6月下旬の馬見丘陵公園にヘメロカリスという名前の花が咲いていました。
「大きなユリ」という印象を受ける花です。菖蒲園の奥の方にベンチがあり、その手前の小さな花壇に開花していました。
馬見丘陵公園のヘメロカリス。
どこかヤブカンゾウにも似ているような気がします。ヤブカンゾウは万葉時代にも咲いていた萱草(わすれぐさ)として知られる植物です。嫌なことを忘れさせてくれる花として一目置かれていたようなのですが、そのヤブカンゾウを彷彿とさせます。
キンシバイとヘメロカリスが取り囲む菖蒲園
梅雨の時期の馬見丘陵公園には花菖蒲が開花します。
「馬見花菖蒲まつり」と題して、音楽ステージやお茶席、さらには大道芸パフォーマンスなどが繰り広げられ園内は花見客で盛り上がります。私が訪れたのは花菖蒲まつりが終わった後でしたが、まだまだ花しょうぶは見頃を維持していました。
菖蒲園の奥に咲くヘメロカリス。
派手な咲きっぷりを見ていると、確かに嫌なことなど忘れてしまいそうです(笑)
ヘメロカリス(Hemerocallis hybrida hort.)
この類は中国や日本から野生種が欧米に渡り育種改良された園芸品種です。英名はデーリリーといい、花は朝に開き夕方に閉じるものが多いです。(ユリ科)
案内プレートに目を通し、なるほどと納得してしまいました。
どうやらヤブカンゾウなどの日本の野生種が欧米に渡り、その後に改良された品種のようです。
菖蒲園に咲く花しょうぶ。
菖蒲園の周りには園路が通っていて、ぐるりと一周することができます。その周回路の傍らには、ヘメロカリスの他にもほのかな香りを漂わす金糸梅(キンシバイ)が開花していました。目の覚めるような鮮やかな黄色い花で、その形はどこか梅の花にも似ていました。
ヘメロカリスの蕾。
訪れたのは昼下がりにも関わらず、まだ蕾の状態でした。
今日はもう、花を開かせることはないのでしょうか。Daily Lily と呼ばれる 花ですから、開花のタイミングが気になりました。家に帰って調べてみると、どうやら夕方咲いて翌日に萎む「夜咲き」のヘメロカリスも存在するようです。この花がたまたまなのか夜咲きなのか、そのあたりはよく分かりません。
讃岐神社古墳の立体模型。
ナガレ山古墳の脇に馬見古墳群が常設展示されています。
竹取物語ゆかりの讃岐神社ですが、どうやら境内そのものが古墳だったようです。この模型を見ると、前方後円墳の形をしていますね。讃岐神社古墳に関してはまだよく分かっていないことも多いようで、1号墳と2号墳に分かれる円墳ではないかとする説もあるようです。出土遺物としては、鏡、管玉、滑石製栫A玉、勾玉、ガラス製小玉、直刀などが知られています。
馬見丘陵公園内でもナガレ山古墳や乙女山古墳などを見学することができますが、公園外へ一歩出ると、讃岐神社古墳をはじめとするたくさんの古墳が散在しています。
こちらの古墳も馬見丘陵公園から車で数分の所にあります。
格安挙式で有名なチャペルクレールさんの隣に牧野史跡公園があり、その園内にひっそりと横穴式石室が開口しています。
ヘメロカリスはいかにも夏の太陽が似合いそうな花です。
等彌神社で見たオニユリなども印象に残っているのですが、原色の派手な花を見ると、ギラギラした夏の太陽が想像されます。
ヘメロカリスの葉っぱも先の尖った剣状ですね。
その点では、菖蒲の葉っぱとも重なります。
馬見丘陵公園の花園は一年中楽しむことができます。
いつ行っても、園内のどこかで何かしらの花が咲いている。そんな状態が保たれているのが特徴です。
古墳の公園化事業が県内では進んでいるような気が致します。橿原市の新沢千塚古墳群、田原本町の唐古・鍵遺跡、さらに今秋にはキトラ古墳の体験学習館がオープン予定です。桜井市の纒向遺跡も公園としての整備計画が聞かれます。
奈良県内にお寺や神社が多いのは周知のことですが、古墳の密集地帯であることも忘れてはなりません。昔の人のお墓を公園化するなんて、という向きもあるかもしれませんが、ご先祖様の眠る墓地でお弁当を広げて親睦を深める地域もあるのです。色々な考え方があっていいと思います。
馬見丘陵公園のように花を植えて、古墳の周辺エリアを活性化させるのも一つの方法ではないでしょうか。