弘法大師が祀られるおふさ観音の大師堂(だいしどう)。
恵比寿尊社のすぐ隣にあるお堂で、本堂向かって左側に位置しています。
大師堂前のお賽銭箱の上に草鞋が置かれ、その横に「旅立安全庚申尊」と書かれた木札がありました。
大師堂の真ん中に弘法大師が祀られ、その左側に病魔退散にご利益のある庚申尊が祀られています。
ちなみに、向かって右側には物忘れ封じの神様・普大士尊が佇みます。
草鞋に託す旅行安全祈願
弘法大師空海には旅のイメージが付きまといます。
空海ゆかりの真言宗のお寺には、同行二人を思わせる草鞋や菅笠がよく似合います。
おふさ観音(観音寺)も、高野山真言宗別格本山のお寺とされます。
小ぢんまりしたお堂の大師堂。
格子扉の左側に庚申尊の文字が見えます。
花頭窓の右側に、庚申尊を示す札が掛かっていました。
庚申(こうしん)とは、干支六十組の内の五十七番目の庚申「かのえさる」を意味しています。60年で干支が一回りすることから還暦を祝う習慣があるわけですが、その干支の組み合わせの57番目に当たるのが庚申です。
路傍などでよく庚申塚を見かけますが、青面金剛(せいめんこんごう)や三猿(さんえん)が刻まれた石塔が道の辻に建ちます。庚申会の本尊とされる青面金剛は、猿の形相をしていることでも知られます。
奈良で庚申さんと言えば、奈良町の庚申堂を思い出しますね。
奈良町庚申堂の身代わり猿は、病気や災難を身代わりに請け負ってくれるお守りとして人気があります。おふさ観音大師堂の庚申尊ですが、果たしてどのようなお姿をされているのでしょうか。次回参詣の際には、中を覗かせて頂こうと思います。
右手上げと左手上げの招き猫おみくじ
大師堂から本堂の方へ移動すると、本堂前のお守り授与所に招き猫おみくじが販売されていました。
「千客万来の招き猫」ということで、お店のレジ近くで見かけることが多いですよね。注意深くよく見てみると、右手を上げた招き猫と左手を上げた招き猫がいることに気付きます。右手上げと左手上げの違いは何なのでしょうか?
おふさ観音の招き猫おみくじ。
左右対称に右手上げと左手上げの招き猫がそれぞれ描かれていますね。
色々調べてみると、どうやら右手上げの招き猫はお金を招くご利益があるようです。一方の左手上げの招き猫は人を招くご利益に授かれるようです。
招き猫おみくじの絵馬に、詳細が案内されています。
このおみくじには、小さな招き猫が納められております。
28種類の招き猫に七色のご利益を御祈願いたしておりますので、あなたに御縁のあった招き猫をお財布等に入れて大切にお持ち下さい。
七色のご利益
金(金運・商売繁盛)、赤(魔除・家内安全)、緑(身体健全・学業成就)、白(開運招福・吉兆来福)、黄(金運・商売繁盛)、黒・グレー(家内安全・厄難消除)、ピンク(縁結び・良縁招来)
七色のご利益とは有り難いですね。
生活全般に渡って様々な願い事が叶えられそうです。
招き猫の上げている手の高さによっても、そのご利益に違いがあると言われます。手を高く上げているものは遠方の福を招き、手を低く上げているものは近場の福を招くと言います。おふさ観音の招き猫おみくじをチェックしてみましたが、手の高さはどれも同じようです(笑)
招き猫の手を見ると、いつも熊手を思い出してしまうのですが、どちらも福をかき集めてくれそうな縁起物です。
折しも境内は、夏の風物詩・風鈴まつりで賑わっていました。
夏休みは旅行シーズンでもあります。
家族旅行に出かける前に、おふさ観音の庚申尊にお参りしてみるのもいいですね。
大師堂の向かって右側には、学力向上の普大士尊が祀られています。
おふさ観音はぼけ封じ霊場でもあります。物忘れがひどくなったなと思ったら、何よりも予防が大切です。かつてお茶の間を湧かせた萩本欽一さんが大学受験に挑戦されました。挑戦するだけでもすごいのに、見事に試験に合格して今は学生生活を送っておられます。何よりもまず、使わなくなった頭を使うことが大切だと思います。それにしても、さすがは欽ちゃんですね。
ふくろうの風鈴もぶら下がっていました。
おふさ観音が属する大和七福八宝霊場会ですが、三輪山麓の大神神社も名を連ねています。大神神社の末社・久延彦神社のシンボルはフクロウです。久延彦神社の「知恵ふくろう」は福来朗(ふくろう)、不苦労(ふくろう)に掛けられ、縁起物として人気を集めています。
ミステリアスで賢く、夜のイメージのあるフクロウ。真夏の昼下がりに、涼しげに目を閉じるフクロウを見ていると、心なしか涼が感じられます。
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