漢国神社の境内にある饅頭塚。
塚とはお墓のことを意味しますから、文字通り ”饅頭のお墓” です。
毎年4月19日に行われる饅頭祭で知られる漢国神社・・・。境内の林神社には、お饅頭の祖・林浄因が祀られています。
漢国神社摂社・林神社の饅頭塚。
木の囲いの中に、丸い石が置かれていました。
御祭神の林浄因(りんじょういん)は中国の人です。今から700年近く前の貞和5年(1349)、入宋していた建仁寺35世・龍山禅師が帰国する際に同行して来日しました。林浄因はのちに、漢国神社付近に居を構えていたと言います。
宮中や足利将軍家に献上された奈良饅頭
中国の饅頭(マントウ)、いわゆる肉まんにヒントを得て作られた日本の饅頭。
その発案者こそが、林神社に祀られる林浄因なのです。
全国津々浦々の菓子製造業者からも崇敬を集めており、林浄因の命日に当たる4月19日に饅頭祭が行われます。
饅頭塚の磐座。
ここには紅白の饅頭が埋められているそうです。
室町期に中国から来日して、奈良饅頭を売り出した林浄因。饅頭の表に「林」の字を紅描きして商標としたところから、一般に珍しがられよく売れたようです。宮中や足利将軍家にも献上され、評判を高めたと言われます。
磐座には目に見えぬパワーが感じられます。
この饅頭塚ですが、生前の浄因が饅頭製造者や林家の発展を記念して、紅白の饅頭を埋めて封土を盛ったものであると伝えられます。日本全国の製菓業者から崇敬を集めているのも頷けるような気がしますね。実にコアなパワースポットではないでしょうか。
漢国神社の鳥居。
推古天皇元年に当たる593年に創建された古社です。高天の交差点(国道369号線)からやすらぎの道を南へ100mほど行った所にあります。林浄因を菓子の神として祀ったのは昭和24年のこととされます。
漢国神社の中には数多くの摂社、末社が存在します。
その中の一つに、饅頭の祖神「林浄因」を祀る林神社があります。
林神社の祠。
禅の茶菓子として考案された饅頭。
小豆餡を包んで蒸し上げるという工程は、当時としては斬新だったのでしょう。奈良饅頭の名は瞬く間に広がり、稀代のヒット商品となりました。
漢国神社の絵馬。
饅頭の神社は日本広しと言えども、ここ漢国神社(林神社)だけなんだそうです。
百度石の傍らには萩の花が咲いていました。
漢国神社の道案内。
ここは高天の交差点付近です。
北へ400mほど行けば、慈眼寺(じげんじ)や称名寺(しょうみょうじ)へアクセスします。称名寺は茶道の始祖・村田珠光ゆかりのお寺として知られます。やすらぎの道沿いにも、見所のある寺社が集まっています。漢国神社からさらに南へ行けば、裸地蔵や散り椿で知られる伝香寺もあります。まだまだ奈良は奥が深いですね。
カレンダーを確認すると、今年の4月19日は木曜日です。好運なことに休日です。これはひょっとすると、饅頭祭を拝見することができるかもしれません。その際はまたレポート致しますので、どうぞよろしく!