奈良公園の荒池園地の土塀沿いで、数頭の鹿が休憩していました。
暑い夏の時期にはよく見られる光景です。
荒池園地の土塀の鹿。
撮影のために近付くと、一頭の鹿が ”見返り美人” のポーズを取ってくれました(笑)
高畑町山ノ上にある荒池園地
奈良公園には浮雲園地、春日野園地、登大路園地、浅茅ケ原園地等々のエリアが設けられています。
夏の風物詩として知られる「なら燈花会」の際にはよく耳にする名前ですが、奈良県民の私ですら「荒池園地」の名前はあまり聞いたことがありませんでした。園地つながりで、ついでに猿沢池園地、東塔跡園地、みとりい池園地、茶山園地などもご紹介しておきます。
荒池園地の土塀。
見事にえぐれていますね。荒池園地に見られる ”歴史の置き土産” とも思しき土塀は、興福寺の塔頭の一つではないかと云われています。
荒池園地の地図。
当館大正楼から奈良公園へのルートは、国道169号線を北へ辿ることになります。
北へ約30分で奈良公園に到着しますが、その玄関口とも言えるエリアに荒池が佇んでいます。国道169号線を北上し、左側に奈良ホテルを見ながらさらに進むと、カーブを描く道の脇に荒池園地が広がります。水の乏しい奈良公園に、明治時代に築造されたのが荒池の起源とされます。
土塀の脇は、奈良公園の鹿たちにとって格好の休憩場所です。
日陰の少ない広々とした奈良公園の中にあって、ちょっとしたオアシスになっているようですね。
石でできたベンチのようなものが、荒池園地の中に設けられています。
太陽の光を受けて、見事な照り返しを見せています。
奈良公園の歴史を感じさせる土塀。
浅茅ケ原園地のエリア内にある浮見堂を見物した後、道路を挟んで一段低い場所にある荒池園地を訪れます。荒池園地の東側には水が流れており、池の畔には柳の木が植えられています。少し遠くに目をやると、歴史の遺構とも言うべき土塀が見えて参ります。
園地整備の際に、取り壊してしまわないで、保存の道が選ばれたことに拍手を送りたいと思います。後の世になって、鹿たちの休憩場所になることをどれだけの人が予想していたでしょうか。
芝生の上で休憩している鹿もいます。
足を折りたたんでかわいい格好ですね。被写体になることを嫌がらず、ずいぶん慣れたものです(笑)
トイレの前の土塀脇には、たくさんの鹿がたむろしています。
木も生い茂り、辺り一帯がひんやりとした日陰スポットになっています。
興福寺南円堂から国宝五重塔を望みます。
興福寺の塔頭の一つの遺構が、今ではだだっ広い奈良公園に小気味いいアクセントを与えています。
荒池園地のある山ノ上という地名ですが、この辺りは起伏に富んだ地形をしています。
菅原道真を祀る天神社から坂道を下って、浮見堂が浮かぶ鷺池へと出て参ります。さらにそこから少し下った場所に荒池園地が広がっています。
地球温暖化のことなど、いざ知らずの鹿たちではないでしょうか。
動物の進化の歴史を顧みるならば、奈良公園の鹿たちも年々暑さに適応するようになっていっているのかもしれません。荒池園地の土塀が、その一助にでもなっていれば幸いですね(笑)
<奈良公園関連情報>