申年お正月準備の大神神社

12月13日の事始めの日に、大神神社境内へ足を運んで参りました。

毎年この時期には境内を歩くようにしているのですが、今年もまた新年を迎える準備が着々と進められていました。干支の大絵馬が拝殿前にお目見えし、二の鳥居前には大門松が立ちます。境内の注連縄が掛け替えられ、参集殿玄関口のなでうさぎが祈祷殿前へと引っ越しをします。

大神神社の大絵馬

拝殿前に掲げられた申年の大絵馬

高さ1・5m、幅約4mの大きさの扇形絵馬です。猿の右手には三つの鈴が握られています。鈴を持って邪気祓いをする猿が描かれているようです。三輪さんの愛称で親しまれる大神神社ですが、「三輪さん」だけに三つの鈴で表現されているのかもしれませんね。

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事始めから2月6日まで公開予定の大絵馬

大神神社の大絵馬は、ちょうどこの日から来年の2月6日まで公開予定となっています。大神神社拝殿や南西回廊にて、新春の大神神社参拝客を出迎えます。

年賀状モチーフとしても人気の高い橿原神宮大絵馬に比べれば随分小振りです。しかしながら、その水墨画風の繊細なタッチは見ていて飽きることがありません。田原本町在住の洋画家が、13年前から大神神社に奉納されているようです。

大神神社の大門松

事始めの日に登場した大神神社の大門松

大きいですね、お正月を祝う実に立派な門松が二の鳥居前にお目見えです。

申年の大絵馬

鈴の穴がどこかニコちゃんマークを思わせます(笑)

にっこり笑っているようで、新年のおめでたい雰囲気にぴったりです。その反面、猿の目はこちらを向いて何かを訴えかけているようです。この干支猿の視線は、どの角度から見ても参拝客の方を向くように描かれています。どこか見透かされているようでもあり、それでいながらしっかり守られている安堵感をも感じさせます。

手首から先に目をやると、いかにも猿らしい可動域の広さが伝わってきます。

大神神社の大門松

竹や松、それに葉牡丹や南天等々で構成されています。

門松は年神様が降臨する依代です。

なぜお正月に門松を玄関口に立てるのか?素朴な疑問ではありますが、そこにはきちんとした意味があるのです。門松を飾る日にもある程度の決まり事があります。一般的には事始めに当たる12月13日から28日の間が良しとされます。12月29日と12月31日(大晦日)に門松を飾るのはタブーとされます。

29日は「九松」で ”苦を待つ” に通じ、昔から門松の飾り付けには禁忌日とされています。また試験勉強の一夜漬けがあまり良くないように、大晦日に門松を飾るのも ”一夜飾り” として忌み嫌われます。

申年の大絵馬

なるほど、確かにこちらを向いていますね(笑)

初詣に大神神社を訪れる予定の方は、是非この大絵馬の下を左右に動きながら試してみて下さい。まるで猿に生命が宿ったかのように、こちらを見つめ続けます。

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標の内と標の外を区別する注連縄

年末恒例の注連縄の掛け替え。

真新しい注連縄が掛けられると、境内に清新な空気が流れます。

そもそも注連縄にはどんな役割があるのか、少し考えてみたいと思います。

注連縄の掛け替え

大神神社の事始めの日、境内の注連縄が掛け替えられていました。

思い起こせば昨年度のこの時期に、大阪へ出掛ける前に大神神社に立ち寄りました。ちょうどその際にも狭井神社の注連縄が新しく生まれ変わろうとしていました。掛け替え作業のお手伝いもさせて頂き、この上ないご利益に授かれたことを思い出します。

大神神社の注連縄

注連縄の上は相当な高さになるでしょうね。

ところでこの注連縄、注連縄(しめなわ)と当て字のような漢字を書きます。そもそもこの注連縄の「しめ」は「占む(しむ)」の連用形名詞であり、漢字で表記すれば「標(しめ)」に当たります。神社の境内を「標の内(しめのうち)」、境内の外を「標の外(しめのほか)」と言います。

