蘇我入鹿を祀る入鹿神社の境内に、金剛界の大日如来が安置されています。
正蓮寺大日堂の大日如来座像。
宇宙の真理そのものを体現する大日如来。全ての如来や菩薩の根源であり、如来の中では唯一「菩薩の姿」で表される仏像です。
九星気学に基づけば、私の生まれは五黄土星に当たります。そのためか、守護神である大日如来には殊のほか興味を抱いています。若かりし日の運慶が作った円成寺の大日如来坐像を拝ませてもらった日のことを思い出します。
智拳印を結ぶ金剛界の大日如来
頭上に宝冠を戴き、左手の人差し指を右手で握る智拳印を結ぶ正蓮寺大日堂の大日如来座像。
理の胎蔵界、智徳の金剛界と言われ、手のポーズ(印相)によってどちらの世界の仏様であるかが分かります。両手をお腹の前で合わせる禅定印なら胎蔵界、人差し指を握る格好の智拳印なら金剛界の仏像です。
大日如来座像が安置される正蓮寺大日堂。
ご本尊の大日如来座像と並んで、こちらの建物も重要文化財に指定されています。正蓮寺大日堂のパンフレットによれば、大日堂は、今は廃寺となった真言宗高野山派仏起山普賢寺の本堂であったそうです。
大日如来の石標。
田園風景の広がる長閑な場所です。
石標をよく見てみると、「聖徳太子御自作大日如来仏起山普賢寺」と刻まれています。しかしながら、これはあり得ないことです。聖徳太子の時代に大日如来は存在しないはずです。おそらくこれは、太子信仰の為せる業ではないでしょうか。
この角を曲がれば、ほどなく正蓮寺大日堂へアクセスします。
正蓮寺大日堂と入鹿神社。
蘇我入鹿を御祭神とする入鹿神社は、廃寺となった普賢寺の東南部一段高い所に西向きに建ちます。元は普賢寺の鎮守社であったと伝えられます。
大日堂の中を覗き込むと、立派な体躯をした大日如来座像を拝観することができます。
半丈六の仏像で、像高は148.3㎝です。奈良観光の中ではあまり知られていないお寺にも関わらず、随分立派な仏様が坐しておられます。修理を経たためか、お顔の金箔もはっきりと確認することができます。
毎年7月15日の夏の大祭には、特別開扉も行われるようです。
大日堂向かって右手前に、観光客向けの案内板がありました。
室町時代の建築で、国の重要文化財に指定される正蓮寺大日堂。
昭和30~31年度の大修理の際、仏壇地下の発掘調査が行われました。その結果、前身のお堂の遺跡が発見されたのですが、どうやら前身の大日堂は焼失していることが判明致しました。幕府軍と越智一族の多年に渡る激しい争いによる兵火が原因ではないかと思われます。
寒桜でしょうか。
私が訪れたのはバレンタインデー前の2月13日お昼過ぎ。寒波が押し寄せる中、誰も居ない境内でゆっくりとお参りをさせて頂きました。