大淀町増口に鎮座する水分(すいぶん)神社。
山深い地に見られる水分(みくまり)神社とは一線を画すようです。御祭神にアマテラスが名を連ねています。吉野川を見下ろす高所に祀られていました。
急勾配の石段の先に本殿があります。
朱色の神明鳥居を仰ぎ見ながら、62段の石段を登ります。
水分神社の石段には、明和4年(1767)の銘が刻まれた比曽石が使われています。世尊寺のある比曽地区で採れる石英安山岩のようです。
景色のいい水分神社!比曽石の石段と「椿の井戸」
この日私は、「リバーフィールドよしの」近くのスーパーで買い物をし、そこから歩いて水分神社を目指しました。
近鉄大和上市駅からさらに西の増口地区に鎮座しており、ガソリンスタンドの近くでした。ちょうど吉野町と大淀町の境目付近に位置しています。
境内の石燈籠と吉野川。
吉野川を望む絶景ポイントです。景色の開けた境内は、とても気持ちが良かったです。
水分神社の本殿。
御祭神は天照大神を筆頭に、月読命、蛭子神、須佐之男命です。水分神社は筏(いかだ)乗りの神様とも言われます。流水の分配を司る“水配り(みくまり)”とは直接関係が無いようですね。厳かな瑞垣に囲われた本殿には、内削ぎの千木と6本の鰹木が確認できました。
本殿向かって左の薬師堂。
堂内には功徳を得た女人絵が掲げられているようです。
薬師堂の背後には、荒々しい岩肌が剥き出しになっています!
自然の中に佇む神社であることを実感します。
国道169号線を西へ進みます。
吉野町から大淀町へ入るポイントですね。ちょうどそこにガソリンスタンドがあり、その脇から集落へ入って行く道が付いていました。
ここです。
このすぐ右手が水分神社です。
大淀町増口の水分神社。
石垣の上に狛犬が陣取ります。鳥居の背後には、懸造りの建物も見えています。馬道のように真ん中を石段が通り、そのまま本殿へと続いていました。
水分神社の社号標。
ここまで辿り着くに当たり、地元の方に場所を尋ねました。“みくまり神社”はどこにありますか?と聞いたのですが、「あぁ、“すいぶん神社”ね。あのガソリンスタンドの所の」・・・と返ってきました。読み方は水分(すいぶん)神社なんだ、と再確認した次第です。
水分神社の境外社でしょうか。
石垣を背にした社殿がありました。
石段の下に「椿井神水」と刻みます。
鳥居の脇に椿の井戸があったようです。よく確認もせず、お参りを済ませてしまいました。
江戸時代の旅行案内書『大和志』にも記されているようです。旅人たちが喉の渇きを癒したものと思われます。水分神社の見所の一つですね。
迫り出しています!
かなりの急勾配で迫力がありました。
清水の舞台で見たような足組みです。
高齢社会の今の日本では、なかなか考えられない勾配・・・ユニバーサルデザインに反しているからこそ、深い歴史を感じるのでしょう。
今度は見下ろします。
あんなに見上げていた鳥居が、今は足元にあります。
吉野川をも見下ろします。
水分神社の魅力は、この傾斜にあるのかもしれません。
手水舎から見る境内。
西側にも鳥居がありました。
その先に見えるのは薬師堂です。
「子孫繁栄」を刻みます。
代々受け継がれる神社であればこそ、同じような願いが込められます。
懸造りの建物に額が掲げられていました。
おそらく水分神社を詠ったものでしょう。
再び本殿。
本殿へ上がる石段も急で、手すりが付いていました。
狛犬の背には苔が生えています。
適度に湿気を感じさせる境内です。真夏に参拝しても、少しひんやりしているのではないでしょうか。吉野川で川遊びをした後、水分神社に詣でるのもいいでしょう。
石燈籠も苔生しています。
千木は水平の内削ぎです。
女神を祀るスタイルの内削ぎですが、アマテラスを表しているのでしょうか。ちなみに鰹木は6本確認できました。奇数が男神で、偶数の鰹木は女神とも言われますが、あくまで俗説のようですね。
うん?
これは何でしょう。ぐいっと盛り上がるパワーを感じます。蛇なのでしょうか・・・よく分かりませんが、何かスピリチュアルなものを感じました。
石燈籠の竿には「日露戦没記念」と刻みます。
神社参拝は、日本が歩んできた歴史とつながります。
眺望抜群ですね。
水分神社の最寄り駅は、近鉄大和上市駅です。駅から徒歩で5分ぐらいでしょう。
車でアクセスするには、駐車場がありません。
吉野川沿いの観光スポットに共通して言えることですが、駐車場探しには苦労します。どこかの商業施設でお金を落とし、歩いて行くしか方法はありません。念のため、お店の方にも許可を得ておきましょう。
水分神社の神紋でしょうか。
これはおそらく桜ですね。
水分神社の東側にも石段があります。
参拝を終え、国道へと降りて行きます。令和5年度の現在、このガソリンスタンドが目印ですね。
増口区。
国道から一本上手の道を辿るのも面白そうです。集落の中は魅力に満ちています。今回は大師山寺(だいしさんじ)も訪れましたが、色んな隠れた名所に出会えそうな予感がします。