標(しめ)は標(しるべ)であり、土地の領有や区画を表す木や石、縄などのことを言ったのです。普段私たちが生活する領域は標の外ということになります。禊をして神様の前に出る際、とある結界を超えます。その結界にあるのが注連縄なのです。

大神神社の注連縄

黄葉と大神神社の注連縄。

拝殿前に参拝客の姿が見えますが、あちら側は標の内です。黄葉の手前で撮影している私は標の外に居ることになります。境内におられたガードマンの方にお伺いすると、どうやらこの拝殿前の注連縄も私が訪れる少し前に掛け替えられたばかりとのことでした。

ニアミスでした(笑) 掛け替えシーンを是非見てみたかったですね。

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照友神社の大注連縄奉納

拝殿前にも大きな注連縄が奉納されていました。

大阪の岸和田に大神神社の分社・照友神社というお社があります。そこで謹製された注連縄が大神神社に奉納されているようです。

大神神社の大注連縄掛け替え
大神神社の年末恒例行事。「大注連縄の掛け替え」に参加して来ました。拝殿前の注連柱に渡される注連縄ですが、一年に一回新しいものと取り替えられます。今年の汚れは今年の内に、ということで心機一転新しい年を迎えられそうです。大神神社の大注連縄。5本...

照友神社謹製大注連縄

拝殿前に奉納された大注連縄。

毎年初詣の時期になると、大神神社周辺の道路は大混雑します。一体どこまでこの渋滞は続いているのだろうか?と自転車で渋滞の列を追って行ったことがあるのですが、その時に気付いたのが和泉ナンバーの多さです。和泉ナンバーの車と言えば、岸和田市も含まれています。なるほど、岸和田市には大神神社を信奉なさっている方が多いのだなと思います。

照友神社謹製大注連縄

大神神社の分社は全国的にも意外と少なく、その内の一つが三輪明神照友神社とされます。

読み方は照友(しょうゆう)神社です。

照友神社の初代宮司さんは厳しい修行を積まれたようです。そのことを認められ、昭和29年に大神神社から大注連縄の謹製作業を託されたと伝えられます。

照友神社謹製大注連縄

照友神社照友会の文字が見えますね。

ここに、大神神社注連縄作りに奉仕されている照友会の皆様に感謝の意を表します。

大神神社境内の注連縄

これはぶら下がっている部分ですね。

見ているだけでも重量感が伝わって参ります。

大神神社境内の注連縄

様々な人々の協力を得ながら、大神神社の新年準備が進められます。

岸和田と言えば、大神神社で挙式された元プロ野球選手の清原さんのことが頭をよぎります。近い将来、プロ野球界に戻って来られることを期待しています。

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新調された宝物収蔵庫の案内板

今回の散策で新しい発見が一つありました。

宝物収蔵庫の案内板が立てられていたのです。開館日の少ないことで話題になる大神神社の宝物収蔵庫ですが、私は今まで二度だけ見学したことがあります。その中でも、県指定文化財の大国主大神木像などが印象に残っています。

大神神社の巫女

境内を歩く巫女さんたち。

境内を移動される時、必ず拝殿前に来ると一礼しておられる姿を思い出します。当たり前のことなのかもしれませんが、巫女さんの御衣裳は紅白で構成されているんですね。

宝物収蔵庫

初めて目にした宝物収蔵庫の案内板。

開館日は朔日詣りの毎月1日、週末の土日、祝日と案内されています。お正月期間の1月1日から5日までは特別開館日となっているようです。

宝物収蔵庫の拝観料

拝観料は大人200円、高校生以下100円です。

中はそんなに広くありませんが、三輪山周辺の歴史を様々な角度から学ぶことができる施設です。まだ見学したことのない方は、是非来年のお正月にでも中を覗いてみて下さい。

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年末年始の大神神社行事

二の鳥居脇に掲示されている大神神社の行事予定。

12月23日の天長祭、大晦日の大祓・除夜祭、元旦午前零時の御神火拝戴祭、元旦午前1時の繞道祭・併皇室御安泰祈願祭、元旦午前5時の四方拝と続きます。

大神神社の大門松

大門松の下部には大きな葉牡丹が飾られます。

花の少ない時期には何かと活躍する植物ですよね。

松ぼっくり

松ぼっくりに寄ってみます(笑)

