天一神社の巨木@桜井市鹿路

桜井市鹿路に杉の御神木を祀る天一神社が鎮まります。

天一神社の御祭神は、製鉄・鍛冶の神とされる天目一箇命(あめのまひとのかみ)。本殿はなく、杉の巨樹が御神体とされます。創祀年代、由緒共に不詳で、謎に包まれたお社には張り詰めた空気が満ち満ちています。

天一神社

鹿路に鎮座する天一神社。

御神体の杉の手前に朱色の瑞垣が見られます。その扉には二重の×が横に二つ並んでいますね。おそらく結界を表すバツではないかと思われます。

手前の巨樹の幹には、青々とした苔が!御神体の杉の巨樹も立派ですが、狭い境内には数多くの大木が林立しています。一体どれが御神木なのか分からなくなるほどの巨木の密集地帯となっています。真っ直ぐに天を突く杉の巨木があちらにもこちらにも生えています。天一神社境内には、稀に見る木霊ワールドが展開していました!

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新鹿路トンネル手前を右へ取るアクセス道

天一神社への行き方ですが、目印になるのは新鹿路トンネルです。

談山神社下手に屋形橋がありますが、そこの八井内交差点を県道37号線(桜井吉野線)に入り、道なりに上って行くとやがて行く手に新鹿路トンネルの入口が見えて参ります。間違わないように注意点を挙げておきますと、トンネルの中に入らないことです。トンネルの手前を右に曲がって道なりに上へ上へと進んで行きます。ちょうど新鹿路トンネルの上方を進む形になります。

天一神社の巨木

天一神社境内の巨木。

枝振りも実に見事です。あの枝だけでも、普通の木の幹の太さぐらいはあるのではないかと思わせます。

奈良県道37号線(桜井吉野線)

奈良県道37号線(桜井吉野線)の道路標識。

ここは桜井市の飯盛塚(いいもりづか)です。新鹿路トンネルから少し下手の方に飯盛塚の集落が広がります。旧鹿路トンネル付近を源流とする寺川が集落の中を蛇行しながら流れています。

新鹿路トンネル

ここが重要なアクセスポイントです。

向こうに見えているのが新鹿路トンネルの入り口で、ここを右折します。この写真で見ると、かなりトンネル入口から手前の地点であることが分かります。天一神社にアクセスするには、トンネルに入ってしまわないように注意が必要です。

宮垣内地区の道案内

道なりに進んで行くと、やがて左手に宮垣内地区の案内板が視界に入ってきます。

ここを左折して、九十九折の坂道を上って行けば天一神社に辿り着きます。道中には車がすれ違えないほどの細い道もありますが、その確率は非常に少ないですので躊躇せずに上って行きましょう。

天一神社の道標

ここから天一神社までの距離は600mと案内されています。

私が訪れた時はバイクで坂道を上って来る人を見かけました。傾斜のある場所ですが、頑張れば自転車でもアクセスできるのではないかと思われます。

宮垣内地区

今来た県道37号線の方を振り返ります。

それにしても、奈良県内には「垣内」地名が多いですよね。環濠集落を形成して外敵の侵入を防いだり、垣内の名のもとに自治の意識を高めて邪悪なものをお祓いしたりと、とかく垣内・垣外の区別に心を砕いていた様子がうかがえます。

鹿路の集落にも綱掛祭の伝統が残されています。

毎年正月の第一日曜日に不浄なものを祓う綱掛式が執り行われているのです。いわゆる勧請縄のことで、明日香村稲渕の勧請綱掛神事とよく似たものだと思われます。天一神社の綱掛祭では弓初めの儀式も行われます。天に向かって矢を射った後、次は地に向かって射ます。東、南、西、北に向けて矢を射り、最後は蛇の眼の黒丸を的として矢を射るそうです。

