岡寺仁王門の裏手山中に、高さ3mほどの立石があります。
以前からその存在は知っていたのですが、まだ目にしたことがありませんでした。つい先日、上居の立石に偶然出会い、岡の立石も見学してみたくなりました。豊浦の立石にも匹敵する巨大さ!その偉容に息を呑みました。
岡の立石。
数ある立石の中でも一、二の存在感ではないでしょうか。
豊浦の立石の場所は甘樫坐神社の境内ですので、立地的には平地エリアです。それに対し、岡の立石は山中にあります。笹の生い茂る藪道を抜けた所にひっそりと佇んでいました。
ミステリーストーン岡の立石へアクセス
今までにも幾度となく岡寺にはお参りして来ました。
岡の立石の場所は、岡寺のすぐ近くです。こんな近い場所にあったとは、正直驚きでした。
岡の立石。
やや上方から見下ろすような格好で出会います。先の方は薄っぺらく、どこか石斧にも似ていますね。その立ち姿にも、他の石造物にはない雰囲気が醸されます。昔はもう少し地中に埋もれていたようで、徐々に下の方が剥き出しになってきているようです。
この部分ですね。
まだまだ地中深くに埋もれているのでしょうか。
くびれた部分が露出したことにより、より一層のシャープさが加わっています。
ここが岡の立石への進入口です。
右手には厄除祈願の旗がゆらめき、その向こうには岡寺仁王門が見えています。入口には柵が設けられていますが、施錠はされていません。よって中に入ることは出来ます。ここで一つ、注意点を申し上げておきます。
岡の立石の見学は自己責任でお願い致します。
私は最初、この柵(フェンス)に出くわした時に諦めようかとも思いました。しかしながら、念のために岡寺の拝観口で聞いてみることに致しました。
西国七番霊場岡寺の仁王門。
門の手前左側に拝観受付がありました。
受付の女性に岡の立石の場所を再確認し、その入口が柵のあったポイントであることを確かめます。ただどうも、奥歯にものが挟まったような物言いで判然と致しません。どうやら岡寺としては、岡の立石の見学を推奨していないようなのです。理由はおそらく、その道のりが危険だからなのでしょう。
「これより先は、危険につき進入はご遠慮下さい。」
注意看板も立てられていました。
受付の方のお話では、観光協会に連絡をして中に入る方もおられるようです。あるいは何の連絡もしないで、中に入って行く観光客も多いようです。ちょうどその時、拝観受付上の山道を登って行く人がいるではありませんか! ”お寺関係の方” というお話でしたが、私もその後を追ってみることに致しました。
柵を開けて中に入り、細い坂道を登って行きます。
しばらくは右手に網の防護がありましたが、それも途中で途絶えます。
こんな感じになります。
右手奥に仁王門が見えますね。
おっと、よそ見はいけません!踏み外して、右崖下に転げ落ちでもしたら大変です。しっかり足元を確認しながら登って行く必要があります。
来た道を振り返ります。
複数人で見学する場合は、必ず一列歩行で向かわなければなりませんね。
ゆっくり着実に上がって行きます。
岡の立石まではちゃんと道が付いています。獣道ではありませんので、その点は安心です。
杭が打たれ、ロープが張られています。
最小限の安全対策は行われているようですね。
また来た道を振り返ります。
小屋ですね。
アクセス途上の目印になりますが、まだまだ先です。
笹藪の中へと入って行きます。
藪の手前には、無造作に瓦の積まれた場所がありました。
追い付きました!
杖を突きながら、二人のご老人が先を行きます。
行く手に岡の立石を案内する木札が見えてきました。
岡の立石の案内札。
その脇の木には赤いテープが巻かれています。ここですよ、という目印ですね。
この先もずっと道は続いており、多武峰の談山神社へと通じているようです。
案内札の左手に目をやると、岡の立石らしき物体が見えて参りました。
さぁ、いよいよ目指す立石へと近づきます。
”スグ近く左10m” と手書きで案内されています。
立石までの10メートルは草木を踏み分けながらのアプローチとなりました。
聞きしに勝る岡の立石!
間近で見ると、やはり迫力が違いますね。
足元に注意しながら、立石の根元まで下ります。立石の周りをぐるりと回ることもできます。あらゆる角度から眺め、その偉容を堪能します。
石の表面に黒い部分が見られますね。
なんだかバルタン星人みたい(笑)
これは飛鳥石の特徴なのでしょうか。光永寺の庭にある人頭石を見学した時、お寺の方から飛鳥石のお話をお伺いしました。所々に黒い模様が残っている不思議な石、それを飛鳥石と呼んでいるそうです。
岡の立石の表面に見られる黒い模様。
石はただじっと黙って動きませんが、こういう模様には ”表情” が感じられますね。
せり立つ岡の立石!
切れてますね~、いかにも岡の立石といった感じのアングルです。
反対方向の北側から仰ぎ見ます。
こうして見ると、黒い部分がはっきりと分かりますね。まるでアボカドの種みたい(笑) 種の上には膜のような部分も見られます。
ぐるりと回り込みます。
立石に腹も背中も無いのでしょうけれど、敢えて言うなら背中ですね。
今はしっかりと立っています。
時が経てば、その保証も無いのかもしれません。見るからに不安定な立ち姿です。大きさもさることながら、そのアンバランスな立ち姿にこそ迫力を覚えるのでしょう。
立石の背後。
この角度からだと、岡の立石とは分かりませんね。周囲にも勾配が付いており、上がり下がりしながらの見学となります。
ズームイン。
岡の立石の下手には、岡寺の境内が広がっています。
立石からの帰り道、注意しながら左手に目をやると大師堂前に立つ修行大師像が見えました。岡寺の参拝客のほとんどが、立石をスルーしてしまっているという現実・・・とても惜しいことだなと思いました。