世界遺産の吉水神社書院にて、豊臣秀吉愛用の金屏風を拝観してきました。
以前にも、京都の豊國神社宝物館で秀吉にまつわる数多くの宝物を拝見したことがあるのですが、世界遺産の吉水神社書院とあって、より一層の期待が高まります。
豊臣秀吉愛用の金屏風「桜の図」。
質素な中にもどこか華やぎを感じさせます。
栄華を極めた秀吉花見の本陣
狩野永徳作の「桜の図」。
その筆致には、豊臣秀吉の栄華がそのまま反映されています。ご存知のように吉水神社は、秀吉が吉野の大花見をした時の本陣になった場所です。
吉水神社書院の前に、花見の本陣を案内する木札が立っていました。
吉水神社の門を入ってすぐ左側には、秀吉自らが基本設計を行った名勝の吉水院庭園が広がります。花見に際して造られた庭園は、安土桃山時代の栄華を今に伝える桃山様式の日本庭園として知られます。
「秀吉と花見」は、どうやら切っても切れないキーワードのようですね。
豊臣秀吉愛用の金屏風「竹の図」。
こちらは狩野山雪の作品です。
一節一節、真っすぐに伸びて行く姿を自身に重ねたのでしょうか。
吉野之花見図の複製。
実に細やかなタッチで花見の様子が描かれています。
吉水神社書院の拝観順路は、義経・静御前 潜居の間、後醍醐天皇玉座、文化財・宝物展、太閤花見の品という流れになっています。この花見図は役行者像の前辺りに展示されており、その華やかな作風に目が奪われます。
吉水神社書院。
書院の庭の北側にある北闕門(ほっけつもん)を見学し、拝観出入り口に戻る途中で撮影しました。照明に浮かび上がる展示品が垣間見えます。
太閤愛用金屏風「桜の図」の向こう側には、狩野山雪作の襖絵「鷹」が見えます。
文禄3年(1594)に吉野で盛大な花見の宴を催した秀吉。
数日間吉水院(現在の吉水神社)に滞在し、歌の会、お茶の会、お能の会などを開いて天下に権勢を示したと伝えられます。
秀吉の歌が残されています。
「年月(としつき)を 心にかけし吉野山 花の盛りを今日見つるかな」
追われる身の源義経や、ここを南朝の皇居とした後醍醐天皇とは全く違う過ごし方をした豊臣秀吉。
切羽詰まった空気はそこには感じられません。
吉水神社本社から書院の方を望みます。
奈良は奥が深いとよく言いますが、吉野の地を訪れてみて改めてその思いを深くします。シャクナゲや紅葉で知られる室生寺も、”奈良の奥深くへ” といった印象がありますが、ここ吉野もまた山深い場所に位置しており、数々の歴史のドラマを生み出してきた観光スポットです。
吉水神社の住所は、奈良県吉野郡吉野町吉野山579 です。
拝観時間は年中無休で、午前9時から午後5時までとなっています。
拝観料は大人・大学生400円、高校生・中学生300円、小学生200円 です。