大相撲の秋巡業。
本場所とはまた違った雰囲気が楽しめます。2023年10月20日に、芝運動公園総合体育館で大相撲桜井場所が開催されました。コロナ禍で延期になっていた催しですが、盛況の内に幕を閉じました。
左から明生、豊昇龍、正代。
各々の化粧まわしが鮮やかで、思わず目が留まります。デザイン性にも優れ、力士の肉体美とは別の味わいがありますね。軽やかに談笑する正代関の姿が印象的でした。
土師氏や菅原道真の先祖に当たる野見宿禰!桜井市と相撲の歴史
大相撲の巡業ですが、奈良県桜井市で開催されたことに意味があります。
桜井市は相撲発祥の地とされ、相撲の始祖・野見宿禰を祀る相撲神社があります。歴史を遡ること昭和37年、相撲神社に於いて顕彰大祭が開かれました。時津風理事長(双葉山)を筆頭に、大鵬・柏戸の土俵入りも奉納されたようです。
桜井市穴師の相撲神社。
果樹園の上手にあり、紅葉の名所・穴師坐兵主神社の摂社とされます。
大正楼玄関先の番付表。
大相撲桜井場所の番付表です。若い二人の行司さんにお泊り頂きました。
客室で一文字一文字、丁寧に墨書きなさっていました。整然と敷き詰められた文字はお見事!の一言に尽きます。心が真っすぐで整っていないと、さすがにここまで綺麗に書くことは出来ないでしょう。
相撲神社の本殿を支える力士像。
胸からお腹、下半身が苔生していますね。野見宿禰の五輪塔がある十二柱神社(桜井市出雲)でも力士像を見ることができます。十二柱神社では狛犬を支えていました。
幟旗が風にはためきます。
大神神社大鳥居と三輪山の裾が見えています。思えば高さ32mの大鳥居は、昭和天皇のご親拝記念に建てられました。野見宿禰は第11代垂仁天皇の御前で相撲を取っています。つまり、天覧相撲ですね。
特徴的な総合体育館の屋根。
天皇と相撲。
横綱土俵入りの際、腰には紙垂が下ります。四股には大地を鎮める「地鎮」の意味があります。相撲は神事であり、神様との関係抜きには語れません。
朝乃山と宇良。
幕内から陥落し、再び這い上がって来たお二方です。これからの活躍を期待したいですね。
若手のホープ・熱海富士。
見るからに素直な性格で、とても好感の持てる力士です。人気もうなぎ登り!
こちらも相撲神社の力士像。
色んなポーズの力士像が楽しめます。
垂仁天皇に長きに渡って仕えたと伝わる野見宿禰。宿禰は埴輪の考案者でもあり、古墳造営で知られる土師氏のご先祖に当たります。伝統工芸品の出雲人形との関りも見逃せませんね。
野見宿禰の血筋を辿ると、菅原道真にも行き着くようです。学問の神様と相撲の始祖。歴史はどこでどう繋がっているか、意外と分からないものだと思います。