令和2年に一般公開が始まった瑜伽山園地(ゆうがやまえんち)。
浮見堂のある鷺池から天神社へ続く坂道は幾度か通ったことがあります。傾斜のある坂道だなぁと以前から思っていましたが、その東側に整備された和風庭園です。瑜伽山園地の敷地は、明治から大正にかけて大阪財界で活躍した山口吉郎兵衛氏の別荘があった場所とされます。
瑜伽山園地の石燈籠。
燈籠の格狭間(こうざま)に十二支が浮き彫りになっていました。
中台や笠の灯籠デザイン!近代文化人が交流した茶室
瑜伽山園地の住所は奈良市高畑町です。
志賀直哉旧居のある場所として知られ、文化の香り漂う閑静なエリアですね。
瑜伽山園地の入口。
浮見堂が浮かぶ鷺池の南側に位置します。
門が閉ざされており、運悪く拝観中止なのかと思いきや、奈良公園にはよくある鹿除けの扉でした。ちみみに入園料は無料ですので、誰でも気軽に庭園を楽しむことができます。
傾斜のある庭の一画に鎌倉時代の石塔が建ちます。
どうやら四方仏がレリーフされているようです。綺麗に整備された竹林の南には新築のホテルが営業していました。
交流・飲食施設も瑜伽山園地に隣接しています。
季節の花を愛でながら、庭園を巡ります。
十二支の酉ですね。
石燈籠の火袋の下にあるのが中台です。
中台は三つの部位に分かれ、上から受座、その下に格狭間、そして格狭間を支える格好で蓮弁が続きます。太鼓橋の向こうに見えているのは茶室です。
茶室手前の石燈籠。
笠の部分にデザインされているのは州浜でしょうか。伝統的意匠ですね。
こちらの格狭間には菊花紋が施されています。
日本国を象徴する十六菊花紋だと思われますが、三つに分解されているのが面白いですね。遊び心を感じます。
回遊式庭園の池に石橋が渡されます。
互い違いに組まれた長方形の石材が竹林へと誘います。
斜め組子の龍安寺垣でしょうか。
竹林の中はちょうどいい塩梅に空間が保たれていました。密になり過ぎず、竹林のソーシャルディスタンスを感じます。
入口から右向こうへ伸びる垣根。
開園して間もないタイミングですから、まだ建材も新しいですね。
折り目正しい石畳。
規則性、秩序を感じさせます。
瑜伽山園地の茶室。
飛び石の先には腰掛待合が見えています。
茶室からは庭園の大滝を望むこともできるようです。茶室の利用は予約制となっており、有料です。使用料は日時によって異なりますが、8,400円~29,400円と案内されていました。
石塔の左奥に見えているのが大滝ですね。
水が流れる演出もあるのでしょうか。
歴史を感じさせる石塔です。
起伏に富んだ瑜伽山園地の中に、どっかりとした存在感で佇みます。
瑜伽山園地のすぐ前には、鷺池、浮見堂の風景が広がります。
これぞ奈良公園の奥座敷といった趣です。
東大寺や興福寺、春日大社を詣でた後は、閑静な瑜伽山園地へ足を延ばしてみるのもいいですね。