環濠集落が数多く残る奈良県内。
広陵町役場の南方にも、南郷環濠集落というエリアが残されています。
濠を巡らした南郷環濠集落。
はるか戦国時代、大和国には強力な支配者が居なかったと言います。強盗や略奪が日常的に横行する中、村人たちには自分たちの村を守る自衛の精神が芽生えました。村の周囲に濠を巡らすことによって、外敵に備える必要があったのです。必要に迫られた結果の環濠集落でしたが、村を囲む環濠は水利施設としても利用されていたようです。
手づくり郷土賞を受賞
南郷環濠集落は下水道水緑景観モデル事業(ウォータースクウェアプラン)として、国土交通省大臣表彰の手づくり郷土(ふるさと)賞を受賞しています。
近隣住民たちの憩いの場にもなっている南郷環濠集落。
往時の姿を偲ばせつつ、現代的にもアレンジされた空間が広がります。
南郷環濠集落の周辺地図。
広陵町役場前に大きな観光マップがありました。役場の南方に環濠集落があり、その垣内内に石の弥勒様が見所の山王神社が鎮座しています。垣内(かいと)の地名でも知られる環濠集落ですが、集落の周りが点線で囲われていて実に分かりやすい地図です。
銀杏でしょうか。
中世の歴史が蘇る環濠集落ですが、南郷環濠集落のように整備されている所も珍しいのではないでしょうか。ほったらかしになっている環濠集落が多い中、ちょっと違った雰囲気が感じられます。
広陵町のマンホール。
竹のイラストと共に、「かぐや姫のまち」と記されています。南郷環濠集落から北西方向にある讃岐神社は竹取物語ゆかりのお社です。広陵町と言えばかぐや姫、かぐや姫と言えば広陵町なのです。
広陵町の町章と共に、南郷の住所が示されます。
さすがに環濠集落とあって、古い佇まいの家々が続きます。
ここもひょっとすると、環濠の名残なのでしょうか。
小学校が近くにあるのか、電柱に「学童多し」の注意書きが見られます。
千日紅(センニチコウ)でしょうか。
今年の秋口、馬見丘陵公園内でも目にした記憶が蘇ります。
太鼓橋も架けられていますね。
かつての環濠集落が、見事に散策路として生まれ変わっています。
手づくり郷土賞のプレート。
平成7年度に自然部門として受賞されているようです。当時の建設大臣の名前らしきものも刻まれています。それにしても、手づくり郷土(ふるさと)賞って何?と思いながら、ネットで検索してみました。
地域の魅力や個性を創出している良質な社会資本及びそれと関わりを持つ優れた地域活動を一体の成果として発掘し、「手づくり郷土賞」として表彰するとともに、好事例として広く紹介することにより、各地で個性的で魅力ある郷土づくりに向けた取組が一層推進されることを目指しています。
「手づくり郷土賞」は昭和61年度に創設され、平成27年度で30回目の開催となる国土交通大臣表彰です。
国土交通大臣表彰ということで、何やらそれだけでも箔が付きそうですね(笑)
すぐ近くに民家が建っています。
南郷環濠集落では桜の木が植えられ、藤棚を楽しむこともできます。往年のガス燈スタイルの街灯が、集落全体をタイムスリップさせているようでもあります。ちょっとした演出ですが、訪れる人への気配りが感じられます。
南北700m、東西550mの規模で環濠がめぐらされています。
かつては幅約3mの濠が掘られ、周囲には土塁があったと伝えられます。現在は石積みにより整備され、昔の面影こそありませんが、かすかに感じられる歴史の佇まいに身を委ねます。
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