競馬の勝敗榊&登大路園地桟敷席

春日若宮おん祭の準備風景を見学して参りました。

均(なら)された競馬の馬場やゴール地点の勝敗榊(しょうはいさかき)を目にすると、ダイレクトにおん祭の興奮が伝わってきます。新たに設けられた桟敷席などもあり、着々と準備は進められているようでした。

春日若宮おん祭の特別桟敷席と馬場

お渡り式の第7番に奉納される競馬。

馬出橋(まだしのはし)からスタートし、御旅所前の勝敗榊までのコースを競います。

競馬の勝敗はそのまま、この後演じられる舞楽にも影響を及ぼすことになります。御旅所祭で奉納される舞楽の蘭陵王(らんりょうおう)納曽利(なそり)。左舞の蘭陵王と右舞の納曽利の順番は、左右の馬の勝負によって決められます。”競馬の勝負舞” とされ、勝者が先に敗者が後に奉納されます。

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御旅所前のゴール地点を示す勝敗榊

普段は何気なく通り過ぎる春日大社の参道。

一の鳥居近くの松の下式会場にも特別桟敷席が設けられ、いよいよおん祭ムードが高まっていました。その中でも特に目を引いたのが勝敗榊です。勝敗榊?一瞬これは何だろうと思ったのですが、すぐにお渡り式で行われる競馬に関するものであることを理解します。

勝敗榊

競馬の勝敗榊

参道を挟んで御旅所の真ん前に位置しています。

勝負が決するポイントは、やはり若宮様にもご覧頂きたいですからね。瑞垣に囲われるようにして榊が植栽されていました。かつては馬止橋(まどめのはし)がゴール地点だったようですが、明治維新後に競馬が再興された際、当時の宮司らの寄進によって植えられたそうです。

勝敗榊

榊は「境木」にも通じると言います。

俗界と聖域を分ける境目の木。そんな意味合いも込められているのかもしれませんね。

現在の競馬は、三双(二騎ずつ三回)が春日大社参道を疾走します。かつては興福寺三綱から出され、五双で競われていたようです。赤と緑の錦地の裲襠装束(りょうとうしょうぞく)に身を固め、細纓冠をつけた騎者たちが勇ましく駆け抜ける人気の神事です。

お渡り式の出発風景を観覧する特別桟敷席

春日若宮おん祭には毎年数多くの見物客が詰め掛けます。

スケジュールの確認をして場所取りにも余念がないでしょう。でも、場所取りの心配をせずにおん祭を楽しみたいですよね。そんな方にはやはり、特別桟敷席がおすすめです。

春日若宮おん祭の特別桟敷席は3種類用意されています。

  • 登大路園地桟敷席:11時30分より宝蔵院流槍術演武(行列通過時間は11時50分~13時) 席数は約1,000席 料金は2,000円
  • 松の下式桟敷席 :行列通過時間は13時~14時30分 席数は約160席 料金は3,500円
  • お旅所前桟敷席 :行列通過時間は13時~ お旅所祭は14時30分~22時30分 席数は約160席 料金は5,500円

松の下式桟敷席と御旅所前桟敷席は以前から知っていたのですが、今回初めて県庁前にも特別桟敷席があることに気付きました。

登大路園地桟敷席

登大路園地桟敷席。

白いテントの手前で、黒幕が風に靡いていました。

ここは奈良公園の登大路園地です。普段は奈良公園の鹿がたむろする場所でもあるのですが、さすがにこの日は鹿の姿もまばらでした。黒い幕は馬を興奮させないためのものでしょうか。

登大路園地桟敷席の黒幕

正午12時にスタートするお渡り式ですが、その直前の風景を楽しむことができます。

巫女や馬長児、流鏑馬児などが騎乗する姿を間近に見学します。これから始まるお渡り式!その興奮のボルテージが最高潮に達する瞬間でもありますね。

登大路園地桟敷席

特別桟敷席の登大路園地桟敷席。

開場時間は10時のようです。お渡り式直前の11時30分~13時まで観覧することができます。

設置席数は約1,000席で、全席当日ブロック指定となっています。販売料金は簡易カイロ付で、お一人様2,000円。登大路園地では、十津川村の足湯も開設されているようです。

登大路園地桟敷席

こちらがその、登大路園地桟敷席。

スタンド形式で高い位置から見下ろすことができます。前の人の頭が邪魔になってよく見えない、他の見物客のカメラやスマホが邪魔・・・そういったことからも解放されそうですね。

