山の辺の道ハイキングの途中、竹之内環濠集落へ立ち寄って参りました。
竹之内環濠集落は、奈良盆地内で最も標高の高い場所に作られた環濠集落として知られます。南方の萱生環濠集落と一括りにして、竹之内・萱生環濠集落の名で通ります。萱生(かよう)町は刀根早生発祥の地でもあり、周囲には柿畑が広がっています。
昔の面影を残す竹之内環濠集落。
水鳥たちの憩いの場にもなっているようで、私が近づくとバタバタと大空へ向かって飛び立って行きました(笑)
公園トイレが整備された竹之内環濠集落の玄関口
以前にも何度か足を運んだことのある竹之内環濠集落。
今回は藁葺屋根の美しい夜都伎神社から南へ山の辺の道を辿りました。
数年前に訪れた時は無かったであろう公園を、竹之内環濠集落の入口付近で目にすることになります。
竹之内環濠集落のトイレ。
トイレの手前に案内板が立っています。
山の辺の道の安心トイレガイド。
暑くもなく寒くもない春や秋になると、山の辺の道はウォーキングを楽しむ人たちで賑わいます。桜井市の海柘榴観音から天理市の石上神宮まで歩い場合の所要時間は約4時間弱です。その道中にはパワースポット大神神社、相撲発祥の地・相撲神社、崇神天皇陵、長岳寺などがあり、万葉の奈良を満喫することができます。そこそこの距離を歩きますので、途中にあるトイレは非常にありがたいですね。
竹之内町の竹之内環濠集落から北へ1.4㎞の距離に天理観光農園(園原町)のトイレ、南へ900mの距離には萱生環濠集落のトイレがそれぞれ用意されているようです。
竹之内環濠集落の公園。
ブランコの背後に環濠集落の跡が見られます。
遥か北西に目を向ければ、大阪との境に聳える生駒山が見えます。
竹之内町は標高100mの高さに位置しています。ちょっとした高地だけに、その景色も綺麗に開けていました。
山の辺の道から少し東へ北上し、竹之内環濠集落の手前に辿り着きます。
山の辺の道の至る所に道標がありますので、アクセスに迷うこともないでしょう。万一行き方に迷ったら、行き交う同士のハイカーたちに聞いてみることをおすすめ致します。皆さん、快く教えて下さること請け合いです。
竹之内町共同集荷場。
いつもここを訪れる時にはシャッターが閉まっています。
今も現役で活躍している集荷場なのでしょうか。環濠集落の入口付近に建っているだけに、竹之内町のシンボルのような建物です。
公園トイレの手前にあった解説パネル。
竹之内町は建武3(1336)年の記録(春日神社文書)にも現れる歴史の古い集落です。中世に築かれたと考えられる濠が集落の西側に現在も残っており、「竹之内環濠集落」として知られています。
奈良盆地には集落の周囲に濠をめぐらす「環濠集落」が多くみられます。一般に環濠集落は室町時代以降に出現したもので、戦国の動乱の中、外敵から集落を守るための防御施設として築かれたものと考えられています。現在も環濠の姿を留めている集落では、濠が用・排水に利用されている例が多いことから、もともとこうした濠は防御施設としての機能のほかに水利施設としての性格も兼ね備えていたとする見方もあります。
天理市には竹之内町のほかに、備前町、南六条町、庵治町溝幡が比較的よく姿を留める環濠集落として知られているほか、かつて環濠を有していた可能性がある集落も多数存在しています。多くの環濠集落は盆地内の低地に営まれていますが、竹之内町は標高100m前後の見晴らしのよい斜面上にあり、環濠集落としては奈良盆地内でも最も高いところにあります。
竹之内町では集落西側の入口付近に最近まで残っていた環濠が埋め戻されて公園となっていますが、その北側には今も環濠が残り、往時の佇まいを偲ぶことができます。
平成24年10月 天理市教育委員会
道沿いにかつての環濠跡が残されています。
南北朝時代から筒井順慶による統一に至るまで、大和には戦国乱世の時代が続きました。
奈良盆地に数多く残る環濠集落は、自らの暮らしを守るための自衛集落であったと言えます。村の周囲に濠を巡らせ、外敵の侵入を防ぎます。集落に今も残る濠の一部や竹藪を見ると、生き延びようとする先人たちの知恵が感じられます。
公園から北へ向かい、今来た方向を振り返ります。
かつてこの環濠は用水池を兼ねた濠でもあったのでしょう。
環濠の間に道が通っています。
ガードレールの両脇には、静かに水を湛える環濠が広がっています。
藻が繁殖しているのでしょうか、水面はグリーン一色に染まっていました。
環濠のすぐ脇には民家が数軒建っています。
奈良県内には本当に数多くの環濠集落があります。
大和郡山市の売太神社も稗田環濠集落内に鎮座しています。藤原宮跡の近くにも醍醐町環濠跡が見られます。昔の名残を今に留める大和の風景は、訪れる人を時間旅行の世界へと誘います。
夜都伎神社から竹之内環濠集落へ向かう途中の曲がり角に、山の辺の道周辺地図が案内されていました。
上下にマップ表示が分かれていますね。
ハイカーたちにとってこれは分かりやすいです。上が現在地を中心とした周辺観光マップで、下が山の辺の道全体を俯瞰するルートマップになっています。山の辺の道踏破を目的に歩いている人も数多くいらっしゃいます。今自分がどの辺りに居るのか、一目で分かる地図は大変便利です。
JR万葉まほろば線で竹之内環濠集落にアクセスする場合は、JR長柄駅から徒歩20分となっています。見学は自由ですが、駐車場は特に設けられていません。徒歩でゆっくり環濠集落の中を歩いてみるのもたまにはいいものですね。