手の込んだ脱活乾漆像(だっかつかんしつぞう)。
内部が空洞で、表面の漆が乾いて硬くなった仏像のことを指し、奈良時代によく見られる技法です。奈良国立博物館の特別展でユーモラスな力士像を拝観しました。
奈良時代の力士立像。
重要文化財に指定されています。髭を生やしたお姿は大変珍しいのではないでしょうか。
奈良博の伽藍神立像!寺のお目付け役
いよいよ大詰めを迎えた奈良国立博物館の「奈良博三昧」。数ある奈良博(ならはく)コレクションの中でも選りすぐりの優品が展示されています。夏休み前からの開催で、今週末で終了です。一番の目玉はやはり、走り大黒とも称される伽藍神立像(がらんしんりゅ...
手首の腕釧!指に力を籠めるユーモラスな金剛力士
静かに瞑想する如来や、憤怒の表情で迫る明王などとは一線を画する彫像です。
左腕を曲げ、体の前に差し出す姿はどこか滑稽にも映ります。志村けんさんのアイ~ンを彷彿とさせますね。
手首には腕釧(わんせん)のような装飾品が見られます。
今でいう腕輪のようなものですが、左右両方に見られます。五本の指先をピンと伸ばし、直立した姿勢からも張り詰めた緊張感が漂っています。
案内プレートがありました。
この仏像は、漆に木の屑などを混ぜて粘土のようにしたもので形作られているよ。細かい部分まで丁寧に作られるのが特徴なんだ。こうした仏像の作り方は、特に奈良時代に流行ったんだよ。ユニークなポーズと表情にもご注目!
単に漆だけではなく、そこに木屑を混ぜ盛り上げるように成形されているのでしょう。
一種の敬礼でしょうか。
金剛力士像が取る、特異なポーズに釘付けになります。
奈良公園の鹿。
鹿せんべい売場の横でたむろする鹿たち。
この場所に待機していれば、観光客からおやつが貰えると分かっているのでしょうね。
金剛力士と言っても、東大寺南大門を守る金剛力士像とは随分雰囲気が違います。
ひげを蓄えている時点で、より人間寄りの表現になっています。
当日の館内は写真撮影の許可が下りていました。
SNSが普及し、誰もがスマホを持つ時代です。敷居の下がった奈良博はいつも以上に賑わっていました。