3基から成る北今市古墳群。
古墳時代後期の古墳群ですが、その内の2基が馬見丘陵公園内に移築保存されていました。
見応えのあるナガレ山古墳に比べれば地味な印象はぬぐえません。移築保存ということで、古墳本来の魅力にも欠けますが参考までに記しておきます。
北今市1号墳の家形石棺。
覆屋の中に家形石棺と石室石材が移築保存されていました。
梅林近くに展示される古墳時代後期の石棺
この日、私は馬見丘陵公園の梅を見に行きました。
馬見丘陵公園の梅林は南エリアから中央エリアへ入った所にあります。カリヨンの丘もすぐ近くに見え、梅見を楽しむ人々で賑わっていました。
馬見丘陵公園の梅林。
まだ満開ではありませんが、春の陽気に誘われて少しずつ開花していました。
縄掛突起も見られますね。
覆屋の角には見学者用のベンチも設置されています。
北今市1号墳の解説。
北今市1号墳は、香芝市北今市3丁目にあった古墳時代後期の円墳です。
墳丘の規模は直径25m・高さ5.6mで、埋葬施設は長さ5.5m・幅1.7m・高さ2.6mの横穴式石室でした。
石室には二上山で採れる凝灰岩で作られた家形石棺が二つ納められていました。二つとも、蓋石3枚・側石(がわいし)6枚・底石4枚から成っており、内側の大きさは、奥の棺の長さ185cm・幅64cm・高さ55cm、前の棺が長さ180cm・幅76cm・高さ60cmです。
石室内は盗掘で荒らされていましたが、石棺の中から琥珀・銀・ガラス製の玉や銀製の耳飾りが、石棺の周囲から金銅製の刀の柄頭(つかがしら)、鉄製の刀・矛・鏃(やじり)、轡(くつわ)・鞍・鐙(あぶみ)などの馬具、高坏・壺・甕などの土器が残っていました。
これらの遺物から、埋葬の時期は6世紀の後半頃と考えられます。
こちらは北今市2号墳の解説。
古墳時代後期の方墳。
石室はなく、二つの家形石棺が直に埋め込まれていました。
熟年の男性と4~5歳児の2体分の人骨が遺存していました。埋葬の時期は、7世紀の前半頃と考えられます。
2号墳は墳観橋(つかみばし)の下に移築保存されているようです。
墳観橋(つかみばし)。
巣山古墳を中心とする南エリアと中央エリアを結ぶ橋です。
人骨が遺存していた北今市2号墳ですが、この橋の下に設置されています。今回は時間が無かったので1号墳のみの見学で終えました。
再び北今市1号墳。
両袖式の横穴式石室のようです。羨道の前には墓道があり、排水溝が設けられていたそうです。
おそらくホンモノの石材が移築されているものと思われます。
玄室内には組合せ式家形石棺が二つ南北に並んでいたようで、その形が再現されています。
石棺の中も覗くことができます。
春を待つ梅林には多くの人が見られましたが、さすがにここは静かです。
広大な馬見丘陵公園の中では異質な空間ですね。
古墳公園であることを思えば、訪れておいてもいいのではないでしょうか。
ちなみに墳観橋(つかみばし)の西方には、南エリアと中央エリアをまたぐように狐塚古墳(帆立貝式)があります。