大岩大日堂の大日如来坐像

大日如来に帰依する密教。

全てのものは大日如来が姿を変えたものとします。釈迦如来を本尊とする顕教に比べ、言葉では言い表せない難解さを含みますよね。しかしながら、大日如来が結ぶ印相を見ると、途端に愛着が湧いてきます。金剛界大日如来が結ぶ智拳印(ちけんいん)は、指を立てるポーズとして人気です。

大岩大日堂

大岩大日堂。

お堂の中に木造大日如来坐像を安置します。

平安時代に作られた樟(くすのき)の一木造り。光背を負い、髷(まげ)を結った大日如来が座しています。普段は非公開のようです。今回の私の目的は、石神古墳の見学でした。大岩大日堂の上手にある横穴式石室を見た後、ふらっと立ち寄りました。

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智慧を表す智拳印!密教教主の印相

大岩地区は大淀町の中でも山深い場所です。

大岩大日堂の行き方ですが、まずは国道169号の矢走口から県道222号(今木出口線)に入ります。西へ向かって進んで行くのですが、今木出口線から北側の山手へ向かって2本の道路が延びていることを覚えておきましょう。鉾立方面と大岩方面です。東側の鉾立ルートは大和清九郎の墓(光蓮寺)へと通じています。一方の西側ルートは奈良ロイヤルゴルフクラブや石神古墳に通じています。

大岩大日堂の大日如来坐像

大岩大日堂の木造大日如来坐像。

大淀町指定の有形文化財です。この素朴な感じがいいですね。橿原市の正蓮寺大日堂の大日如来も、同じく智拳印を結んでいました。国宝クラスでは、円成寺の大日如来坐像が知られます。

大岩大日堂

大岩大日堂。

お堂が一軒建つのみです。大日堂の奥には大岩神社があるようですが、この日はスズメバチの巣が見つかったようで立ち入り禁止になっていました。大日堂の左手、築地塀外側には大岩3号墳の組合式石棺が移築されています。

石神古墳

こちらは石神古墳の横穴式石室。

大岩大日堂から大岩の集落を抜けた丘陵頂部に築かれています。標高280mの高所で、吉野の山々を遠望するビュースポットでもありました。

大岩大日堂

石神古墳から下り、大岩大日堂の手前までやって来ました。

石段の上に大岩大日堂の門が見えていますね。

大岩大日堂

鉢植えの花がたくさん植えられていました。

奈良ロイヤルゴルフクラブ駐車場

右手下を覗くと、奈良ロイヤルゴルフクラブの駐車場がありました。

大岩大日堂

大岩大日堂の入口。

お堂の右手前に、祠が二つ祀られています。

木造大日如来坐像の智拳印

左手の人差し指を立て、右手で握るポーズです。

仏像の印相にも色々ありますが、なぜかユーモラスに映りますね。

施無畏印や与願印、禅定印などは顕教の仏像に多く見られます。仏の慈悲や悟りを感じさせるポーズで、見る者の心を落ち着かせます。密教における金剛界大日如来が示す智拳印は、どこか独特ですよね。

大岩大日堂の祠

祠の真ん中に木が生え、御前には生花が供えられています。

案内板がありますね。

大岩大日堂木造大日如来坐像の案内板

木造大日如来坐像の案内板。

この大日堂に安置されている本像は、高さ158.8cm、頭髪は髷を結い、額に水晶を入れている。首には三道(三本の筋)をあらわし、左肩から右脇に衣を掛け、腕や手首に釧(くしろ)をつけ、両手は、左手の人差し指を立て、右手でその指を握る智拳印を結んでいる。両足は、右足を前に組合せて、両腿の上に乗せている。

穏やかな顔つきやなだらかな肉取り、彫りの深い衣の表現には平安時代後期の特色があらわれている。

胴体を樟の一材から彫り出す一木造りで、肩幅が広く膝が平たい造形には、素朴な地域色がうかがえる。

この像は、江戸時代に補修を受けているものの、平安時代(11世紀)にさかのぼる金剛界の大日如来像として、吉野地域でも数少ない作例である。平成15年2月10日、町指定有形文化財(彫刻)となった。

平成23年1月 大淀町教育委員会

大岩大日堂の大日如来坐像

座り方は結跏趺坐です。

吉祥坐(きっしょうざ)でしょうか。光背の文様が面白いですね、目が回りそうです。

大岩大日堂の扁額

大日堂の扁額・・・「安楽寺」と書かれています。

大岩大日堂と安楽寺の関係は?気になるところです。

大岩大日堂の石仏群

大日堂左奥の石仏群。

大岩大日堂の屋根瓦

軒下の外陣には屋根瓦が置かれていました。

角を立て、歯を剥き出しにする鬼瓦の数々。

大岩大日堂の猿

猿の屋根瓦もありました。

鬼とは打って変わり、愛嬌を感じさせます。猿も縁起物のモチーフによく使われますよね。

大岩大日堂の石仏

大岩界隈の地蔵石仏が集められたのかもしれません。

時の流れでしょうか・・・下半身を苔に埋め、今となっては自然と一体化しています。

大岩神社参道

大岩神社の参道。

ロープが張られ、注意書きがありました。

大岩神社参道

緩やかにカーブを描きながら、大岩神社の神域へと通じています。

あ~、お参りしておきたかったなぁと呟きます。

大岩区長のお触れ

大岩区長さんのお触れ。

参拝客の安全を気遣ってのことです。日頃の管理に感謝申し上げます。

大岩大日堂の大日如来坐像

額に水晶を嵌め込んだ大日如来。

玉眼はよく聞きますが、額の“白毫”に水晶とはお洒落ですね。面長ですが、頬のあたりはふっくらとしています。あどけいない素朴な印象を受ける大日如来様でした。

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