今年も春日若宮おん祭の季節がやって参りました。
奈良の一年を締め括る伝統行事として知られる春日大社の祭事です。
寸分の狂いなく毎年12月17日正午に出発するお渡り式。平安時代から江戸時代の衣装を着た約1千人の行列が市中心部を練り歩きます。曜日に関係なく決まった日時に執り行われ、分かりやすくていいですよね。
「影向の松」の前辺りを通過します。
松の下式と呼ばれるお渡り式のメーンステージです。
祝祭日が一定しない昨今の日本にあって、12月17日正午スタートと決まっているのは有難い限りです。
884回を数える日本最古の文化芸能祭典
春日若宮おん祭の歴史は古く、平安時代の1136年に遡ります。
途切れることなく毎年行われ、令和元年度の今年で第884回目となります。国の重要無形民俗文化財にも指定され、名実ともに奈良を代表する一大イベントです。
影向の松前に座る頭屋児(とうやのちご)が神々しくも見えてきます。
華やかな時代行列に目を奪われがちですが、歴史に裏打ちされた神事であることを知ります。
松の下式のこの場所を通過するのは、17日の午後1時頃となります。
お渡りの行列は正午に県庁前を出発し、近鉄奈良駅前を西へ進み、そこから三条通を折り返して御旅所へ向かいます。御旅所の手前にあるのが松の下式で、さらにその10分前には南大門交名の儀(興福寺南大門跡)が組まれています。
馬出橋(まだしのはし)周辺で行われる稚児流鏑馬。
午後2時30分頃に予定されています。
お渡り式の ”大取(おおとり)” が稚児流鏑馬で、その前には競馬が行われます。
こちらはお渡り式に臨む前の乗馬シーン。
春日若宮おん祭の全日程は4日間に及びます。
お渡り式は3日目に当り、初日の15日には餅飯殿町にて大宿所祭(おおしゅくしょさい)が催されます。翌16日には大和士宵宮詣(午後2時)、田楽座宵宮詣(午後3時)、宵宮祭(午後4時)と続きます。
メインの日となる17日午前0時からは、摂社・若宮神社の神を御旅所に遷す「遷幸の儀」が執り行われます。神様がお遷りになられた後、暁祭(あかつきさい)、本殿祭・若宮御留守事(おるすごと)、試しの儀と続きます。
お渡り式がメインイベントと思っておられる方も多いことでしょう。
ところが、その後の御旅所祭(おたびしょさい)こそが祭事の中核を成します。神楽や田楽などの芸能が、午後10時頃まで神前に奉納されるのです。
是非一度、あなたも春日若宮おん祭に繰り出しましょう!