春日大社万燈籠を再現する藤浪之屋

春日大社のイベントとして知られる節分万燈籠中元万燈籠

三千基にも及ぶ春日大社の燈籠全てに火が灯される恒例行事です。私は残念ながらまだこのイベントを見たことがないのですが、境内の藤浪之屋においてその雰囲気を感じ取ることができます。

藤浪之屋の万燈籠

重要文化財の藤浪之屋に灯される釣燈籠の明かり。

春日大社の本殿間近に、かつて神職の詰所だった藤浪之屋という建物があります。魔物祓いの椿本神社の背後にある建物で、西向きの入口には暗幕が掛けられていました。

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万燈籠の歴史と春日神の幽玄世界

私は今まで藤浪之屋という建物があることすら知りませんでした。

昔は燈籠が奉納される際、その油料も同時に納められていたようです。油が尽きるまで、毎夜灯りが点されていたと言います。今でこそ年三回のイベントになってしまいましたが、昔の境内ではどこかしらの燈籠に灯りが点っていたのかもしれませんね。さらに古くには、奈良町の住人が春日参道において ”雨乞い祈祷” として万燈籠を行っていた歴史が伝えられます。

藤浪之屋の万燈籠

再現万燈籠。

藤浪之屋に足を踏み入れると、中は真っ暗でよく見えません。

ほのかに灯された明かりを頼りに歩を進めるのですが、それがまた胸ときめくものがあります(笑) 遊園地のお化け屋敷に入って行く時のあの高揚感にも似ています。お化け屋敷なんて言ったら失礼に当たりますが、どこかテーマパークで体験する気分が味わえるのです。

藤浪之屋の案内板

万燈籠再現 重要文化財藤浪之屋。

春日大社は燈籠が沢山あることで有名で、平安時代から現在まで奉納された燈籠はおよそ三千基にのぼります。春日の燈籠は数が多いだけではなく、歴史的な資料としても重要で現存する室町時代以前の燈籠の6割以上が当社にあるといわれています。

2月の節分、8月14・15日の年3回全ての燈籠に浄火を灯す春日万燈籠が行われています。この万燈籠神事を感じて頂こうと江戸時代まで神職の詰所であった重要文化財の藤浪之屋を開放しました。由緒ある建物の中で万燈籠の幽玄の美を感じて下さい。

約三千基の春日大社燈籠ですが、その内訳は1,000基が釣燈籠で2,000基が石燈籠となっています。

春日大社一の鳥居から続く長い参道沿いには数多くの石燈籠が並んでいますよね。石燈籠のある風景が、そっくりそのまま春日大社の神域と結び付きます。

藤浪之屋の看板

藤浪之屋の場所を案内する立看板。

向こうに延命長寿と書かれた幟旗が見えていますが、藤浪之屋は多賀神社のすぐ東側に位置します。

重要文化財の藤浪之屋

藤浪之屋の入口付近。

朱色の扉が開けられ、黒い暗幕が掛かっているのが見えます。

藤浪之屋の燈籠

何やら文字が書かれていますね。

奉納する際には、それぞれに強い思いがあったはずです。

古来より人々の想いを受け止めて灯され続ける燈籠の数々・・・その光景は春日大社の歴史そのものと言っても過言ではないでしょう。

藤浪之屋の釣灯籠

釣燈籠のデザインは一基一基違っていて興味深いものがあります。

かつて奈良の鹿がデザインされた石燈籠を見て、感動した時のことを思い出します。雄ジカと雌ジカが抱き合う石燈籠は恋愛運向上スポットとしても知られ、周りには若い男女の姿がよく見られます。

それぞれに趣向を凝らした燈籠は、春日大社の見所の一つでもありますね。

春日大社の釣燈籠

こちらは西御廊沿いに並ぶ釣燈籠。

金ピカの比較的新しい灯籠のようです。奈良の鹿と春日大社の藤がデザインされています。枝垂れる藤は春日大社の神紋にも描かれる御神花として知られます。

春日大社の黄金釣燈籠

月とウサギですね。

唐草文様の意匠も添えられ、とても絵になる釣燈籠です。画面右横で切れていますが、釣灯籠と一緒に記念写真に収まる外国人観光客の姿も見られました。美術的価値のあるものに対する憧れは、きっと世界共通で誰が見ても美しいのでしょう。

藤浪之屋の釣燈籠

黄金色の釣燈籠もいいですが、やはりこういう年季の入ったものの方に魅力を感じます。

万燈籠の疑似体験をするには、此処はこの上ない場所ではないでしょうか。

春日四神の祀られる本殿の間近という好立地です。御神気を間近に感じながら、藤浪之屋の幽玄世界に浸ります。本当に春日大社は奥が深いですね。

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