栢森の綱掛神事!女綱と福石

明日香村栢森の女綱(めづな)を訪れました。

勧請綱掛神事で知られる栢森地区。ヒガンバナや案山子ロードで人気の稲渕地区より上手にあります。県道15号(桜井明日香吉野線)を南下し、勧請橋の男綱(おづな)を横目に飛鳥川沿いを遡ります。関西大学 飛鳥文化研究所を過ぎた辺りから一旦道が狭まります。

栢森の勧請縄・女綱と福石

飛鳥川に掛かる女綱と福石。

栢森の綱掛神事は仏式で行われ、福石の上に祭壇が設けられるようです。

関西大学の研究所を過ぎると、ほどなく左手に飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社が鎮座しています。社前に車を停めてお参りした後、栢森地区を目指しました。

明日香村稲渕のバス停
明日香村稲渕のバス停。 明日香村稲渕っていえば、勧請綱掛神事や飛び石で有名ですよね。 飛鳥川に架け渡される勧請縄の男綱~毎年成人の日になると、1年間の役目を終えた旧男綱から新しい男綱に架け替えられる神事が執り行われます。飛鳥坐神社の神官によ...

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飛鳥川に掛かる悪疫退散の勧請縄

栢森の女綱には一台分ぐらいの路駐スペースがあります。

緩やかにカーブを描きながら向かったのですが、女綱手前の道路脇には石仏が祀られていました。

栢森の綱掛神事

飛鳥川に掛かる女綱。

女性の象徴が邪悪なものの侵入を防いでいます。女性シンボルの手前に、だらんと一本の綱がぶら下がっていますね。紙垂が結ばれていることから、これも何か意味があるのでしょう。

栢森の福石

飛鳥川沿いの、女綱を仰ぎ見る位置に福石が置かれています。

注連縄を張った「陰物」とも呼ばれる福石です。

「猿石を経て高取城跡」の道標

女綱近くの道標。

女綱から猿石を経て、日本三大山城の高取城跡や壷阪寺まで歩いて行けるようです。女綱前の車道をさらに進み、左へ行けば栢森集落です。集落内には加夜奈留美命神社があります。

加夜奈留美(かやなるみ)は旧社名を葛神(くずがみ;国津神)と言ったようです。時代を経て江戸中期になり、加夜奈留美と栢森(かやのもり)が近似音であることから、葛神神社をもって式内社とした経緯があります。

勧請橋と男綱

こちらは勧請橋と男綱(おづな)。

女綱の下流に男性のシンボルが掛けられていました。

稲渕の男綱

稲渕の男綱。

子孫繁栄と五穀豊穣を祈念します。

栢森の綱掛神事が仏式で行われるのに対し、稲渕の綱掛神事は神式で執り行われます。よく似た神事に、桜井市の「入舟の儀式」がありますよね。“お綱さんの嫁入り”と呼ばれるお綱祭りです。

稲渕の男綱

世界中が3年間にも及ぶコロナ禍に遭いました。

悪疫退散の願いは、古今東西変わらぬものがあると思います。勧請縄には、流行り病の侵入を防ぐ目的もありました。奈良県内でも明日香村のみならず、各地で見られる風習です。パッと思い付くだけでも、桜井市高家の勧請縄天理市藤井町の勧請縄が挙げられます。

飛鳥川

栢森地区に入りました。

豊かな自然に包まれる飛鳥川。

飛鳥川

古来より度々氾濫を起こしたという飛鳥川。

今もその流れの速さは変わらないのかもしれません。

栢森の女綱

そんな飛鳥川に掛かる女綱。

急に強い雨が降ってきて、少し写真がブレてしまいました(;^_^A 栢森の綱掛神事では、下流の龍福寺住職が法要のお務めをなさっているようです。竹野王碑の残る龍福寺ですね。

栢森の福石

苔生した福石。

奥飛鳥と呼ばれる場所だけに、そこはかとなく湿気を感じます。

栢森の綱掛神事

栢森の綱掛神事 Tsunakake Rite, KAYANOMORI

綱掛神事は、栢森と稲渕両大字に伝わる神事で、毎年正月11日に行われる。カンジョ掛神事ともいう。
子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などこの道と川を通って侵入するものを押し止め、住民を守護するための神事といわれている。
栢森大字の神事の特徴は、全体を仏式で行うことである。福石(陰物ともいう)と呼ばれる石の上に祭壇を設け、僧侶の法要の後、飛鳥川の上に陰物を形どった「女綱」を掛け渡す。一方、飛鳥川下流の稲渕大字の神事は神式で行うことが特徴で、「男綱」を飛鳥川に掛け渡しをする。

飛鳥川上流に女綱、下流に男綱という並びです。

栢森や稲渕は飛鳥古京の水源地帯です。かつては雨乞いも行われたことでしょう。

栢森の女綱

上手から見る女綱。

栢森と加夜奈留美。朝鮮半島の加耶(かや)とも関連があるのかもしれません。加耶は日本の古墳時代に当たる4世紀から6世紀に、朝鮮半島南部にあった小国家群です。渡来人の匂いも感じさせるエリアですね。

栢森の拝所

女綱から100mほど手前に、何やら不思議なものが祀られています。

栢森の拝所

何でしょう?

石燈籠の向こうに、小さい陽石のようなものが見えます。

石段まで付けられ、お参りできるようになっています。この左下には小さな石仏群がありました。

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