馬見丘陵公園の南エリア「春まちの丘」に河津桜が開花していました。
河津桜は早咲きの桜の品種です。まだ咲き始めですが、中央エリアの梅林と共にこれから見頃を迎えることでしょう。
河津桜の咲く場所は巣山古墳の外堤北側に当たり、古墳状の高まりが確認できます。ちょうどそこから珍しい形の円筒棺が出土しており、その出土場所が示されていました。
馬見丘陵公園の河津桜。
1955年に静岡県河津町で発見された品種のようです。
オオシマザクラと寒緋桜の自然交雑種とされます。ちなみに寒緋桜(カンヒザクラ)は、南エリアのタダオシ池近くに開花します。
巣山古墳外堤北側から出土した土製棺
馬見丘陵公園の中でも最も巨大な巣山古墳。
4世紀末頃の大型前方後円墳で、幅広の外堤(がいてい)を巡らしています。
墳観橋(つかみばし)の手前に開花する河津桜。
墳観橋は南エリアと中央エリアを結ぶ橋で、橋の上からは巣山古墳の前方部を望みます。
円筒棺が出土した位置ですね。
方形の石が敷き詰められ、ここが出土場所であることを示します。
向こうに見えているのが巣山古墳の前方部です。
接合・復元した円筒棺。
両端には笠状の蓋が付いていたようです。
棺身と蓋のどちらにも、帯状の粘土紐が巻かれていますね。内部からは副葬品も出土しており、被葬者の権力の高さがうかがえます。
ここは南エリアの駐車場近くです。
いの一番に春を告げる河津桜。奈良市の佐保川畔にも咲くようですが、私はまだ見たことがありません。
出土跡。
その形状から、まるでタイムカプセルを思わせますね。
出土円筒棺の解説文。
巣山古墳外堤(がいてい)の北側に位置する古墳状高まりから、古墳時代中期初め(4世紀末)の円筒棺と呼ばれる土製の棺が出土しました。
この円筒は棺としてつくられ、そのつくり方は埴輪と共通しています。土管のような筒状の棺身(かんみ)の両端には、笠状の蓋が付けられていました。
棺身には12本、蓋には数本の帯状の突帯(とったい)と呼ばれる粘土紐が貼り付けられています。棺身は長さ1.5m、最大径55cmをはかります。
円筒棺の内部には、鉄剣、鉄鏃、鉄鎌、鉄斧が副葬品として納められていました。円筒棺に副葬品をともなう事例は少なく、埋葬された人物が有力者であったことをうかがわせます。
円筒棺の出土により、古墳状高まりが古墳時代には埋葬場所として認識されていたことがわかりました。なお、ここでは地面に石を並べて円筒棺が出土した位置を示しています。
ここは古墳状高まり。
巣山古墳の陪塚(ばいちょう)なのでしょうか。
ぷっくりと膨らむ蕾。
春への期待を抱かせます。
既に今年の開花予想が出ていましたが、暖冬の影響もあってかやや早めのようです。まぁその時になってみないと分かりませんが、今年も駆け足で北上するであろう桜前線。今から待ち遠しいですね。