鹿角の菊座

奈良公園の鹿を観察していると、雄鹿の頭部に白く丸いものを見つけます。

鹿の角切りの後によく見られる菊座(きくざ)という部分ですね。

鹿角の菊座

雄鹿の菊座。

鹿の角切りは、毎年10月に鹿苑において催されます。行事内で切られる角はごくわずかですが、鹿愛護会の方が普段から角を切っておられるようです。東大寺南大門で撮影したこの鹿も、ちょうど9月末のタイミングでした。

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3月には自然と落ちる菊座

菊座といえば、「武具の錺(かざり)の座」を思い出します。

菊の花を模った座金(ざがね)のことですね。一般的には違う意味で使われる ”菊座” ですが、鹿角の土台になる部分も “菊座” と言うようです。昨今の南瓜はロロンなど、美味しい品種も出回るようになりましたが、日本カボチャの品種で縦に深い溝の入ったものも「菊座」と言います。

概して菊の花のように、周囲に多くの切れ込みが入ったものを「菊座」と呼んでいるのでしょう。

春日大社の石燈籠

春日大社参道沿いの石燈籠。

竿に刻まれる「献燈」の字体が目を引きます。

ちょっと下品な話になりますが、肛門の異称も「菊座」と表現するようです。なるほど、菊の花に見立てるとはなかなか斬新です(笑)

東大寺南大門の金剛力士像

東大寺南大門の金剛力士像。

鹿の角は8月中旬~10月頃に完成します。

ちょうどお盆の時期から仕上げに入るわけですね。

硬く雄々しい鹿角は、発情期のオスのシンボルにもなっています。雄同士で喧嘩したり、時には観光客に攻撃を加える恐れもあるため、奈良公園の鹿の角は積極的に切られます。あるいはわざわざ切らなくても、自然と3月になれば角が落ちるようになっています。

頭部に残っていた菊座も、毎年3月頃にはポロっと落ちる段取りです。

菊座が落ちると、しばらくの間は血がにじんでいるようですが、自然の成り行きですので全く問題はありません。放っておけば、自然のサイクルで4月頃には袋角が生えてきます。

奈良公園界隈では、菊座のキーホルダーなども販売されています。

3月に公園内をウロウロしていれば、芝生の上に菊座を発見することもあるでしょう。奈良公園内の新たな楽しみ方として覚えておいてもいいですね。