橿原市四分町に鎮座する鷺栖神社。
藤原宮跡付近には「鷺」に関わる地名が散見されますが、鷺栖(さぎす)神社の「鷺」も無関係ではないでしょう。
飛鳥川沿いにある西向きの古社で、由緒ある延喜式内社とされます。
鷺栖神社拝殿内の絵馬。
勇壮な馬や刀が描かれています。
中古より戦いの神として崇敬を集めていたようで、鷺栖八幡と呼ばれていました。御祭神の中殿には、誉田別命(ほんだわけのみこと)が祀られます。
鷺栖神社の紫陽花&鎮座地『四分』の地名由来
鷺栖神社の住所は橿原市四分(しぶ)です。
四分という地名はどこから来ているのでしょうか。
鷺栖神社の紫陽花。
境内には初夏を彩る紫陽花が咲いていました。あじさいの名所と言ってもいいぐらい、結構見応えのある境内でした。「鷺栖神社の紫陽花」は、奈良観光の穴場として覚えておいてもいいですね。
四分の由来ですが、鷺栖神社から程近い場所に今井町があります。
江戸時代の町並みへ続く橋の名前を「蘇武橋」と言います。また、今井町に伝わる井戸は「蘇武之井」と呼ばれています。この「ソブ」は「アソブ」に由来するものと思われます。
橿原市四分町は『和名抄』にみえる高市郡遊部(あそぶべ)郷の地域に当たるという説があります。
楽を奏し、鎮魂の儀に関与した部のことを意味しているのでしょう。遊ぶの語源の記事でもご案内しましたが、神の神託を受ける間が遊びであったとすれば、概ね納得のいく地名由来だと思われます。
ダイナミズムを感じさせる馬!
694年の藤原京以前には創祀されていたであろう鷺栖神社。
大変歴史ある神社ですが、案外知られていないですよね。周辺にはおふさ観音や橿原神宮もあります。ちょっと足を延ばして訪れてみたい神社がまた一つ増えました。