春に旬を迎えるメバル(目張)。
蛤や春キャベツなど、春の食材と合わせたアクアパッツァを作ってみました。
メバルと一口に言っても、様々な種類のメバルがいます。磯釣りの魚として人気がありますが、主に体色によって赤メバル、黒メバル、金メバルなどに分かれます。基本的には水深によって色の違いが生まれるようです。
メバルと蛤のアクアパッツァ。
目張の定番料理は煮付けです。身離れのいい白身は”煮魚”で頂くのがベストです。そこで思い付いたのが、イタリア料理のアクアパッツァ。短時間で水分を絡ませる点では同じだと思います。
春の語源にも通じるカサゴ亜目メバル科の魚
目を張る「目張(めばる)」。
目の大きいメバルは「目丸」に由来するとも言われ、クリッとした目が印象的です。
自然界のあらゆるものが萌え出ずる春は「張る」からきています。雪の下で栄養分を蓄えながら過ごす冬は「殖ゆ(ふゆ)」、そこからぷっくりと膨らんだ芽を出す春は「張る」に由来しています。
もっともメバルに関しては、ほぼ一年中市場に出回ります。味の良い黒メバルなどは夏が旬とも言われ、一概には言えません。とは言え、関西でよく見る赤メバルには春の訪れを感じます。
体色から言って赤メバルでしょう。
割と小振りの魚で、煮付け料理には向いています。
メバルの生態を考察してみると、どうやら卵胎生のようです。
厳しい冬の間は、胎内で稚魚を育てます。自分の栄養分を胎内の稚魚に送り続けるのです。瀬戸内海のメバルは上物とされますが、冬期にイカナゴを乱食します。そうすることで、春のメバルは肉付きが良くなって食卓に上がります。
縦長の春キャベツ。
結球しないタイプでしょうか、産直市場で目を引いたので購入してみました。商品名には甘藍(かんらん)と書かれていましたが、甘藍とはキャベツのことを意味します。
キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草で、そのルーツはケールに遡ります。
背側に特徴的な斑紋が見られますね。
目張(めばる)の中には、ウスメバルやタケノコメバル、さらにはキツネメバル、トゴットメバルなど近縁種も多くあるようです。
私たちが普段使っているキャベツという名前は、英語の cabbage に由来します。
ちなみにフランス語では chou で、シュークリームの”シュー”に当たります。つまり、シュークリームとは”クリームを詰め込んだキャベツ”を意味しているわけですね。
通常のアクアパッツァは、仕上げに刻んだパセリを散らします。「緑の色目」という点では、今回は春キャベツがその代用になります。
手前のメバルは目が飛び出ていました(笑)
眼球の周りが黄色く縁取られています。
フライパンにオリーブオイルを引いたら、皮目をじっくりと焼きます。
その後、強火にして水を入れ、お玉で水を掛けながらふっくらと仕上げていきます。蛤を投入して殻が開いたら、セミドライトマトと春キャベツを入れます。全体によく馴染んだら、エキストラバージンオリーブオイルを回しかけて仕上げます。
蛤にも塩分が含まれていますので、メバルに塩をする際は控えめがいいでしょう。
メバルは受け口なんですね。
大きな括りではスズキの仲間のようです。
スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属に分類されます。
魚類の中でも一大ファミリーを形成するスズキ目。最も高等な魚と言われますが、メバルもそんな仲間の一員だったんですね。