ねずみ返しってご存知でしょうか?
倉庫に蓄えられた穀物などを鼠の被害から守るために取り付けられたものです。ネズミの侵入を防ぐための板ですが、復元展示された高床式倉庫に見学することができます。場所は広陵町の竹取公園で、園内の古代住居広場に於いて無料展示されています。
高床式倉庫のねずみ返し。
なるほど、この板があればおいそれと鼠も侵入出来ないでしょうね。卓越したロッククライミングの技術でも無ければ、覆い塞がる平板の壁を超えることは不可能です。さすがのネズミも重力には逆らえませんから、この板の前で断念したものと思われます。
取り外し可能な階(きざはし)
高床式倉庫のもう一つの特徴に階段・階(きざはし)があります。
階段と言っても、実に簡単な作りのものです。使用しない時は倉庫から外されていたものと思われます。
階(きざはし)は階(きだはし)と発音することもあるようで、段梯(きだはし)のことを意味しています。要するに段梯子のことで、階段とは名ばかりのほとんど梯子と言ってもいいぐらいのものです。
高床式倉庫の左手奥には、古墳時代の竪穴式住居も復元展示されていました。
高床式倉庫の入口付近に梯子のようなものが見られますね。足の踏み場はかなり狭く、ほぼ爪先だけで上って行くような感覚です。高床式倉庫ですが、いかにも湿気を防いでくれそうな建物ではないでしょうか。
竹取公園の地図。
公園入口から展望広場、花とせせらぎ広場が続き、その右手奥に古代住居広場が広がります。
園内にはソリ遊びが楽しめるちびっ子ゲレンデなども用意されており、小さい子供にも人気のスポットとなっています。
古代住居広場の高床式倉庫。
常時この階(きざはし)を掛けておくわけにはいきませんよね(笑) それこそ、ネズミの侵入路にもなりかねません。使わない時は取り外し、小動物の侵入を防いでいたのでしょう。
これは確かに足場が狭い(笑)
古語辞典を紐解けば、段階(きだはし)の「段(きだ)」は ”切り分けたものを数える語(上代語)” と出ています。
断片であり、部分を段(きだ)と言ったようです。
布地を測る単位、あるいは田畑の面積を測る単位としても「段(きだ)」は使われたようで、この高床式倉庫の階段を見れば何となく想像が付きますよね。それにしても、こういうのを見るとなぜか「布留の高橋」のことを思い出します。神々が住まわれる天上へと続くきざはし・・・古代人たちがより高い所への憧れを持っていたことは容易に想像が付きます。大空を翔る鳥への憧憬も、そこに重なって参ります。
十二支の最初を飾るのはネズミですよね。
古代より人の生活に深く関わっていたことがうかがえます。
現代社会では、電柱の電線にもねずみ返しが使われているようです。大事な備品を噛みちぎられては元も子もありませんからね。
不思議な模様が描かれています。
これはその一つ一つが腰掛けなのでしょうか。
まさしく「段(きだ)」の連続ですね。
竹取公園の駐車場は三箇所あり、かつては期間や曜日によって有料の時と無料の時があったようですが、今では有難いことに無料開放されています。馬見丘陵公園や讃岐神社にも程近く、歴史好きな方にもおすすめしたい場所です。