ。

ダダイコが左右同時に打たれるのは、神様にお供え物をする献饌(けんせん)の時と、お供え物を下げる撤饌(てっせん)の時とされます。

奈良国立博物館の鼉太鼓モチーフ

奈良国立博物館の通路沿いに、ダダイコの描かれた手拭いのようなものが展示されていました。

火焔の上に花火のようにはじける意匠が見られますが、何を意味しているのでしょうね。

鼉太鼓の解説

春日大社の御神紋・下がり藤を添えて、ダダイコの解説文が掲示されていました。

ダダイコは主に野外の舞楽演奏に用いる太鼓。国指定重要無形民俗文化財で日本最古の芸術祭とも言われる春日若宮おん祭の際、打ち鳴らされる。春日大社には源頼朝奉納とされる鎌倉時代のダダイコ(重要文化財)があり、左右一対で陰陽思想に基づき、左は「陽」、右は「陰」とされ、色や火焔の彫刻などが異なる。
高さは約7mと巨大で、日本最大級の太鼓。

左が陽、右が陰なのですね。

比較的狭い御旅所内に高さ7mの太鼓があれば、それは目立つのも頷けます。

春日若宮おん祭の馬

御旅所の前を通過する馬。

これから始まるお渡り式に向けて、いよいよ馬たちが移動を始めるようです。ちょうど太陽の光が降り注ぎ、神事に向かう馬を照らし出します。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

ダダイコの横側。

こうやって見ると、結構厚みのある太鼓であることが分かります。

左向こう側には、若宮神がご遷座なさっている御旅所が見えていますね。

春日若宮おん祭のお渡り式

お渡り式前の風景。

お渡り式に参列する方々が次々に騎乗していく中、しばしの休憩時間なのでしょうか(笑) ゆっくりとご歓談なさっているご様子でした。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

ダダイコの全体像はこんな感じです。

左右同時に打ち鳴らされる時もあれば、別々に打たれる時もあります。

舞楽の左方舞のときには左の太鼓、右方舞のときには右の太鼓が打ち鳴らされるそうです。

振鉾三節においては、一節の左の舞人のときは左の太鼓、二節の右の舞人のときには右の太鼓が打たれます。そして三節は合鉾(あわせぼこ)と言って、左右両方の舞人が舞うことになるので両方の太鼓が打ち鳴らされます。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

御旅所の象徴が天に向かいます。

晴天に恵まれた2015年度の春日若宮おん祭。火焔上の意匠は太陽にも似ていますが、太陽にしては少しショボいような(笑) あっ、こんな失礼なことを言ってはいけませんね。

春日若宮おん祭の鼉太鼓

数年前にも訪れたおん祭ですが、その時はお渡り式が終わってからこの場所にやって来ました。

既に黒山の人だかりが出来ていて、中の様子をゆっくり伺うことが出来ませんでした。その点、今年はお渡り式の前ということもあってか、比較的人出も少なくダダイコを間近で見学することができました。

御旅所は真ん前からの撮影が禁止されていますので注意が必要です。少し角度を付けて撮る分にはOKなようですが、その角度というのが曲者(くせもの)でなかなか難しいことに気付きました。真正面からでは神様に対して失礼に当たります。鳥居をくぐって参道の真ん中を歩くのがご法度とされるように、そのライン上は神様の通り道なのかもしれません。

春日若宮おん祭の御旅所

ダダイコの後方には、簡易小屋が設けられていました。

おそらく御旅所祭を座って見学する場所だと思われます。

ダダイコの腹に響くであろう音色を想像しながら、お渡り式見学のために松の下式へと足を運びます。