鏡毛で危険を知らせる奈良公園の鹿!鹿苑

子鹿公開中の鹿苑で、面白そうな鹿クイズを見つけました。

スタジアム風の建物で子鹿を見学した後、パネル展示コーナーを通ってフェンス越しに母子鹿を見物する場所へと出ます。えさのドングリをあげて、さらに奥へ進むと鹿クイズのコーナーが設けられていました。

鹿苑の鹿クイズ

鹿は危険を感じるとどんな行動を取る?

鹿にまつわる様々なQ&Aが観光客を待ち受けていました。取っ手の付いた板をめくると、問題の回答が得られるという仕組みです。この問題の答えは一番の「お尻の毛を逆立ててピョンピョン跳ぶ」でした。

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遠く離れた仲間の鹿にも見える目印

鹿のお尻の毛は鏡毛(かがみげ)と呼ばれているようです。

白い色をした鏡毛は、鹿の身体の中でも特によく目立ちます。白鹿の「白ちゃん」の記事でもご案内致しましたが、「白し」は「著し(しろし)」に由来するという説もあります。昔の人たちは、はっきりして明らかな様子を「しろし」と表現していたのです。

遠い場所にいる鹿にも、危険を察知した鹿の鏡毛が見えると言います。

鹿の鏡毛

鹿の鏡毛(かがみげ)。

鹿は一年を通じて二回毛が生え変わりますが、お尻の毛である鏡毛は生え変わることがありません。ずっとこのままです。白くて目立つ鏡毛は、鹿の生態にとってとても重要な役目を果たしているようですね。

鹿苑で撮影したこのメスジカですが、どうやら妊娠中のようです。

茶褐色に白い斑点模様の見える ”鹿の子模様” は夏毛とされます。秋頃に換毛するという冬毛は鹿の子模様ではなく、灰褐色の色合いをしています。やはり誰が見ても、初夏のこの時期の体毛の方が美しいですよね。

鹿クイズの回答

鹿クイズの回答。

「お尻の毛を逆立ててピョンピョン跳ぶ」と説明されています。

鹿は驚いたり危険を感じるとお尻の毛(鏡毛)を逆立てます。同時に「ピャッ!」と警戒音を出し、ピョンピョンとジャンプして仲間に危険を知らせます。

ちゃんと警戒音も発するんですね。視覚だけではなく、聴覚でも仲間に危険を知らせます。

奈良公園の鹿は野生の鹿とはいえ、ある程度は天敵から守られた環境に居るはずです。その意味では、鏡毛を逆立てるシーンもあまり見られないのかもしれません。犬を大変怖がる習性があるようですが、鹿苑のスタッフの方にお伺いすると、奈良公園周辺に野良犬はほとんど見られなくなったとのことでした。

鹿苑の鹿クイズコーナー

母子鹿たちを金網越しに見学します。

鹿を象った板がフェンスにずらりと並んでいますね。鹿関連のクエスチョンを順々にチェックしながら、その都度回答を見て、奈良公園の鹿への学習を深めていきます。

鏡毛

鹿が驚く・・・そういえば、秋の収穫時期の案山子の語源が鹿に関係していることをご存知でしょうか。

案山子の由来
田んぼの中の案山子(かかし)。 案山子を古語辞典で引いてみると、案山子(かがし)と濁音で掲載されています。 現在の「かかし」と清音で発音するのは、近世の関東の発音に由来しています。「かがし」なんて聞くと、どこか東北訛りを連想してしまいますが...

獣肉の臭いをかがせる鹿驚(かがし)。

嘘のような本当の話ですが、今も昔も鹿や猪は人間にとってやっかいな動物でもあったようです。鹿威し(ししおどし)なんていう風流なものもありますよね。本来、鹿は臆病な動物です。そんな鹿にとって鏡毛は無くてはならないものだったのでしょう。

奈良公園の鹿

袋角が美しい奈良公園の鹿。

このソフトな感じの角を見ていると、つい触りたくなってしまいます(笑)

完成した秋の雄々しい角に比べ、どこか可愛らしい印象すら与えます。

鹿の視界はどのぐらい効くのでしょうか。鹿は草食動物ですから、普段から幅広く辺りを見回しているものと思われます。遠方にいる仲間の逆立った鏡毛を判別できる一方で、なぜか車に引かれることも多い奈良公園の鹿。神鹿として扱われるためか、少々野生のセンサーも鈍っているのかもしれませんね。

観光客のひしめく奈良公園内において、逆立った鏡毛を見る日はいつか来るのでしょうか。

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