鹿の角切りに使われる十字(じゅうじ)を見学して参りました。
場所は春日大社の境内にある鹿苑(ろくえん)。
奈良の鹿の保護施設として知られますが、毎年10月には鹿の角切りが行われる場所でもあります。初夏には子鹿公開も行われ、当該シーズンには賑やかになる観光スポットです。
鹿を追い立てる勢子(せこ)が着る法被ですね。
その右上に捕獲道具の十字が掲げられていました。
鹿の角きりで使われる十字
こうして近くで見てみると、その作りもよく分かります。
なるほど、この道具を使って雄鹿の角を引っ掛けるのか!十字に組まれた竹の四方には縄が張られ、その中に空間が生まれています。枝分かれした鹿の角を絡め獲る段取りのようです。
こんな感じ。
発情期を迎えた雄鹿は危険です。
雄同士で傷つけ合うこともあるだろうし、観光客に危害が及ばないとも限りません。安全を確保するために行われる鹿の角切りは、毎年恒例の客寄せイベントにもなっています。
十字(じゅうじ)
この「じゅうじ」と呼ばれる捕獲道具は割竹を十字に組み、その端に縄を巻き付けてあります。
走って来る雄鹿の角にめがけて、「十字」をたたきつけると縄に角が掛かる仕組みになっています。
子鹿公開の鹿苑。
初夏には心和む光景が楽しめますが、秋になると勇壮なイベントに切り替わります。
ある程度の熟練の技も必要なんでしょうね。
全くの初心者では上手く角を引っ掛けることも出来ないでしょう。
スムーズに事を運ぶためにも、そう何度も失敗は許されないはずです。勢子さん自身に危険が及ぶなんてことがあってはなりませんからね。鹿と人との共生に想いを馳せながら、鹿苑を後にしました。