若宮神幸祭(わかみやしんこうさい)を見学して参りました。
毎年4月8日~10日の三日間に渡って執り行われる春の大神祭(おおみわさい)。その二日目に当たる4月9日に、三輪の町を練り歩く大神神社の若宮神幸祭が催行されました。
三輪坐恵比須神社拝殿前に拝礼。
神職の横でお稚児さんが整列していますね。
若宮様の御霊代をお神輿に遷して巡幸する若宮神幸祭は、4月9日の午後1時に始まります。
三輪の町中を練り歩き、三輪坐恵比須神社に辿り着いたのは午後2時30分頃でした。数年前にも見学したのですが、その時の舞台は大神神社境内でした。大神神社拝殿前で祭事の様子を見て、玉砂利の参道から二の鳥居へ向かうお渡りを追っ掛けました。そして今回は、舞台を三輪坐恵比須神社に移します。
甲冑騎馬と時代装束のお渡り行列
若宮さんの御霊を担いで練り歩くお渡り。
大神神社の若宮社には大田田根子が祀られているわけですが、若宮様を一旦お遷しして行われる祭事という点では、春日大社の春日若宮おん祭と重なるものを感じます。
若宮様も年に一度は境内を抜け出して、春うららかな三輪の町を見てみたいでしょうからね。
三輪公園で休憩する神馬。
公園のお隣りが三輪坐恵比須神社です。
恵比須神社の境内は小ぢんまりしていますので、馬たちは桜の木に囲まれた公園で一休みです。草を食む馬もいたりと、束の間の休憩を楽しんでいる様子です。
午後1時30分頃の恵比須神社境内。
今か今かと、お渡りの到着を待ち受けます。既に祭典の準備も整い、マイクスタンドが立っていました。拝殿には三つ蔓柏(御神紋)の幕が掛かります。
狛犬と桜。
三輪のえべっさんにも桜が開花していました。
パナソニック製 RAMSA のスピーカーですね。
普段は古色蒼然とした境内ですが、この時ばかりは最新機器を揃えてのお出迎えです。
若宮神幸祭のお渡り行列。
続々と恵比須神社に吸い込まれていきます。
時代装束がお似合いですね。
約250名にも及ぶ時代行列です。
春の大神祭では、8日午前10時から若宮社(大直禰子神社)に於いて例祭が斎行されます。それに引き続き、若宮様の御霊を大神神社本社拝殿御棚に奉遷し、午後5時から宵宮祭という流れになっています。
さらに明けて、9日午前10時より春の大神祭が厳粛に斎行されます。
全国各地から神社関係者・氏子・崇敬者ら約1,200名が参列すると言いますから、相当大きな祭典であることが分かります。
春の大神祭では、宮司祝詞奏上に続き、神楽「うま酒みわの舞」も舞われます。
そしていよいよ、午後1時から若宮神幸祭へと移っていきます。
待ちに待った時代絵巻の観賞です。
近隣住民のみならず、数多くの方々が参列を見学なさっていました。ふと恵比須神社の入口付近に目をやると、昨日からご宿泊頂いているスイス人旅行客の姿が見えました。近寄って一言二言会話を交わします。外国人観光客にとってはまたとない被写体です。タイミングを計りながら何度もシャッターを切っておられました。
時代装束の行列に続いて神馬も登場です。
先頭を切るのは大神神社の宮司さんのようです。恵比須神社前に踏み台が置かれ、騎乗していた方々が一人一人馬から降りていきます。
続いてこちらは、私の父親です (笑)
ここまで無事に務めを終えたようで、私もホッと胸をなでおろします。白馬に乗せて頂いたようですね。
ヨイショと踏み台に足を掛けます。
おっ、後ろの馬が暴れ出しました!手綱を持って必死に抑えておられる様子が写っています。神事の馬は比較的大人しい性格とされますが、さすがにそこは動物です。環境によっては敏感に反応してしまうこともあるでしょう。今回は事なきを得たようで良かったです。
生垣に立て掛けられたお渡りの幟旗。
続々と恵比須神社に到着し、祭典の開始を待ち詫びます。
神輿を仰ぐ恵比須神社の駐輦祭
三輪坐恵比須神社で執り行われる駐輦祭(ちゅうれんさい)。
駐輦(ちゅうれん)とは、天子が車をとどめること、あるいは行幸先に滞在することを意味します。駐駕(ちゅうが)とも言い、貴人が乗り物をある場所にとどめることを表します。若宮神幸祭の場合、要するに ”馬の休憩” ということになるでしょうか。
駐輦祭の進行役の背中。
拝殿前には、若宮の御霊を遷した神輿が陣取ります。
駐輦祭の始まりと同時に、大神神社宮司が進み出ました。
残念ながら拝殿前の桜は散り始めのようですね。
満開であれば、さぞ見応えがあったでしょう。
神饌の受け渡しシーン。
尾頭付きの鯛のようです。
思えば三輪坐恵比須神社の初市大祭では鯛引き行列があります。境内には鯛の絵馬も掛かっており、えべっさんと鯛の関係が頭に浮かんできます。
粛々と進行する駐輦祭。
黄金に映える神輿が神々しいですね。
若宮神幸祭の休憩場所である恵比須神社に赴いたのは今回が初めてでした。
隣接する三輪公園で休む馬は何度か見に行ったことがあったのですが、祭事は初体験です。やはりこちらの方が見所に満ちていますね。
つつがなく祭事が終了し、お渡りを先導してきた猿田彦が移動します。
天狗の格好をした猿田彦。
いつものことながら、お渡りには欠かせない存在です。
猿田彦の高下駄。
ずいぶん不安定な高下駄を履いていますね。お付きの方に支えられながらの移動です。
三輪公園の出入口付近。
まだ蕾の状態の桜もありました。
恵比須神社での駐輦祭の後、再びお渡りは大鳥居、一の鳥居、二の鳥居、本社へと巡幸ルートを辿ります。
恵比須神社から三輪駅前通りに出てくるお神輿。
神輿の担ぎ手は、お馴染みのオレンジ色の装束です。神輿の屋根の上で羽を広げているのは鳳凰でしょうか。
大神神社の宮司様。
黒い御衣裳に黒い馬。馬の毛色も装束に合わせているのかもしれませんね。
大神神社を出発したお渡り行列は、素戔嗚神社~敷島大教会前のルートを辿ります。待ち受ける場所によっては、毎年違った趣のお渡りを楽しめるのではないでしょうか。
今から来年度の若宮神幸祭が楽しみですね。
最終日に当たる10日の行事もここにご案内しておきます。
10日の午前10時からは後宴祭(ごえんさい)が執り行われます。続いて、宮司奉仕による若宮還御祭、権宮司奉仕による狭井神社例祭が斎行されます。
一番の見せ場は後宴能。
10日正午から催される後宴能には、毎年数多くの観覧客が見物に訪れます。金剛流宗家による「神歌」、吉例の狂言「福之神」、御祭神ゆかりの能「三輪」(金春流)、助けた魚がお礼に幸をもたらす「合浦(かっぽ)」(観世流)など、大変見所の多い能舞台が繰り広げられます。
※若宮神幸祭(2013年度)のスライドショー動画です。どうぞご参照ください。
<大神神社の若宮神幸祭案内>