通称オジサンのヒメジ。
スーパーなどでは「メンドリ」の名で売られている赤い魚です。
皮目が美味しいヒメジの特性を生かし、オリーブオイルで焼き付けるポワレにしてみました。
ヒメジのポワレ。
手前に盛っているのはブダイ(イガミ)のポワレです。
ポワレとは、フランス語でフライパンを意味します。フライパン一つで料理できる献立がポワレ。まずはヒメジを三枚におろし、切り身にします。身に塩を振って10分余り臭味を抜いた後、フライパンにオリーブオイルを敷いて皮目から焼き始めます。
反り返りを押さえ付け、皮目8割強の火入れ
ポワレの作り方ですが、皮目をしっかり焼くことが基本になります。
裏返した後の身の方はほんの少しでいいでしょう。火加減は弱火から中火がいいと思います。いきなり強火で焼くと、皮が焦げてしまいます。ムニエルのように小麦粉は付けません。そのままの状態で焼き始めます。
ヒメジ(メンドリ)とブダイ(イガミ)。
どちらも鮮やかな色合いの魚ですね。分類上はスズキ目ヒメジ科に属するヒメジ。50cm前後にもなる大形の魚で、よく似たものにウミヒゴイ、オキナヒメジ、ホウライヒメジなどがいます。
ヒメジの尾びれには切れ込みが見られます。
ヒメジは赤い皮が美味しく、刺身などで頂く際も”皮霜造り”にします。
ヒメジの髭(ひげ)。
下顎から太くて長いヒゲが伸びています。「おじさん」と呼ばれる所以ですね。ギンメダイなどの深海魚によく見られるヒゲですが、ヒメジの髭は規格外の太さです。ヒゲと言うより脚が生えているよう(笑)
ヒメジのあら炊き。
ブイヤベースの材料にもなるヒメジは、骨から出る旨味も格別です。
皮目から焼き始めると、身が反り返ってきます。
そのまま焼き続けると、焼きの甘い箇所ができてしまいます。手やフライ返しで押さえ付けながら皮目全体を焼きます。あまり強く押し付けてもいけませんが、反り返らなくなるように適度に押します。弱火でじっくり焼き、8割強火が通ったらひっくり返します。
最初に出る脂分には臭味も含まれますので、捨てた方がいいでしょう。新たに入れたオリーブオイルを回しかけながらアロゼします。
ヒメジはたらこ唇ですね。
ブダイの歯は細かく密集しています。
ヒメジの鱗。
大きくて薄いウロコです。
鯛の鱗とは全く異なります。ばら引きで鱗を取りましたが、ヒメジの場合は「鱗をめくる」といった印象です。鯛などのようにバリバリッと取るのではなく、ぺらぺらッと薄い鱗をめくり上げます。同じタイミングで水洗いしたブダイも、同じく薄い鱗でした。
ヒメジは群れを形成しない魚のようです。
単独行動か、あるいは数尾でエサを探しています。長いヒゲが感覚器官になっていて、巧みに餌を探し当てます。
日本料理ではあまり見慣れない魚ですが、フランスやイタリアでは人気があります。ポワレにして頂くと、その理由が分かります。