腰より下の婦人病にご利益がある赤乳(あかち)神社。
白毫寺の石段を下って右折し、緑山緑地公園を抜けて「観月の道」を道なりに登って行くと、ほどなく左手に春日大社の境外末社である赤乳神社が見えてきます。
赤乳神社の祠の手前にさるすべりの木が植えられていました。
赤乳神社絵馬!御祭神と由緒
赤乳神社は鎌倉時代以前より祀られる古社です。
腰より下の婦人病を治すのにご利益があると伝えられます。春日大社の縁結びで知られる夫婦大国社の上手に赤乳白乳雨神社遥拝所がありますが、遥かこの地まで足を運ぶことの出来ない参拝客が詣でる場所として知られます。
春日大社境内の赤乳白乳雨神社遥拝所に掲げられていた赤乳神社の絵馬。
赤い着物を着た女性の下半身が描かれています。
赤乳神社があれば白乳(しらち)神社もあります。白乳神社は赤乳神社より北に位置し、滝坂の道(旧柳生街道)の入口近くに鎮座しています。白乳神社は女性の腰より上の病にご利益があると言われます。
観月の道から左手の草むらの中へ入って行くと、赤乳神社の案内書が掲げられていました。
赤乳神社の御祭神は稚日咩女神(わかひめのかみ)。
日の女神とされ、稚日女尊(わかひるめのみこと)とも称されます。天照大神の御子、あるいは妹とも伝えられる神様です。毎年5月15日に例祭が催されているようですね。
赤乳神社の祠前には、立派な石造水舟が置かれていました。
ここは能登川のせせらぎが聞こえる静かな場所です。
時折近くの飛鳥中学校のグラウンドから、部活動に励む子供たちの元気な声がこだまします。ここも春日大社の広大な神域の中の一つなんですね。
赤乳神社の祠。
赤乳神社は奈良市白毫寺町に鎮座しています。
赤乳神社からさらに上手へ登って行くと、左右に分かれる丁字路に出ます。左に道を取ると、やがて滝坂の道の入口に出ます。そこから右手に登って行けば、柳生の里笠置山に通じる滝坂の道が通っています。左に取れば、能登川を背にする白乳神社が鎮座しています。
白乳神社からさらに西へ道を下って行きます。右手には春日大社の神域が広がり、左手には縁切り祈願で知られる不空院や多数の国宝が収まる新薬師寺があります。
赤乳神社の祠。
観光客の往来もほとんど見られない場所に、ひっそりと佇む古社です。
春日大社の若宮神社のさらに奥、夫婦大国社の上手に遥拝所が設けられているのも頷けます。
ここまで足を伸ばしてお参りをするのは大変です。
椿や萩で知られる白毫寺参拝のついでに立ち寄ることはできても、なかなかその機会を得られないのが実情ではないでしょうか。古来より婦人の下半身の病を治癒してきた赤乳神社。春日大社の遥拝所で祈願するだけでは物足りないという方は、一度足を運んでみる価値はあります。