奈良県立万葉文化館の庭に、石敷井戸の遺構が復原されています。
万葉文化館の前庭を通って飛鳥寺へ抜ける場所に、ひっそりと展示されていました。
石敷井戸の跡。
ちょっと見落としそうな場所です。
万葉文化館から飛鳥寺へ通じる近道に当り、”明日香通”の人なら何度も目にしていることと思います。初めて来られた方だと、あまり通らないルートかもしれません。
井戸枠の構造を図解!地下に保存される石敷井戸
実際に今も、地下2mの場所に保存されているようです。
文化財保護の観点からでしょう、発掘作業の後はよく埋め戻されます。
常に発掘調査が行われている明日香村では、頻繁に現地説明会があります。概ね週末のことが多く、仕事柄現地説明会に出向くことは稀です。考古学ファンの間では「現説、現説」と呼ばれ人気があります。石敷井戸跡の現地説明会があったのかは分かりませんが、発見当時はやはりヒートアップしたのではと思います。
井戸枠ですね。
この下に、井戸の遺構が埋まっているようです。
万葉文化館の石敷井戸跡。
この石敷井戸は、この場所で見つかった石敷井戸跡遺構の一部を復原したものです。(実際の遺構は地下約2mのところで保存されています)。
この井戸は、井戸枠の周囲を一段低くして、河原石を敷き詰めています。井戸枠は上端部が抜き取られていましたが、下部はよく残っていました。井戸枠の上半部の板は建物の扉に使用していたもので、閂(かんぬき)を通す鎹(かすがい)やフック状の錠を取り付けた跡が残っていました。また井戸枠の板には「道」、「飯」などの文字や「蓮の華と葉」などの絵の落書きがありました。井戸底に特別な施設はなく、地山岩盤の地層の間から湧き出す水を縦板のすき間と底から取水したものと思われます。
井戸の構造がよく分かる図解ですね。
人々から大切にされていた井戸だったはずです。ミュージアムの館内だけではなく、屋外にも様々な展示の工夫が見られます。
飛鳥寺本堂。
日本最古の仏像・釈迦如来坐像(飛鳥大仏)を祀るお堂です。
こちらは飛鳥水落遺跡。
古代の水時計ですね。中大兄皇子が人々に時刻を知らせるために作りました。
入鹿の首塚から飛鳥寺を望みます。
大化の改新のクーデターで、蘇我入鹿の首がここまで飛んで来たと伝わります。
鮮やかな黄色の菜の花。
飛鳥寺の周りには畑地が広がり、季節の花が彩りを添えます。
万葉文化館からここまで徒歩5分ほどです。
県立万葉文化館で万葉集の世界に浸り、飛鳥寺で仏教黎明期に触れる。
古代の日本が楽しめる手軽な観光ルートです。