そこにただ佇んでいるだけの飛鳥の亀石。
いつ行っても何も変わらないので、最近は足が遠のいていました。久しぶりに訪れてみたところ、亀石の新たな顔を発見することができました。亀石の横のお店に入ってみましょう。そこに飾られた写真の中に、雪化粧をする亀石と、田んぼの真ん中に佇む亀石が居るではありませんか!実際のシチュエーションに出会ったわけではありませんが、今までとは違った表情に思わず頬が緩みました。
雪化粧をする亀石。
亀石の目の上に雪が降り積もっています。
亀石の目は特徴的ですよね。瞼(まぶた)が腫れ上がっているというか・・・上向きに付いていることから、実は蛙ではないかとする説もあるようですが(笑) いずれにせよ、その亀石ならではの目がこの光景を生み出しています。
地下道近くの福徳子安地蔵と亀石を見学
亀石のすぐ傍に福徳子安地蔵という大きなお地蔵さんが立っておられます。
亀石人気に隠れてあまり取り上げられることのない地蔵仏ですが、その存在感は抜群です。脇には石灯籠も建ち、この場所が昔から分岐点であったことをうかがわせます。
亀石近くの道案内。
新たに道が整備されて地下道が出来上がっています。鬼の俎・雪隠方面へは地下道を経由するようです。車道横を緩やかに下って行けば、天武持統天皇陵へとアクセスします。交差点角にはコンビニもあり、飛鳥周遊観光においてはすっかりお馴染みの場所です。
聖徳中学校、鬼の俎・雪隠方面へと続く地下道。
前方に見えている丘陵は甘樫丘です。
福徳子安地蔵。
かなり大きなお地蔵さんですね。
亀石を訪れたなら、誰もが一度は目にしたことがあるはずです。
昭和40年頃の亀石。
初めて見る亀石の姿です。
水を張った田んぼの真ん中に佇んでいます。
亀石が南西向きなのは以前の記事でもご案内しました。長い歴史の中でその向きを少しずつ変えているそうです。真実のほどは定かではありませんが、ミステリアスな飛鳥ならではの伝説です。
亀石の重量は40トンなんですね。動かそうにも動かせないわけです(笑)
飛鳥寺の飛鳥大仏も同じ場所にずっと居続けていると云います。飛鳥大仏もかつては露天に晒されていたという話を聞きます。そのもの自体は変わらなくても、周りの風景は少しずつ変わり続けているのでしょう。
目の上が波打っていますね。
本当に亀なのか?様々な疑問を残す石造物です。
亀石の向かって右下には石矢の跡があります。2年前の秋に訪れた時には、そこにヒガンバナが咲いていたことを思い出します。何らかの理由で加工された跡なのかもしれません。実は亀石はもっと巨大だったのかもしれない、そんなロマンが掻き立てられますね。
松本清張氏によれば、伝説上の生物・グリフォン像を造ろうとした途中なのではないかと言われます。斉明天皇の時代に残された数多くの謎の石造物。亀石もその内の一つなのかもしれません。グリフォン像は鷲の翼と上半身を持ち、下半身はライオンとされます。光永寺にある人頭石なども国際色豊かな飛鳥を象徴していますよね。制作過程にあったグリフォン像という説もあながち嘘ではないような気がしてきます。
こちらはいかにも和のテイストあふれるお地蔵さんです。
右手の持物は錫杖でしょうか。いつの時代からこの場所に立ち続けていらっしゃるのでしょうか。
お店には亀石グッズも販売されていました。
「長寿開運祈願」の手作り亀、金銀二色の置物ですね。
うん?これはもしや3Dプリンターのフィギュアでしょうか。以前に万葉文化館横のASUCOMEで二面石のフィギュアを購入したことがあります。それと作りがよく似ています。
かつての田圃の真ん中に佇む亀石はもう見ることができません。
しかしながら、雪化粧の亀石はお目に掛かれるかもしれませんよね。私が住む桜井市もそうですが、この辺りは年に数回程度しか積雪がありません。少ないチャンスを見計らって訪れてみる価値はありそうです。