今井町の山尾家住宅

今井町の玄関口にも近い北尊坊通り。

奈良の地銀・南都銀行も居を構える通り沿いに山尾家住宅はあります。

その歴史を感じさせる建築様式から、昭和60年3月15日に県指定文化財にも登録されています。

山尾家住宅

巴紋の瓦と虫籠窓(むしこまど)。

少年時代に夢中になった昆虫採集。その時の虫籠を思わせるデザインに目を奪われます。町家建築を代表する意匠ですが、御触れなどによる厳しい建築規制の中にあって、様々な工夫が生み出されたことに興味を覚えます。

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桂小五郎も宿泊した建物

特筆すべきは、山尾家住宅にはあの桂小五郎も宿泊しているという点です。

明治天皇の今井行幸に随行した桂小五郎(木戸孝允)ですが、その時に使用した調度品が山尾家住宅(今井まち衆博物館新堂屋)に展示されています。

山尾家住宅

北尊坊通りの山尾家住宅。

飛鳥川に架かる蘇武橋を渡って、今井町エリアの北東方向から西へと入ります。しばらく歩くと、右手に古風な外観の銀行が見えてきます。江戸時代の町並みを今に残す今井町に合わせたデザインなんだろうなと思いながら、さらに西へと歩を進めます。

山尾家住宅

奈良県指定文化財・山尾家住宅の案内板が出ていました。

当家は16世紀中頃、桜井新堂村会津屋より分家移住したと伝えられ、「新堂屋」の屋号を持ち、肥料・木綿商を行い、幕末には両替商もあわせて営み、町年寄を勤めた大商家です。

幕府の巡見使一行の宿泊所にもなっています。

南側の道路に面して主屋・隠居部屋・東蔵が並び、西端には座敷、北側には多くの内蔵があります。

主屋は18世紀後半頃の建設とみられ、東側に通り土間をとった二列六間取りで、西端の座敷に通じています。座敷は文政3年(1820)の棟木銘もあり建設年代も明らかで、装飾的な要素が多く華麗な建物とみられます。

主屋東側の隠居部屋は二列四間取りで、東蔵に接していますが、主屋よりやや時代が降るものとみられます。

山尾家は北尊坊通りに面した広大な敷地に各建物が配置されており、町並景観上貴重な存在です。

また、座敷周辺の坪庭も指定されています。

なお、明治10年天皇行幸の際、木戸孝允・三条実美の宿泊所にもあてられ、それらの資料も数多く保存されています。

8代将軍徳川吉宗の時代に巡見使の本陣となった山尾家住宅。

桂小五郎(木戸孝允)も投宿した大商家で、幕末には町年寄も勤めた名家とされます。

今井町春日神社の絵馬

今井町エリアの南西部、環濠復元の近くに鎮座する春日神社。

境内の絵馬殿に、鹿の描かれた大絵馬が掲げられていました。

山尾家住宅

山尾家住宅の屋根の上には煙出しも見られます。

読んで字のごとく、煙を家の中から外に出すための意匠です。外国人観光客の姿もちらほら見られる今井町界隈ですが、英語に翻訳するなら smoke-exhaust で通るようですね。

広い住宅敷地内には数多くの建物が配され、水琴窟や紅梅のある庭も当時のまま残されています。

山尾家住宅の見学は有料です。

見学の際には事前連絡が必要です。不定休とのことですので、見学をご希望の場合は必ず前もってお電話下さい。電話番号は 0744-23-9478 です。

山尾家住宅(今井まち衆博物館新堂屋)の見学料は400円で、桂小五郎御宿泊の座敷でお抹茶(菓子付)で別途500円となっています。

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