野口神社を参詣した後、葛城川に沿って北進し、豊年橋を渡って東へ進みます。しばらくすると、玉手の交差点に差し掛かります。交差点脇にコンビニがあったので、コーヒーブレークをしながら店員さんに吉祥草寺(きっしょうそうじ)の場所を伺います。
吉祥草寺境内にある役行者産湯の井戸。
ひっそりと熊野権現の傍らに佇みます。
修験道の開祖・役小角の生誕地
吉祥草寺は役行者の誕生所と伝えられます。
吉祥草寺からJR和歌山線玉手駅を挟んで南側には、役行者の産湯を汲んだ木杓を埋めた場所とされる役行者杓の森もあります。さらに杓の森から北東方向には、同じく誕生のエピソードを物語る役行者たらいの森もあります。
役行者産湯の井戸から外へ出ると、百度石がありました。
向こうに見えているのが、吉祥草寺の本堂です。1396年に再建された本堂内には、中尊の不動明王をはじめとする五大明王が祀られています。
産湯の井戸に近づいてみます。
扉が網戸になっていて、右側に少し穴が開いていますね。
玉出の交差点手前にあった吉祥草寺の案内板。
トンド(左義長)発祥の地ともされる吉祥草寺は、1300年の歴史を誇る修験者のお寺として親しまれてきました。役行者像やその母君像も祀られており、修験者たちにとってはメッカのような場所だったのではないでしょうか。
吉祥草寺観音堂。
本堂と斜め向かいどうしに建つ観音堂。その前に八角形に囲まれた場所が設けられており、セーフティコーンが立っています。何を表している空間なのでしょうか、不思議な感じがします。
役行者産湯の井戸と熊野権現の祠。
熊野の神様も勧請されているようですね。
井戸の中を覗きこんでみます。
空を飛び、野山を駆け回り、鬼神をも自在に操ったとされる役小角。今年の初めに、吉野の吉水神社書院で役行者像を拝観したことがあります。鬼神を従えた役行者は貫録たっぷりだったのを思い出します。
役行者は金剛山、葛城山で修業を積み、太陽や月、風、水、火と一体化して、鬼の声を聞く呪術者として名声を馳せました。
熊野神社と役行者産湯の井戸。
産湯の井戸といえば、明日香村にある鎌足産湯の井戸が頭をよぎります。自然の中にそのままの状態で残されている印象がある鎌足産湯の井戸。それに比べ、こちらの役行者産湯の井戸は、傍らに鎮座する熊野の神様にも守られているような感じを受けます。
吉祥草寺へのアクセスは、JR和歌山線玉手駅から徒歩5分となっています。