飛魚を一番活かせる料理法、それは姿造りでしょう。
滑空する胸鰭そのままに盛り付けます。塩焼きや揚げ物では難しい演出ですね。なめろうにしても美味しい魚ですが、今回は削ぎ切りにした刺身で頂きます。
飛び魚の姿造り。
胸びれを広げるトビウオの下には、新鮮な甘海老を並べます。あしらいにトンボ人参、ワラビ大根、さざ波胡瓜などを散らします。
腹びれ付け根の骨を除く!トビウオの下処理
海面を滑空する飛魚は大きな胸びれを持っています。
さらに胸ビレだけではなく、腹びれも発達しています。大きな腹びれの根元には硬い骨が通っています。この骨を取り除く必要があります。調理法に限らず、飛魚の腹びれは抜いた方がいいでしょう。
あしらいに使うトンボ人参、ワラビ大根、さざ波胡瓜。
トンボ人参の作り方は”蝶人参”とよく似ています。
最初の切り出しが大きく異なり、蝶々が半月切りなのに対し、蜻蛉は長方形です。羽を開く飾り切りのため、最初に入れる包丁が成否を分けます。あくまでも左右対称でないと、開いた時に形が崩れます。まぁ少々失敗しても、いくつか作って出来栄えのいいものを使えば問題ありません。
真上から姿造りを見下ろします。
飛魚は日本近海に30種以上が生息しているそうです。
時速70㎞程度で水面下を泳いで助走し、尾ビレなどを使って水面を激しく叩き浮上します。気になる飛行距離ですが、概ね100~200mとされます。
おそらく飛び立つ瞬間には、大きな腹ビレも役立っていることでしょう。
腹びれの付け根の骨ですが、頭に向かって角度が付いています。中骨と同じですね。飛魚の中骨はたくさんあって、骨抜きで抜く作業は大変です。頭から尻の方までびっしりと付いていました。
人参、大根、胡瓜などの野菜は飾り切りに欠かせません。
いつでもどこでも手に入る食材故、その利用範囲は多岐にわたります。
九州方面の干しアゴは旨いですよね。
出汁の材料として人気があります。
泳ぐだけではなく飛ぶことの出来る魚です。海の中のアスリートと言ってもいいでしょう。これだけの運動能力がある魚ですから、出汁が旨いのも頷けます。
飛魚の胸ビレはまさに”翼”です。
生息場所に近い環境での展示が人気を呼ぶ動物園。
種によって活き活きする環境はそれぞれに異なります。その動物に合った展示法で業績を回復する動物園は、あらゆる業界のお手本です。
かけがえのない命を頂いたからには、目にも美味しく頂きたいですね。