橿原考古学研究所附属博物館の展示物を幾つかご案内します。
藤ノ木古墳出土の豪華な副葬品が人気を呼ぶ博物館ですが、その他にもたくさんの見所がありますのでここにご紹介しておきます。
生贄の鹿と銅鐸が見られます。
呪術道具とも言われる銅鐸ですが、ちょうど釣鐘のように上部に紐のような物を通す穴が開いています。
見所は太安万侶の墓誌!中西遺跡から検出された切り株
木の枝に銅鐸を吊るしている様子が再現されていますね。
この模型の右側には、多くの民が跪きながら神に祈りを捧げています。古代の再現模型を見ながら、タイムスリップした空間へと誘われます。
メスリ山古墳の周囲に巡らされた円筒埴輪。
所々に継ぎ接ぎの箇所が見られますね。
埴輪には大きく分けて二種類の埴輪が存在します。初期の頃の円筒埴輪と、後の時代になって出てくる家形埴輪や動物埴輪などの形象埴輪です。博物館の中でも、順路に従って円筒埴輪の次には人物埴輪なども交えた形象埴輪が展示されています。
国の史跡指定も受けている桜井市のメスリ山古墳。
珍しい名前で知られるメスリ山古墳ですが、そのネーミングの由来は「巡る」という言葉にあるのではないかと言われています。
ぐるりと周囲を巡る形状から、鉢巻山古墳という別名も持ち合わせます。メスリ山古墳の円筒埴輪は、古墳の周囲をぐるりと巡るように配置されていたことからも、その説が正しいのではないでしょうか。
榎の切り株が展示されていました。
京奈和自動車道の工事の際、上部の焦げた切り株が出土したようです。
なぜ上部が焦げているのでしょうか?その理由は、焼くことによって木を切り倒したことに因みます。当然のことですが、古代の人はチェーンソーなどの便利な道具を持っていませんでした。鋭利な鋸も無かったのではないでしょうか。家や船を作る際には木が必要であったはずです。上部の焦げた切り株がそのことを如実に物語っています。
エノキの切り株の検出状況が案内されています。
弥生時代前期 前4世紀 御所市中西遺跡と書かれていますね。
現代でも巨樹と言えば榎、と言うほど榎の大木が奈良県内にも多数存在します。農耕儀礼で有名な今里の蛇巻きも、榎の大木を駆け上がっていましたよね。榎と共に歩み続ける日本の歴史に、ふと思いを馳せます。
国宝に指定される藤ノ木古墳出土の金銅製冠。
かつては金色に輝いていたと伝えられる金銅製沓の右側に展示されていました。
橿原考古学研究所附属博物館の中庭に展示される動物埴輪。
中庭を囲むように、フリーゾーン(ビデオライブラリーやミュージアムショップ等)、特別展示室、第1展示室、第2展示室、第3展示室が並びます。
奈良市内で発見された太安万侶の墓も再現されていました。
古事記編纂に携わった太安万侶は田原本町の多神社に祀られていますが、そのお墓は奈良市内で出土したんですね。なぜ太安万侶の墓だと判明したのか?それは墓誌にその名前が刻まれていたことによります。
こちらが太安万侶の墓の墓誌。
重要文化財に指定される展示品です。
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館。
近鉄畝傍御陵前駅から徒歩5分ほどの場所にあります。
入館料は一般400円、高校生・大学生300円、小・中学生200円。常設展以外にも特別展示が行われる期間中は料金に変動があります。
休館日は基本的に月曜日。月曜日が祝日の場合は火曜日が休館日となります。その他にも、年末年始の12月28日~1月4日がお休みで、博物館が指定する臨時休館日もありますので、詳細は博物館のHPをチェックしてからおでかけになられることをおすすめ致します。