お渡り式のコースを下見

お渡り式が行われるのは12月17日です。

地球温暖化の流れにあるとは言っても、寒風に体が縮こまってしまう季節です。カイロ付というサービスも有難いですよね。奈良の一年を締め括る春日若宮おん祭ですが、冬の奈良観光を盛り上げることに一役買っていることでしょう。平城宮跡で開催される大立山まつりも相当寒いですからね(笑) 服装を含めた寒さ対策は十分にしておく必要がありそうです。

馬出橋と馬場

春日大社参道の馬出橋

競馬の馬はここから出発します。東へ向かって走り出すわけですが、馬場の向こう左側には流鏑馬に使われる的場が見えています。競馬の次に披露されるお渡り式第八番・稚児流鏑馬も見所の一つです。

競馬の馬場

目の前で疾走する馬を見学することができます。

実はまだ、ライブで拝見したことがありません。競馬は午後1時過ぎに行われるのですが、松の下式と時間が重なっています。お渡り式の中でも最も注目に値する松の下式・・・その松の下式をあきらめ、参道東寄りに陣取る必要があるのです。

もう何度も松の下式を見学した人なら、競馬目当てにおん祭を楽しむことも出来そうですね。

稚児流鏑馬の的場

あそこに流鏑馬の的が設置されます。

かつては夜中に、かがり火を焚いて催されたという流鏑馬神事。今はお天道様の下で矢が射られるわけですが、暗闇の中での流鏑馬も雰囲気があったことでしょう。

春日大社一の鳥居

春日大社一の鳥居。

三条通に面して榊が立てられていますね。

この榊は春日大社の神山・春日山から伐り出されたものです。3月の春日祭と12月の春日若宮おん祭の前に、鳥居の両側に新しい榊が立つ慣わしです。そして、それぞれの祭事の数日後には、奈良ホテル寄りの南側に立てられていた榊が外され、北側のものだけが残されます。

鳥居をくぐると、すぐ両脇には松の下式桟敷席が設けられていました。

松の下式の桟敷席

特別桟敷席でなくとも、その下には一般の観覧スペースが設けられています。

一般観覧席と言うよりは、むしろ ”参道脇の通路” といった感じですね。

この細長い通路に多数の見物人が陣取ります。ちなみにこの通路ですが、参道右側と左側のどちらがいいのか気になりますよね。私の経験上では、参道右側、つまり南側の方がおすすめです。その理由は影向の松を背にしているからです。様々な芸能は影向の松や頭屋児に向かって披露されます。細男(せいのお)が袖の拝をするのも、猿楽座や田楽座が芸を奉納するのも皆、”南に向かって” なのです。

頭屋児の居場所

お渡り式で頭屋児が座る場所です。

2年前に訪れた時には、春日大社の宮司さんの姿も見られました。

奈良国立博物館の看板

奈良国立博物館で開催中の『おん祭と春日信仰の美術』

お渡り式当日は、ミュージアムの入館料が無料になります。

南大門交名の儀

興福寺前にやって来ました。

こちらは南大門交名の儀が行われる場所ですね。背後には再建中の興福寺中金堂を望みます。

南大門交名の儀

三角コーンが並んでいました。

ここは興福寺南大門跡に当り、お渡り式当日には僧兵姿の衆徒が勢揃いします。お渡り式に不備が無いか改めるためのようで、言わば最終チェックのような場所ですね。

春日若宮おん祭の歴史は、興福寺のサポート無しには成立し得ません。全面的な支援を受けてきた歴史を鑑み、祭礼の主催権を持つ興福寺への敬意を表しているのです。神社とお寺は昔から密接に繋がっていることを感じさせられますね。

御旅所

若宮様が遷られる前の御旅所。

大きなだ太鼓に幕が掛けられているようです。

競馬の馬場

馬場の最終地点。

走り切った馬がやれやれとジョグするところでしょうか(笑)

勝敗榊

勝敗榊の向こうにお旅所を垣間見ます。

今は静かですが、御旅所祭の最中はどんな雰囲気に包まれるのか興味があります。

勝敗榊と特別桟敷席

すぐ横にはお旅所前桟敷席が用意されています。

おん祭の解説書、専用機器による音声ガイドサービスも付いています。子供料金の設定は無く、1人5,500円と少々お高めですが、おん祭の真髄に触れるには欠かせない場所です。

競馬

お渡り式の参進コースを前日に下見するというのもいいものですね。

当日だと、人がごった返してゆっくり見学できません。

混雑を回避して、その上にお渡り式の意義深さにも触れることができます。お渡り式当日は都合の悪い年もあるでしょう。お渡り式を見ることが出来なくても、その前後にも見所はあふれています。