バラまつり開催中のおふさ観音。
20年ぶりの寺宝特別公開中で、薬師如来の千仏掛軸を拝観することが出来ます。おふさ観音には釈迦、薬師、阿弥陀の三千仏掛軸が伝わり、その内の薬師如来掛軸を見学して来ました。
おふさ観音の門前。
鉢植えの即売会も行われています。この日もよく晴れ渡り、観光バスの団体参拝客もいらっしゃいました。提灯やメダカ、生き人形なども見所の一つですね。
千手観音像に阿弥陀三尊像!成道仏も拝める本堂拝観
おふさ観音の本堂を拝観致しました。
境内には何度も足を運んでいますが、本堂内に入るのは今回が初めてです。生き人形のみならず、実に様々な仏像が祀られています。本堂の中央奥には、ご本尊の十一面観音御前立も見ることができます。拝観受付でお伺いすると、正真正銘の御本尊は小さな仏像のようです。御前立の後ろの厨子に納められており、位置的には御前立と千手観音の間とのことです。
一願成就の千手十一面観音立像。
珍しい北向きの観音様です。普段は閉まっている本堂背後の扉が開かれ、千手観音様がお姿を現していました。この背後にご本尊が祀られているのでしょう。
千手観音の左側には阿弥陀三尊像が祀られています。スタンダードな並びで、阿弥陀の右に観音菩薩、左には勢至菩薩がいらっしゃいました。どちらも足を半歩踏み出し、動きの感じられる仏像です。本堂拝観案内によると、「あみだ」とはサンスクリット語で、無限の光を持つものを意味するアミターバを音写した言葉のようです。
おふさ観音の提灯と薔薇。
これまでの薔薇まつりはバラのみでしたが、提灯とのコラボが楽しめるようになっています。
本堂拝観の仏像配置図。
1番目の生き人形から順に、役行者像、阿弥陀三尊像、千手観音像、本尊・十一面観音像御前立、弁財天像、成道仏、誕生仏と続きます。●で示されているのが薬師如来の千仏掛軸です。千仏それぞれに表情があり、愛嬌のあるタッチでした!
役行者像には、お約束で前鬼・後鬼が配されています。
成道仏は薬師如来坐像のことですが、与願印と施無畏印を結んでおられます。地面を指先で触れる降魔印ではなく、ちょっと意外でした。成道仏ということで、悪魔退散の印である「降魔成道(ごうまじょうどう)」をイメージしていました。花会式などでお馴染みの誕生釈迦仏も可愛らしかったです。
さなぶり餅の店頭に紫陽花が咲いていました。
今年は季節の進みが早いですね。この後訪れた鷺栖神社にも、既に紫陽花が開花していました。
生き人形も印象に残ります。
“人形”ということで少女像をイメージしていたのですが、年老いた翁の坐像でした。髪の毛や血管の細部に至るまで再現され、まるで生きているかのような人形です。柔和な表情の老人で、頬やこめかみに窪みが見られます。ガラスケースに納められており、横から見ると後頭部が張り出していました。
明治期に活躍した安本亀八の作と伝わります。おふさ観音の発展に寄与した飯田喜八郎という方の生き写しです。命を吹き込まれた翁像という点では、東大寺の重源上人像とダブります。
薔薇のつぼみ。
開花を待つタイミングに、命の充実を感じます。
鐘楼から見る本堂。
実に賑やかな境内です。夜間には提灯がライトアップされるようです。
飛鳥川沿いの石標。
「おふさ積乃観音」と刻みます。
積の観音さんと呼ばれるおふさ観音。「積」は「癪」のことで、胸や腹の発作性の痛みを表します。現代医学では胃痙攣や子宮頸連に当たるものと思われますが、昔の人にとっても恐ろしい病だったに違いありません。おふさ観音の境内には「積観世音」と書かれた提灯が掲げられています。
鐘楼近くで睨みを利かす鍾馗さん。
生き人形の左横には、高野山からもらい受けたという貧女の一灯が点っていました。本当にわずかな火種ですが、信仰の厚さがうかがえます。
境内には玉置神社も祀られています。
愛染明王や弁財天と並んで祀られる玉置神社。熊野三山奥の宮であり、おふさ観音は紀伊山地の霊場ともつながっています。
えべっさんの前にも提灯と薔薇が華やぎを添えます。
本堂前のお百度石。
以前から気になっていたのですが、どうやら百度石のようです。
おふさ観音の「めだかの学校」。
色んな種類のメダカが泳いでいます。メダカの飼育ですが、最近あちこちで流行っていますね。
お絵描き絵馬と北面千手観音像。
片面に自由に絵を描き、もう片面に願い事を記す絵馬です。世界に一つだけのオリジナル絵馬を奉納することができます。絵馬の奉納料は500円のようです。
北を向く十一面千手観音立像。
おふさ観音の由緒に登場する、亀(カメ)が棲む池を向いています。
おふさ観音の干支絵馬。
おふさ観音の御本尊ですが、1年に2日間だけ御開帳があるようです。春大祭の4月17日と18日に、秘仏十一面観音を拝観することが出来ます。
お絵描き絵馬の案内。
寺務所にて只今販売中です。
エキゾチックな提灯ですね。
大陸風のデザインを感じます。この奥には、円空庭と茶房おふさが控えています。
境内で一服することもできます。
以前にバラジュースを頂きましたが、おそらく今も名物の一つではないでしょうか。
本堂前の仏足石。
仏像が出来る以前の信仰対象ですね。
今回の拝観で、改めておふさ観音の奥深さを感じました。これだけ色んな仏像が楽しめるとは思いもしませんでした。阿弥陀三尊や成道仏には量感もあります。仏像好きにもおすすめしたいお寺です。