万葉歌人の陶磁器人形

奈良県立万葉文化館の展望ロビーに陶磁器人形が展示されていました。

久しぶりに訪れた万文でしたが、令和の時代を迎えて益々充実した内容です。

万葉歌人陶磁器人形

万葉歌人をモチーフにした陶磁器人形。

見目麗しい額田王です。彼女の万葉歌と共に展示されていました。説明書きにもありましたが、どうやら有田焼で制作されているようです。

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枕詞のあかねさす&大伴旅人の黙(もだ)

昔のひらがなの音の響きはいいものですが、万葉文化館に来ると改めてそのことを実感します。

古代に栄えた明日香村という空間がそうさせるのでしょうか。

奈良県立万葉文化館の展望ロビー

1階の日本画展示室奥にある展望ロビー。

ガラス張りの開けた場所です。

展望ロビーにはいつも何かが展示されていますが、今回は万葉歌人の陶磁器人形でした。

大伴旅人の陶磁器人形

同じく1階のホワイエには、大伴旅人の人形がディスプレイされています。

右膝を立てて座っていますね。

大伴旅人の万葉歌

黙然(もだ)をりて賢(さか)しらするは酒飲みて酔泣(ゑひなき)するになほ若(し)かずけり

歌の意味ですが、賢いふりをして黙り込んでいるよりも、酒を飲んで酔い泣きするほうが余程良いと歌っています。旅人の「酒を讃むるの歌」に出てくる万葉歌で、もだ(黙)という古語が新鮮に響きます。

もだとは、沈黙や黙っていることを表す名詞です。

物言わぬことを、昔は「もだ」と言ったのです。黙る、口をつぐむなどの動詞は「もだす」と表現しました。

大伴旅人の陶磁器人形

酒を入れた徳利でしょうか。

旅人は酒をこよなく愛した人だったのかもしれません。

万葉歌人陶磁器人形

展望ロビーには何体もの陶磁器人形が並びます。

壁面のレリーフは歌垣の風景を描いたものです。

万葉歌人陶磁器人形

万葉歌人陶磁器人形。

万葉集からイメージを膨らませ、それぞれの歌人が表現されているようです。

人を愛し、自然を感じ、時に死と向き合う。人として生を享けた者が、皆一様に通る道ですね。それだけに時を超えた共感を呼ぶのでしょう。

万葉歌人陶磁器人形

万葉歌人たちのそれぞれの特徴を表現します。

展望ロビーの奥には、飛鳥時代を駆け抜けた女帝たちのビデオが流れていました。

推古天皇編を観ましたが、興味を引くストーリー仕立てで面白かったです。推古天皇は実の息子である竹田皇子と共に、橿原市五条野町の植山古墳に葬られたのではないかと言われます。ちなみに、後に二人は大阪の磯長谷(しながだに)に改葬されています。

額田王の万葉歌

額田王の有名な万葉歌ですね。

枕詞の「あかねさす」で始まります。枕詞は大体5文字が多く、あかねさすもご多分にもれず5文字です。日、昼、照る、紫などに掛かる枕詞として知られます。

天香久山と耳成山

展望ロビーから望む天香久山と耳成山。

畝傍山も含んだ大和三山の風景は、万葉歌人たちの心をとらえて離しませんでした。

歌垣の風景

歌垣の風景。

このレリーフは開館当初からあるような気がします。

歌垣の風景

「歌掛き」が本来の意味だったと思われるが、人が垣根のように立ち並んで歌を掛け合うことから、奈良時代には「歌垣」と書かれるようになった。東国では嬥歌会(かがい)と言い、その場合の語源は「掛け合い」であろう。

春秋に繰り広げられる男女の出会いの場。

歌の掛け合いや舞を楽しみながら、雑婚に及ぶ行事だったと伝わります。遣隋使の小野妹子が辿り着いた海柘榴市などは、歌垣で盛り上がった場所として有名です。

かすがい

地下1階の特別展示室にあったカスガイ。

両端がほぼ直角に曲がった大釘ですね。物の合わせ目を双方からつなぐために用いられたようです。かすがいの英語名も案内されており、clamp と示されます。ちなみにアメリカの俗語に、clampdown 「厳重取締」という表現があるのも面白いですね。

万文の一般展示室

一般展示室の「歌の広場」。

さやけしルームや万葉劇場など、一般展示室のコンテンツにさほど変わりはないようです。橿考研も近々模様替えされますが、そろそろ万文の展示内容にも変化が欲しいところです。

売り物ではないと思いますが、陶磁器人形のお値段が気になります。きっと高価なものではないでしょうか。