筋違道(太子道)沿いに鎮座する屏風杵築神社。
拝殿向かって左奥に秘かなパワーの感じられる井戸があります。
屏風の清水(矢尻の井)。
全国的に「矢尻の井戸」といえば、源頼朝にまつわる矢尻の井戸を想像する人も多いでしょう。矢尻の井戸伝説はどちらも似通っていて、喉の渇きを潤すために弓矢で地面を穿ち、湧き出てくる水を飲んだという言い伝えに基づきます。
四方を柵に守られ、井桁に汲まれた木枠の中に磐座が置かれていました。
辺りは水を打ったように静かで、なんだかいい雰囲気です。
太子道ウォーキングで立ち寄りたい『屏風の清水』
屏風杵築神社の矢尻の井。
聖徳太子ゆかりの地の中にあって、どこか他の観光スポットにはない霊気のようなものを感じます。愛馬の黒駒に乗って斑鳩へ行く途中にこの地で休息したと伝えられる聖徳太子。目の前の屏風の清水は、果たして太子の喉の渇きを癒した井戸だったのでしょうか。
白山神社境内から向かいの屏風杵築神社を望みます。
太子道を挟んで屏風杵築神社の真向かいに白山神社が鎮座していました。境内には黒駒に乗る太子像が建立されており、前の通りが聖徳太子が往来した道であることを示しています。
矢尻ノ井と書かれていますね。
矢尻とは、矢の先っぽの突き刺さる部分のことを言います。地面に放った矢が、見事に地下水脈を射抜いたのでしょう。井戸を掘る重労働を思えば、実にスマートな井戸掘り作業ですよね。
屏風の清水の案内板。
古今東西を問わず水は大切な資源の中の一つです。
聖徳太子の伝説も水に対する人々の畏敬の念の表れではないでしょうか。
屏風の清水をまじまじと見ていると、家紋のデザインによくある井筒や井桁の文様が重なります。
大企業の三井グループの家紋は、井桁の家紋に三の漢字をはめ込んで商標としています。あたかも井戸から水があふれるように、商売繁盛に結び付く吉相を表すようです。
聖徳太子ゆかりの井戸としては、法輪寺の奥にある「三井の井戸(赤染井)」もおすすめです。
斑鳩の赤染井もそうですが、矢尻の井も今では喉を潤すことはできません。
とは言え、聖徳太子の足跡を伝える貴重なスポットとなっています。太子道ウォーキングの際には是非、屏風杵築神社の境内奥にある屏風の清水に足を運んでみましょう。