キトラ古墳壁画の玄武公開中!
南壁の盗掘孔から遠いことが幸いし、四神の中では比較的保存状態も良いようです。玄武と同じ北壁に描かれた獣頭人身十二支像も同時公開されていました。地階にあるキトラ古墳常設展示を見学した後、1階の壁画保存管理施設へと向かいます。
キトラ古墳壁画公開の小冊子。
亀と蛇が向き合う北壁守護神・玄武が描かれています。
壁画を見学する際、基本的には ”予約要” となっています。ところが、私が訪れたのは平日の昼間・・・予約無しでもOKでした。四神の館に入館すると、既にエントランスホールには団体客の姿がありました。どうやらこのグループの次の班に割り当てられたようです。時間つぶしに30分ほど常設展を見学することになります。
◆キトラ古墳周辺地区と明日香村近隣公園をウォーキング;YouTube動画
耳の描かれた玄武!亀が雌で蛇は雄なのか?
よく観察してみると、キトラ古墳の玄武には耳が描かれています。
まるで人間の耳のよう(笑)
もたげた首を後ろに向け、巻き付く蛇と向き合っています。
エントランスホールに展示中の玄武。
ブロック作品のようです。細長く湾曲する蛇を表現するのは難しかったでしょうね。
近鉄壺阪山駅のポスター。
最寄駅の壺阪山駅に壁画公開がPRされていました。
玄武の「玄」は黒色を意味し、「武」は鎧を身に着けて武装する動物、すなわち亀を指すと言います。危険が迫れば甲羅に身を隠す亀。まさしく鎧をまとった動物と言えるのかもしれません。古代中国では亀をメス、蛇をオスと考えていたようです。雌雄が見つめ合う図像と解釈することもできます。
つい先日も高松塚古墳の壁画公開に足を運んで参りましたが、高松塚の玄武は亀と蛇の頭部が無残にも削り取られていました。残念ながら判別不能です。明らかにそれと分かる姿で今に蘇るキトラの玄武!これは見学に値するものだと思います。
こちらは白虎ですね。
白いブロックで表現されているので分かりやすい。右向こうには羽を広げる朱雀の姿が見えます。
エントランスホールでは、朝鮮半島の百済にまつわる展示も行われていました。
当時の日本は百済と友好関係にありました。
近畿圏にも百済の地名は数多く残されているようです。三重塔で有名な広陵町の百済寺をはじめ、大阪の枚方市や生野区にも「百済」が伝わっています。韓国語読みでは「百済(ペクチェ)」と発音するようですね。
朱雀の豆皿。
『四神の館』の喫茶兼休憩所で購入しました。
お値段は700円、桜井市穴師の『桜三輪窯』という所で作られているようです。盗掘された南壁から奇跡的に蘇る朱雀。その運の良さから私の中では、”幸運の神様” のような存在です。
白虎の豆皿。
キトラ古墳の四神壁画を代表する神獣ではないでしょうか。北向きの白虎は珍しく、その存在にさらに光を当てています。
白虎と墳丘のツーショット。
特別史跡キトラ古墳は後期古墳に入り、薄葬時代の象徴とも言える小型古墳です。
二段築造の円墳で、墳丘の中央に18個の凝灰岩切石を組み合わせた石室が発見されました。
厚みのある豆皿ですね。
普段使いのお皿として活躍しそうです。
素敵!
こんなことなら玄武も買っておけば良かったとちょっぴり後悔(笑)
今回の玄武公開では、北壁の十二支像も展示されていたのですが、どれも判別が困難でした。襟元と手に持つ杖のようなものが赤く彩色され、そこだけはよく分かりました。逆に言えば、そこから全体像を想像しながら観る必要がありそうです。
十二支が北壁からぐるりと周回することを思えば、子丑寅の三つなのかなとも思ったのですが、実際は左から亥子丑の並びでした。特に亥の獣頭人身十二支像はそのほとんどが欠落していたような印象です。
見学を終え、近鉄壺阪山駅へ向かいます。
時間があったので少し散歩を楽しみます。ここは「れんじの道」と称される土佐街道まであと少しのポイントです。
制作途中のジャンボ雛。
毎春恒例の高取町『町家の雛めぐり』で登場するジャンボ雛ですね。
観覚寺の住民有志で制作されているようです。土佐街道の催しはいつも私たちを楽しませてくれます。雛人形イベントの他にも、秋には案山子まつりが催されます。
かなりのビッグサイズ!
いつもは着飾ったお雛さんを拝見しているせいか、多少の違和感を覚えます(笑)
ジャンボ雛からキトラ古墳までの距離はおよそ900mです。
近鉄壺阪山駅の周辺地図。
そうこうしている内に駅に到着しました。
マルコ山古墳、束明神古墳、岡宮天皇真弓岡陵などが案内されています。
高取町役場の敷地内に、「鳥ヶ峰古戦場」とありますね。どうやら高取藩が大砲で天誅組を攻撃した場所のようです。小高い場所故、陣を張るには適していたのでしょう。
たまにはキトラ古墳周辺を歩いてみるのもいいものですね。
ほぼ完全な姿で残るキトラ古墳の玄武。
今回の公開期間は2/18(日)まで、ご興味をお持ちの方はキトラ古墳壁画体験館『四神の館』へGO!