天一神社のアクセス道

このような坂道を上って行きます。

途中にヘアピンカーブもありますので、ドライバーの方はスピードの出し過ぎに注意が必要ですね。

天一神社へ続く坂道

道路脇には落葉が降り積もっていました。

紅葉シーズンになると、この辺りは鮮やかに色付くのではないでしょうか。

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大杉を御神体とする天一神社

細い坂道を上って行くと、行く手左側に天一神社の境内が見えて参りました。

境内と言うよりも、その境内から飛び出している巨木が見えて来たと表現した方が正しいかもしれません。

天一神社の石垣

石垣の上にコンクリートの瑞垣が境内を取り囲んでいます。

その場で見上げて、ポカンと開いた口が塞がりませんでした(笑) いや~、圧巻の巨木ワールドです。

天一神社の石段

石垣の下に車を停めて、神社入口の石段手前まで徒歩で上ります。

辺りを見回しましたが、特に神社専用の駐車場が設けられているようでもありませんでした。

天一神社の鳥居

石段を上って行くと、小さな朱色の鳥居が出迎えてくれます。

鳥居右手前には、小さいながらも清らかな水を湛える手水舎がありました。

天一神社の鳥居

コンパクトな造りではありますが、両部鳥居の格好をしていますね。

鳥居にも細い注連縄が張られていました。鳥居向こうに見える建物は割拝殿でしょうか。建物の真ん中には素通りできる馬道(めどう)らしき空間が空いています。天一神社の鎮座する場所はかなり山の奥です。標高がどれぐらいあるか分かりませんが、談山神社ともそう変わらないような気が致します。こんな高所に馬を連れて来るのか?とか思いながら、杉木立の手前をあちこち見回します。

天一神社の瑞垣

鳥居左手には、石で作られた瑞垣が向こうへ伸びていました。

杉の巨樹そのものが神様であり、辺り一帯にパワーの感じられる場所です。この包み込むような空気そのものが天一神社なのではないかと思わせます。そんな場所に神域を示す瑞垣が必要なのだろうかとも思いましたが、一応の結界にはなっているようです。

天一神社のバケツ

拝殿らしき建物の中にバケツが置かれていました。

「天一神社 上用」と記されていますね。

天一神社の綱掛

境内に入ると、すぐ左手に「二本の杉(ふたもとのすぎ)」を思わせる巨木が現れます。

並び立つ二本の巨木が真っ直ぐ天に向かって伸びています。よく見ると、お互いが縄で結び付けられているようです。

天一神社の巨木

この二本の巨樹は夫婦を表しているのでしょうか。

そう考えるのが普通ですね。だとすれば、天一神社の縁結びスポットということになるでしょうか。

天一神社の巨木

その根元に目をやると、お互いに絡み付いているようにも見えます。

生命力を感じさせる御神木です。

天一神社の巨木

向かって右側の方がやや太くも見えます。

自然崇拝の神社には陰陽石が見られたりもしますが、陰陽樹というのがあってもいいなと思いました。

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桜井市が誇るパワースポット

天一神社は間違いなく奈良県桜井市が誇るパワースポットです。

最も有名な桜井市のパワースポットは大神神社です。そのことに異論をさしはさむ余地はありません。三輪山を御神体とする大神神社は、全国的にも人気の高いスピリチュアルな神社です。

そしてあまり知られていないけれども、パワースポット巡りがお好きな方におすすめしたいのが天一神社なのです。

大和さくらい100選

天一神社は大和さくらい100選にも選ばれているようです。

ここは市民目線で選出された名所なのです。桜井市を訪れる人に、是非一度足を運んでほしいと願う桜井市民ご自慢の場所です。

天一神社の石灯籠

境内の石灯籠には鹿が浮き彫りにされています。

それにしても、たくさんの杉の木が生えていますね。

天一神社の切り株

大きな切り株も見られます。

おそらく昔は、この場所で他の巨木と並び立っていたことでしょう。

巨木の苔

幹には苔が生えています。

長い年月の流れを感じさせる光景です。まるで宮崎駿映画のワンシーンを見ているようですね。

巨木の苔

時が止まった境内。

杉は真っ直ぐに伸びます。真っ直ぐの「直ぐ(すぐ)」に由来しているとも言われる杉の木。

神域に入ると自然と背筋が伸びるものですが、天一神社の境内はなおさらのことです。直立不動の太い杉の大木を見上げていると、曲がった気持ちも矯正されるというものです。

天一神社の御神木

固く閉ざされた扉の向こうの杉が御神木です。

御神木はこの一本だけのはずなのですが、天一神社の境内に一歩足を踏み入れると、どれが御神木なのか見分けがつかなくなるほどの世界が広がります。まぁ普通の神社であれば、この境内のどの一本を取っても立派な御神木に成り得ます。

天一神社の境外

境内を囲う瑞垣から身を乗り出して下方を覗き込みます。

高い!

