安倍文殊院の七まいり。
人は一生の内に、七つの思いがけない災難に遭うようです。俗に言う「上り坂、下り坂、まさか」ですね。まさかの“さか”は避けては通れないのかもしれません。そんな中、心強い味方が存在します。安倍文殊院の金閣浮御堂・霊宝館は、魔除けや方位災難除けを祈願する願掛け修行場になっています。
七まいりの「魔除おさめ札」。
安倍晴明の五芒星を冠した7枚のお札が連なります。
一、二、三と数字が振られており、時計回りに金閣浮御堂を周りながら1枚ずつ正面の箱に納めていきます。黄金に輝くお札は、陰陽師パワーにあやかり効果がありそうですね。
弁財天に近付く回廊の奥!文殊池越しに見る境内
金閣浮御堂から見る境内は、今までにないアングルでした。
霊宝館の欄干先に文殊池、その向こうに本堂や西古墳、不動堂を望みます。
七詣りの魔除おさめ札。
七難即滅、七福即生と記します。お札の向こうに見えている建物は不動堂ですね。
一周ごとに右端から1枚ずつ切り離し、金閣浮御堂正面の箱に納めます。回廊をまわる際は、災難を祓うため「〇〇しないように」と願います。病気しないように、事故に遭わないように等々、七参りの作法となりますので覚えておきましょう。
今回のお参りでは、本堂・浮御堂共通拝観券を購入しました。
拝観料は1,200円です。本堂拝観のみの場合は、700円のようです。
五芒星を象り、「安倍山」と刻む落雁(らくがん)を頂きました。智恵のらくがんと称する安倍文殊院の土産物の一つです。亀パンと双璧を成す一品で、とても上品な味わいでした。
金閣浮御堂とコスモス。
今年もコスモスの季節が始まります。概ね開花期間は9月中旬~10月下旬のようです。コスモス迷路はまだ先ですが、文殊池の周りには数輪のコスモスが咲いていました。
金閣浮御堂・霊宝館の拝観受付で授与されたお守り。
五芒星を冠し、厄除・魔除と書かれています。受付の方のお話では、お財布に忍ばせておくお守りのようです。一年後にお返しする流れとなります。
橋を渡って浮御堂へ向かいます。
橋そのものが “結界” のような役割なのでしょう。気持ちを正して、いざ金閣浮御堂へ。
正面奥の回廊。
細くて狭い!なぜにまた、ここだけ狭い通路になっているのでしょうか?ふと疑問に思ったのですが、どうやらここは“浮御堂のセンター”とでも言うべき弁財天の背後に当たるようです。
弁財天尊に一番近い場所なのです。
ちなみに弁財天の向かって右には安倍仲麻呂公像、左に安倍晴明公像が祀られています。いずれも室町時代の尊像で、割と小ぶりでした。
あんこ形の力士では無理そうな隘路(あいろ)を抜けると、本堂が見えてきました。
本堂内には、国宝の渡海文殊が祀られています。
弁財天尊の真後ろ。
落下防止のためでしょう、欄干の上に柵が張り出していました。大きな鞄でも持っていたら、邪魔になって歩きにくそうです。お寺の方の配慮を感じますね。
本堂右手の開口部は文殊院西古墳です。
国の特別史跡に指定される、精緻な横穴式石室が開口しています。
開口部と向き合うように建つ石燈籠は、安倍晋三元首相の献灯ですね。安倍文殊院は安倍一族の氏寺です。金閣浮御堂の祭壇右手には安倍晋三氏、並びにその父親に当たる安倍晋太郎氏の位牌も祀られていました。
堂内には安倍晴明の御尊軸も展示されています。
式神を背後に従えた安倍晴明が、妖怪たちと向き合う漫画タッチの絵も興味深かったです。
堂内6面の壁面には、秘仏の十二天御尊軸(室町時代)が祀られています。秋の寺宝展期間中につき、水天、羅刹天、風天が開帳されていました。
本堂・浮御堂の共通拝観券。
本堂内は見た目より奥行きがあります。渡海文殊は奥の大収蔵庫に安置されていました。ただでさえ大きな仏像ですが、壇上に手厚く祀ることにより、さらにその威容を解き放っていました。
智恵のらくがんにかぶりつきます。
国産小豆の漉し餡が入っています。これは美味しい!
生きている間には色んなことが起こります。
誰しも災難には遭いたくありません。「あなたの周りに起こることは全て正しい」とも言います。不幸の最中(さなか)に居るときは信じたくない言葉ですが、一理あるのかもしれません。何か深遠な意味があって、今の状態がある。日常生活で微調整を繰り返しながらも、魔除けも必要になってくるのでしょう。
八方塞がりにあるのなら、ちょっとした気分転換でお参りしてみるのもいいと思います。