12月23日午前10時に執り行われる天長祭では、天皇の長寿と国家安泰の祈りが捧げられます。昭和天皇の御親拝を記念して建立されたのが今の大神神社大鳥居です。さらに平成天皇も、2014年度の秋に大神神社にお参りになられています。天皇家とも深い御縁で結ばれる大神神社ですから、天長祭も大切な行事の一つとなっています。

大神神社の四方拝

天長祭の「天長」とは、中国老子の「天長地久」に由来します。

天地が永遠に変わらないように物事が続くことを「天長地久」と言います。とこしえに続く平安を祈って、天長祭が行われているのですね。

元旦の午前5時から拝殿で執り行われる四方拝(しほうはい)では、東方、御棚、西南方、西北方に鎮座するご祭神ゆかりの神々を拝します。

大神神社の大門松

大門松の向こうに「幽玄」の文字を捉えます。

二の鳥居をくぐって玉砂利の参道を進めば、参拝客は皆異口同音に「空気が変わった」と表現します。私も幾度となくこの参道を上っていますが、感じるところは同じです。まさしくここは幽玄で玄妙な世界への入口です。

南天

大門松に飾られる南天。

難を転じる南天は縁起物とされます。一粒一粒は小さくても、これだけ密集していれば邪悪なものも思わず退散してしまうでしょうね(笑) 赤色は魔を祓うカラーとされます。

大神神社の擬宝珠

祓戸神社手前に架かる橋の擬宝珠。

落葉が一枚、うまい具合に乗っかっていました。12月中旬の絵になる光景ですね。

三輪山登山の杖

手水舎に置かれた杖。

三輪山と刻印されています。手水舎の下手には、縁結び祈願で知られる夫婦岩を望みます。

紅葉と衣掛杉

黄葉の向こうに、衣掛杉の覆い屋根を見下ろします。

拝殿へと続く石段右側に、わずかに残る紅葉が見られました。大神神社境内の紅葉ポイントはこの場所を含めてほんのわずかです。大礼記念館から三輪山会館へ向かう途中で、少しの紅葉を楽しむことができますが、概ね大神神社は紅葉の名所とはほど遠いようです。

大神神社の紅葉

貴重な紅葉風景。

事始めの時期にまだ紅葉が残っています。地球規模で進む温暖化を考えれば、この先は年末にもこのような風景が見られるのかもしれません。

なでうさぎ小屋と祈祷殿

祈祷殿前のなでうさぎ小屋。

通常は参集殿玄関口に居るなでうさぎですが、お正月シーズンになるとこの場所に移動するのが慣わしです。

大神神社祈祷殿

やはり大神神社に参拝したからには、人気者のなでうさぎを撫でたいですからね。

参集殿の玄関口では狭すぎて大混雑に陥るのが目に見えています。広い祈祷殿前に引っ越しすることにより、初詣客の安全が守られます。広い場所に移ったとはいえ、毎年目にする光景は長蛇の列です。なでうさぎを撫でるために、九十九折(つづらおり)の行列待ちができるのです(笑)

来年の2016年度を迎えるに当たり、申年にちなみ「魔が去る一年」でありますようにと祈ります。勝負事を控えている人は、「勝る一年」であることを祈願します。皆が幸せで平穏な日々を暮らせますようにと、申年の大絵馬に願いを込めます。

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