思わず立ちすくんでしまいました(笑)

御神木の背後

御神木の背後にも巨樹が三本並び立ちます。

これだけ密集して大木が林立している姿はあまり見られるものではありません。

瑞垣の補修跡

コンクリートの瑞垣が鉄の棒で補強されていました。

すぐ下方には、先ほど私が駐車したマイカーがあります。お願いしますよ、鉄の棒さん。

消防水利(八井内部)

消防水利「八井内部」と書かれています。

天一神社からさらに上手へも道が続いています。この先はどこへ通じているのでしょうか。

天一神社の手水舎

天一神社の手水舎。

手水舎にも注連縄が張られていますね。

天一神社の御神木

御神木の前には二体の狛犬が陣取っています。

正に圧巻の巨木ワールドです。

天一神社の御神木

御神木のてっぺんをなかなか捉えることができません。

どれぐらいの高さまで伸びているのでしょうか。その樹齢も気になるところです。

天一神社の御神木

製鉄・鍛冶の神様を祀ると云います。

三輪山の麓の集落・金屋にも、鍛冶職人が住んでいたと言われます。金屋という地名は鉄の製錬が行われていたことに因みます。天一神社のある鹿路周辺にも、かつて鋳物師(いもじ)と呼ばれる職人さんが居たのかもしれませんね。

天一神社の御神木

こちらは境内の杉の巨木です。

私の中では、十分にこの木も御神木です。見るからに神様が宿っている、そんな気がして参ります。

桜井市鹿路の天一神社

本殿の無い神社です。

大神神社と同じように自然崇拝の形を取り、年輪を重ねた杉の大木が鹿路の集落を見守り続けています。

天一神社参拝の後に気付いたのですが、天一神社の近くには「夢咲花」さんという木製ボールペン作りの体験工房があったようです。桜井市おもてなしガイドBOOKに掲載されていました。

体験工房は通年実施されているようですが、事前予約が必要となっています。費用は税込3,000円で、体験時間は30分~1時間です。吉野杉や桧など好みの材料で、オリジナルのボールペンを作ることができます。この体験プランには自然案内も付いているようです。おそらく天一神社もそのルートに入っているのではないでしょうか。

天一神社の周辺地図

境内で天一神社周辺の地図を見つけました。

この地図を見ても、いかに天一神社が山深い場所にあるかが分かりますね。

不動の滝、屋形橋、談山神社、八井内トンネル、藤原高光の墓等々の周辺観光スポットも併せて案内されています。

天一神社の御神木

御神木に近づいてみます。

やはり迫力がありますね。

天一神社の御神木

天一神社は桜井市観光の穴場です。

八井内の交差点から行く手は分かれますが、談山神社へアクセスするのとあまり変わらないぐらいの距離です。まだ天一神社の方が少し近いかもしれません。紅葉狩りに訪れる談山神社の参拝客は数多くいらっしゃいますが、天一神社の林立する巨木を見に来る参拝客はそう多くはありません。

天一神社

違う角度から天一神社境内を見下ろします。

桜井は奥が深い。そう思わせてくれる神社が鹿路の地に佇んでいます。

天一神社の錠前

御神木を守る錠前。

お互いに口に咥えた棒で結界を張っているようにも映ります。

天一神社・・・訪れる価値のある素晴らしい神社に出会えたことに感謝致します。

<天一神社の参拝案内>

  • 住所  :奈良県桜井市鹿路94
  • アクセス:JR.近鉄桜井駅よりバスで「多武峰」下車、徒歩30分
  • 御祭神 :天目一箇命(あめのまひとのかみ)
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