天理市石上町の石上市(いそのかみいち)神社。
古代に賑やかな市のあった場所とされます。
西名阪自動車道天理ICから南へ300mほどの場所に鎮座しています。上ツ道のわずか東側に位置し、在原神社の南方に当たります。石上市神社から東へ道を辿れば、旧社地と伝わる姫丸稲荷神社があります。
石上市神社の拝殿。
御祭神は少彦名命とされますが、詳細は不明のようです。
式内社境内に建つ平尾天神宮の石燈籠
奈良県内で石上(いそのかみ)といえば、布留の石上神宮を思い出します。
石上神宮は石上市神社からもさほど離れていませんが、直接の関係は無いようです。「石上(いそのかみ)」は地名であり、本居宣長は「イ」を接頭語とし、「ソノカミ」は「古」を意味すると説きました。
市のあった場所ですから、むしろ天理市丹波市町の市座神社に近いのかもしれませんね。
石上市神社の鳥居。
笠木の下に島木を渡す明神系鳥居が出迎えてくれました。
国道169号線を桜井方面から北へ向かい、西名阪手前の細い道を左折します。行く手の袋小路に、雰囲気ある社叢が見えて参りました。
境内の石燈籠。
燈籠の竿に「平尾天神宮」と記されています。
石上市神社から東方1㎞には平尾山姫丸稲荷神社があります。石上市神社の旧社地だったようで、その名残を感じさせますね。
遡ること明治時代に、姫丸稲荷神社からは銅鐸が出土しています。稲荷神社の周囲には古墳が散在しており、古代の重要拠点だったことがうかがえます。朱鳥居が連なる姫丸稲荷神社は、石上市神社の境外末社とも言われています。
式内石上市神社の社号標。
格式ある式内社なんですね。
奉納された手水石。
境内はひっそりと静まり返り、人影は見られません。
拝殿前には阿吽の狛犬が陣取ります。
名阪国道の北側は比較的賑やかですが、その南側は至って静かですね。
吽形の狛犬。
子取り狛犬です。背後の石燈籠の笠が丸みを帯びていますね。
子供の狛犬。
親の脚と一体化しています。吽形とは言うものの、子どもの口はカッと開いていました。
境内片隅の石。
五輪塔の残欠でしょうか。
境内社。
小さな祠が祀られていました。
境内横のお堂。
石上市神社には少彦名命が祀られているようですが、諸説あって定かではありません。牛頭天王、大市姫命、あるいは市辺押磐皇子とも伝えられます。
石上町公民館。
神社は地域住民に大切に守られているようです。
「市神社のお世話について」
掃除当番が月ごとに決められています。
石上市神社。
末広がりの竿が、燈籠全体に安定感をもたらします。
石上市神社の本殿。
瑞垣に囲われ、丁重に祀られていました。
石上市神社の最寄駅はJR櫟本駅です。
櫟本駅周辺には高良神社、楢神社、馬つなぎの「馬出し(うまだし)」などがあります。神社参拝のついでに、是非お立ち寄り下さい。