奈良市法蓮町に瑞景寺というお寺があります。
狭岡神社の東南に佇む黄檗宗のお寺で、奈良県立奈良高校もすぐ近くの立地です。赤い山門が目を引いたので思わず足を止め、境内へと足を踏み入れます。本堂らしき建物が左奥にあり、その右手には墓地が広がっていました。
大日山瑞景禅寺の山門。
尼寺の興福院から歴史の道を西へ辿ります。高台に建つ奈良高校の校舎を右手に見ながら、さらに西へと足を伸ばします。狭岡神社へ辿り着く手前右側に、綺麗な朱色の柱を持つ山門が見えて参りました。
天明狂歌の久世宵瑞の墓がある瑞景寺
江戸時代の天明期前後に流行した、狂歌界を代表する久世宵瑞。
久世宵瑞は「平城坊目考」を著した人物としても知られます。奈良の歴史に久世宵瑞あり、と言っても過言ではありません。奈良の冬のイベントとして定着しつつある大立山まつりの会場は平城宮跡ですが、今の平城宮跡は棚田嘉十郎の功績抜きには語れません。そしてさらに嘉十郎から時代は遡り、江戸時代中期に平城京の研究に尽力したのが久世宵瑞なのです。
瑞景禅寺の本堂。
本堂右手の塀の向こうにお墓が見えています。
瑞景寺の創建は延宝7年(1679)です。御本尊は釈迦牟尼仏で、即空上人の開基とされます。
歴史の道の石標。
狭岡神社が案内されていますね。
大日山瑞景禅寺の社号標。
瑞景禅寺には久世宵瑞の他にも、杉岡宵眠、楠原宵甫などの狂歌師のお墓があります。
奈良奉行や儒学者の墓も建てられており、往時は信仰の厚かったお寺ではないかと思われます。
東大寺転害門から聖武天皇陵、興福院、不退寺、法華寺と続く佐保路のウォーキングコース。瑞景寺は興福院から不退寺へ行くまでの間にあります。山裾や閑静な住宅街の中を歩く道は、奈良の歴史を満喫するにはうってつけのコースとなっています。