佐保姫を祀る佐保川天満宮。
称名寺と慈眼寺を拝観した後、やすらぎの道沿いにある来来亭で昼食を取り、そのまま北へ進んで一条通の交差点を東へ曲がります。しばらく進むと、左手に聖武天皇の陵が見えて参ります。そこから佐保川を渡ってすぐ左側に佐保川天満宮が鎮まります。
佐保川天満宮の狛牛と祠。
天満宮と言うだけあって、菅原道真ゆかりの牛が小さな境内にいました。
佐保川天満宮の歴史は、多聞山に「眉間寺(みけんじ)」の鎮守として祀られたのが始まりとされます。眉間寺は明治維新を境に廃寺となっていますが、それまでは聖武天皇陵の上手にあったお寺として知られます。
梅が開花!多聞山から移されたグミ天神
山に祀られていた神様が、今は里の中に下りて来ています。
松永久秀が多聞山(眉間寺山)にお城を築いたことから、その難を逃れるために下界に移されたのではないかと言われています。
一条通沿いに鎮座する佐保川天満宮。
神社の住所は、奈良市西包永町になります。
佐保川天満宮からさらに一条通を東へ進むと、突き当たりが東大寺転害門になります。周辺には般若寺、東大寺知足院、正倉院などもあり、奈良北方の観光エリアを形成しています。
茱萸(ぐみ)天神と案内されていますね。
多門山に祀られていたことから、天神の宮、草天神、茱萸天神などと呼ばれていたようです。
甘酸っぱいグミの実には、一度食べたら忘れられない独特の風味が感じられます。自然の中のアクのようなものが感じられる果実です。天神さんの鮮やかな朱色とグミの赤い実が重なるのでしょうか。
梅の花と佐保川天満宮。
天満宮ではおなじみの梅の花が開花していました。
今年の冬は寒さが厳しく、梅の開花が遅れているとニュースでも話題になっていますが、ここ佐保川天満宮の梅の花は、満開にはまだ遠いものの美しい花を咲かせていました。
向かって左側に座す狛牛の角が折れていますね。
左側の角が少し欠けているのが気になります。
早い時期の修復が待たれるところです。
眉間寺山の記述が見られます。
雷神即ち「天の神」眉間寺山だったのですね。
山に重なる雷神信仰は各地に見られますが、多聞山にも雷神信仰のあったことがうかがえます。
祠の左側に石碑が建てられていました。
民家の中にひっそりと佇む佐保川天満宮。ややもすれば見過ごしてしまいがちなお社ですが、多聞山との深いつながりの感じられる穴場スポットとしておすすめ致します。