万葉歌人・柿本人麻呂を御祭神とするお社が、橿原市地黄町に鎮座しています。
人麿神社。
毎年5月4日に催される「すすつけ祭」でおなじみの神社ですが、歌聖と呼ばれた柿本人麻呂を祀る神社であることを今一度確認しておきたいと思います。
橿原市地黄町の地名由来
当館大正楼から車で10分余りの場所に位置する橿原市地黄町(じおちょう)。
普段はあまり訪れることのない町であり、近鉄大阪線八木駅近くの高架下に広がるという場所柄、車での往来には以前より不便を感じていました。ガード下を抜けたと思ったら、また折り返してガード下へ吸い込まれたりと、結構迷いやすい土地柄ではあります。
飛鳥川に架かる地黄橋。
地黄という地名は、漢方の薬草である佐保姫(さおひめ)・別名地黄が盛んに作られていたことに由来します。中国原産の地黄はゴマノハグサ科の多年草で、お正月の邪気払いで食される地黄粥などで知られます。
柿本人丸神社と刻まれています。
飛鳥の犬養万葉記念館で「人丸信仰」のポスターを見たことを思い出します。柿本人麻呂には様々な漢字表記があるようですね。人丸信仰は全国各地に見られ、「人生まる(ひとうまる)」の安産の神、「火止まる(ひとまる)」の防火の神としても仰がれています。
地黄のスミつけ祭り(すすつけ祭)は豊作や無病息災を祈願する野神祭として今に伝えられています。ゴールデンウィーク期間中に催される祭事とあって、私はまだ一度もすすつけ祭の様子を拝見したことがないのですが、奈良県の無形民俗文化財にも指定される注目のイベントです。
入鹿神社と正蓮寺大日堂の大日如来座像を拝観した後、目的地の人麿神社を目指します。小綱町から地黄町に足を踏み入れれば、ほどなく三十六歌仙の柿本人麻呂を祀る人麿神社が見えて参ります。
地黄町の人麿神社は、葛城市新庄町の柿本神社から分祀されたと伝えられます。
江戸時代以降は人丸大明神社と呼ばれ、数多くの人々の崇敬を集めました。
拝殿の前には御神木が立っていました。
人麿神社鎮座地の由来にもなったサオヒメ(地黄)。
地黄の根茎を刻み入れた地黄粥も健康に良い食べ物ですが、地黄の汁を加えて練った飴の地黄煎(じおうせん)も人気を博しました。地黄煎は京都伏見稲荷大社門前の名産でもありますよね。
人麿神社本殿。
一間社隅木入春日造・桧皮葺の室町建築の傑作です。
ブルーの道標にも案内されていましたが、人麿神社本殿は重要文化財に指定されています。
拝殿前の狛犬。
狛犬の足に紐が括り付けられていますね。
止め事成就を祈願する紐なのでしょうか。時期的に想像を膨らませれば、受験のすべり止め祈願といったところでしょうか。
人麿神社参拝案内
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人麿神社
住所:奈良県橿原市地黄町西浦445
拝観料:無料
駐車場:無し
アクセス:近鉄大和八木駅より徒歩10分