屏風杵築神社の拝殿には、奈良県有形民俗文化財の「おかげ参り絵馬」が収められています。
糸井神社から寺川を渡って太子道を南下すると、式下中学校の近くに須佐男命(スサノオノミコト)を祀る屏風杵築神社が鎮座していました。
屏風杵築神社のおかげ参り絵馬。
太神宮と書かれた幟やおかげ踊りに興じる人々の姿が描かれています。
大変貴重な民俗学的資料とされ、お伊勢参りの歴史を今に伝えています。
太子道沿いに開花する万葉の花「あざさ」
三宅町の花として知られるあざさ。
石見鏡作神社参拝の折、近鉄石見駅前や石見新池の畔にも見られました。三宅町を歩けば、町のあちこちで万葉時代のあざさに出会うことができます。
太子道の東側に鎮まる屏風杵築神社。
所在地は三宅町屏風です。鳥居の向こう側、その真正面に拝殿が見えていますね。
太子道の道標。
屏風杵築神社から太子道を挟んで真ん前には、聖徳太子が太子道の往来の際に休憩を取ったとされる腰掛石や駒つなぎの柳が今も残されています。
聖徳太子が侍者の調子麿(ちょうしまろ)・舎人を従え、愛馬黒駒に乗って斑鳩の里から三宅の原を経由して飛鳥の里を往復したと伝えられる太子道は、その道の通る方向性から筋違道とも呼ばれています。
屏風杵築神社の鳥居手前に、万葉の花として知られる「あざさ」が開花していました。
太子道沿いにも、至る所であざさの花が見られます。鉢の中で栽培されているあざさの花は、太子道そのものを象徴しているような気も致します。
あざさの花に近寄ってみました。
五弁花のようですが、花びらの間にまるで水かきのようなぎざぎざの縁取りが見られます。
低湿地に育つ水生植物で、気温が20度以上になると開花します。あざさの見頃は5月から10月に掛けてと言われています。
屏風杵築神社の拝殿の中を覗いてみます。
真ん中に掲げられているのが、有形民俗文化財のおかげ参り絵馬ですね。拝殿内には様々な絵馬があり、聖徳太子接待の絵馬も奉納されています。
屏風杵築神社の案内板。
出雲大社(杵築大社)系の神社で、須佐男命を祀っています。
拝殿北側のひっそりと静まった場所に、屏風の清水と呼ばれる湧水跡があります。
聖徳太子が斑鳩へ行く途中にこの地で休息した際、調子麿・舎人の持つ弓で地面を穿ち、湧き出てくる水を飲んだと伝えられる場所です。聖徳太子にまつわる、ちょっとしたパワースポットのようなものではないでしょうか。
屏風という面白い地名にも興味が湧きます。
地名の「屏風」ですが、村人が聖徳太子をもてなす際に、屏風を立てて風を防ぎ太子を接待したことに由来するのではないかと言われています。寺川と飛鳥川に挟まれた場所を通る太子道の立地を考えると、確かに両岸から風が吹いてきても不思議は無いのではないでしょうか。
聖徳太子の伝説に彩られる屏風杵築神社をご案内致しました。